針灸・健康に関してのエッセイです。
鍼灸取って出し Vol.3以前、2014年~2020年にかけて書いていたブログの中で、鍼灸や病気や健康に関する事や日頃,思った事などを抜粋して掲載してます。エッセイの感覚で読んでみて下さい。
・基本的な考え方…
2018年9月13日
僕が患者さんに例え話として、よくする話なんですが…
「最近、この車…ブレーキの効きが悪いんですよぉ~!ちょっと修理してもらえませんか?」って自動車修理工場に車を持って行くとブレーキパットの交換やらブレーキオイルの交換や補填をしてくれて、またブレーキが効くようになるわけですが、原因として経年劣化で起こる場合と、何か別な原因があって起こる場合の2通りが考えられると思うんです。
車の場合は部品交換も可能ですし、車自体を乗り換える…買い換える事も可能ですが、身体はそういう訳にはいきませんよね!
この「ブレーキが効かない…」という現象には経年劣化、整備不良、という原因の他に、ドライバーの運転技術というのも当てはまると思うんですよ。いくら新車でも…いくら整備を万全にしていても、急ブレーキばかりかけてるような運転をしていたり、あり得ないけど…ブレーキを踏みながらアクセルを吹かしていたらブレーキパットは摩耗しますし、故障の原因になる事は誰でもわかる事ですが、これを身体に置き換えて考えてみましょう。
例えば…下痢や咳…。これは身体の中に留め置いていてはいけないモノを外に排出するために、下痢や咳などで体外に悪いモノを出そうとしているわけですが、下痢止めや咳止めの薬で、咳や下痢を止めちゃうとマズい事になるのは明らかですよねぇ~。咳や下痢で日常生活が出来ないようであれば、下痢止めや咳止めの薬を使うのは仕方がありませんが、とりあえず体力を奪うような咳や下痢でなければ、ある程度、身体に悪いモノが体外に排出されれば咳や下痢は自然に止まるものです。
「汗を人並み以上にかいてしまいます」っていう人にとっては、シャツがビチョビチョに濡れたり、女性だと化粧もできなかったりと、汗は異常なものに思えてしまうでしょうが、こういう症状の患者さんを治療する場合、僕らは、患者さんの訴えより、まず身体の声に耳を傾けます。「これって…身体は汗をかく事で気化熱を利用して体温調整しようとしてるのではないのかな?」…とか、…「という事は、東洋医学で言う内熱だから体に熱がこもるような状態を改善しないと、汗をかく症状は治らないぞぉ~!」…などなど…色々と探っていくわけですが、こういう場合は、鍼灸の治療や薬の効果を高める為に、患者さん自身が食生活を変える必要性が生じてきます。
腰痛…、肩コリ…、首のコリ…、頭痛…、膝痛…、足首の不具合などなど…姿勢だったり、癖だったりと必ず原因はあります。所謂、医療というモノは総じて身体の整備屋さんなので、できるだけ身体のポテンシャルを高く維持出来るように鍼灸師は鍼とお灸を使って…、お医者さんや薬剤師は薬を使って、患者さんの身体を整備するわけですが、車の例え話で言うドラーバーは患者さん本人なので、整備は万全でも患者さんが無理な体の使い方をすると、やはり劣化も早まりますし、治るものも治らなくなります。
「自分の身体なんだから放っておいてよ!いちいち、うるさいなぁ~!」…なんて言われる方は、いらっしゃいませんが、こと…生活改善の話をすると「…わかってますよ!でもねぇ~」ってな感じで煙たそうな顔をされる方は、結構いらっしゃいます。でも基本的な考えとして、患者さんと治療者が二人三脚で治療に取り組む事が何よりも大事だと思うんですよね!(…だから煙たがらないでね!)
患者さんが生活改善や食生活の改善をされなければ、やはり治療効果も片輪走行になってしまいます。
身体は1つですから、上手に使っていきましょうよ!
・教わるだけが勉強じゃない…(続・ギターと鍼)
2018年9月29日
物事には必ず”基本”というものがあり、基本を習得するには、まずは人から教わる方が基本技術の習得は早いはずです。
でも基本を習得してからは、己に合った方法をみいだす段階が待っていて、日々終わりの無い試行錯誤を繰り返し、自分の技術を磨いていくわけですが、近頃、若い人達をみていて感じるのが、教わるだけで満足してしまってる人が多いように思えるんですよねぇ~。
※「近頃の若い人達…」ですって…∩(´∀`)∩ もう53歳のオッサンだから、このセリフも吐いてもいいかな…(苦笑)
僕が思うに…、鍼灸って基本的に教わるものではなく、感じ取るもののような気がするんです。
僕の趣味の話で言えば…、ギターも同じで、基本的にギターって人から教わるものではなく、憧れのギタリストやミュージシャンにどうしたら近づけれるか…、あの音はどうやって出しているのか?どんな弾き方をしているのか?などなど…僕らの時代だと、レコードやテープをすり減るほど聞き込みましたし、大人になって憧れのギタリストやミュージシャンのライブで生演奏を見た時に「あっ!そこのポジションで弾いてたのね!」なんて発見に胸躍らせたりしてました。
鍼や灸も同じだと思うんですよね!あの先生がやってるこの治療法を会得したい!と思ったら、その先生の著作物を片っ端から読んで、どういう考え方で治療してるのか?という事を感じ取り、その先生がまだ御存命で主催している勉強会などがあれば積極的に参加して技術を習得し、機会があれば、直接、その先生に疑問に思うことを質問したりできる。…、もし、その先生がもうすでに亡くなっていらっしゃる場合は、その歴史や時代背景を加味しながら書物を読み想像して技術を練り上げていく…。
やはり、基礎を学んだ後は自分で技術を磨くしかないんですよね!
思うんですけど…。人から教わっている時期は、まだ準備段階で、本当の勉強は自分の技術を磨くところからがスタートだと思うんですよね!
・顔面神経麻痺(ベル麻痺・ハント症候群)
2018年10月13日
治療する側として、病んでいる身体をもとに戻そうとする時に、まず何を考えるか?…というと、「なぜその症状が出ているのか?」という事を推理していきます。患者さんとしては今が辛いわけなので「この症状さえ取ってくれたら…」的な思考になるのも分からないではないんですが、必ず原因はあるので、その原因を改善しないと、また同じ症状…もしくは、その原因が引き起こす別な症状が現れるものなんですよねぇ~。
例えば、外傷や手術の後遺症ではないベル麻痺やハント症候群での顔面神経麻痺の方の治療をする場合、往々にして、この症状の患者さんはストレスフルな生活をしている方が多いので、患者さん自身に「自分はストレスフルな生活をしていたんだ…」と自覚してもらい、生活改善を促します。(…でも、経験上、このタイプの患者さんは「これくらい自分にとってはたいした事は無い…」と自分に厳しく、回遊魚のように泳いでいないと死んじゃうような感じで長年、生活されているので、「生活改善」なんて、なかなか素直に聞き入れてもらえないんですけどね…。)
個々の症状を別物として病気を捉える考え方で治療をしている鍼灸師の場合、顔面神経麻痺の治療をする時、顔に鍼を刺すだけのような感じの治療になるんでしょうが、現在ではベル麻痺もハント症候群も身体に潜伏しているウイルスが原因で起こると考えられています。誰の身体にも潜伏しているウイルスが悪さを引き起こす原因として考えられるのは、やはりストレスフルな生活による免疫力の低下でしょう。顔面神経麻痺の方って必ずといっていいほど、首や肩がガッチガチに凝ってます。首と肩のコリってストレスフルな生活の象徴のようなものなので、顔面神経麻痺の患者さんを治療する時、首と肩のコリを取るって重要なポイントなんですよね!
なので、顔面神経麻痺の場合は、まず病院で抗ウイルス薬の治療を受け、同時に身体のストレス反応である肩と首のコリを鍼灸院でほぐす事に専念されるのがベストな治療だと思うんです!
ベル麻痺の場合、自然治癒は70%、ハント症候群の場合は30%。 初期から抗ウイルス薬の治療を受けていても治癒率はベル麻痺の場合90%、ハント症候群の場合は60%という統計的な数値が出ています。なのでベル麻痺の場合10%~30%。ハント症候群の場合40%~70%の方に麻痺が残る可能性があるという事なんですね! 顔面神経の変性は発症後7~10日で終わるらしいので治療のポイントは、その変性をいかに食い止めれるかなので、早期に抗ウイルス薬の効果を期待するのが現代医学の基本的な考えのようです。
でも、抗ウイルス薬の効果なく、麻痺が残ってしまった方への治療としては、外科的手術という方法もあるようですが、リスクも伴いますし、そこまでする必要はない麻痺の場合、身体の自己治癒力に期待するほか無いと思うんです。自己治癒力を高める方法としての選択肢の一つとして鍼灸は適してると思います。
鍼灸は、いかに患者さんの体の持つポテンシャルを引き出すかがキーポンイントとなる治療法です。まずは患者さん自身が諦めずに自分の身体の治癒力を信じて、身体が治癒する方向に向かうように生活改善し、自己治癒の妨げになっているストレスを取り除く方法として鍼灸を取り入れてみてはいかがでしょうか?
・ツボ
2018年10月24日
鍼灸で使うツボの選択も、色々と選び方がありまして、解剖学的に各部位に付いてる筋肉を緩ませるポイントとして選ぶツボもあれば、東洋医学的に経絡の流れや陰陽や子午や交差を利用して選択する場合もあります。
解剖学的なツボの選択で効果を得る事が出来る患者さんもいれば、解剖学的な考えでツボを選んでも全く効果が無い事もあったり、また、その逆で、東洋医学的な経絡や陰陽などで選択したツボがとても効く患者さんもいれば、全く効かない人もいらっしゃるんですよね!
なぜか?
…正直、僕にはまだその答えが出せていないのですが、経験上から言えば、ストレスが原因で起こっている症状には経絡や陰陽や子午を使ってツボを選んだ方が効果が高いように思えますし、ストレスが関係していない筋肉疲労の症状には解剖学的なツボ選びが効果的のような気がしています。
・他力本願としての鍼灸
2018年10月25日
先日、来られた患者さんで「あと何回で治りますか?」と、事あるごとに聞かれる患者さんがいらっしゃいました。
「今日で3回目だけど…、治療した後は楽にはなるけど数日するとまた痛くなる…。あと何回、治療すれば治りますか?」
…まぁ~時々、こういう患者さんがいらっしゃる事もあるので、「治療回数ではなく、患者さんの身体次第ですよ!体力がある患者さんだったら治るのも早いですが、身体が弱っている患者さんの場合だと、治るスピードも遅いです。」というふうにお答えするんですが、自分の身体が弱っていると自覚していない人は「薬を飲めばすぐ治る」「注射を打てばすぐ元気になれる」「手術をして悪い所を取ってしまえば元に戻る」という思考の方が多いので、鍼灸に関しても「あと何回、鍼灸を受けたら?」という考え方になってしまうんでしょう。
『他力本願』という言葉があります。
最近ではどちらかというと、「自分自身では何もせず他人任せ…」という意味合いで使われる事が多い言葉ではありますが、本来の意味は、そうじゃないと思うんですよねぇ~。自分で出来る事は自分でするんだけれど、自分ではどうしようもない、…自分の力ではどうにも出来ない事に対して、手助けして欲しいと他の力を借りて、事を成そうとするのが他力本願だと思うんです。多分、仏教用語だろうから「他力=お釈迦さんの力」という事なんだろうけど、患者さん自身が自分ではどうしようもない肩コリだったり、頭痛だったり、腰痛だったり…、めまいだったり…、腹痛だったりする時の『他力』は医療なんですよね。
ただ、ここで注意しなきゃいけないのが「全てを丸投げしちゃダメ!」っていう事です。他力に丸投げしちゃう状態になると、「自分自身では何もせず他人任せ…」という、揶揄する形で使う『他力本願』になってしまいます。他力を使う場合においても、生活改善だったり、食事の改善だったり、姿勢をなおす事だったり…と、患者さん自分自身で出来る事は必ずあるはずなんですよね。
「あと〇〇回で…」と具体的な回数や時間経過予測を聞いて安心したいという気持ちも分からなくは無いんですが、患者さん自身もやるべき事をやり、他力である医療も、それに力添えをする。これが本来の医療のあるべき姿だと思うんです。
・インナーバランス
2018年11月6日
先日、漢方薬の本を読んでましたら、「漢方薬はインナーバランスを整えるものだ…」という事が書いてありました。
確かに漢方薬や鍼灸はインナーバランスを整える側面が強いですよね!現代医学で使われる薬は、どちらかというと切れ味が鋭い刃のような感じで、外側の突起(症状)をスパッ!と綺麗に切り落とす…。そんな感じなんですが、コアな部分のバランスを整えるのは苦手としているのが現代医学の薬物療法。(※漢方薬も鍼灸も即時効果が無いわけではありません)
なので現代医学的な治療でインナーバランスを整える常套句としては「ストレスがかからないように…」だとか、「食事をバランスよく、しっかり食べて…」とか、「睡眠をしっかりとって…」とか、「規則正しい生活習慣を身につけて…」
というような感じで、薬を出した後は患者さん任せなのが現状なんじゃないでしょうか?
…確かに、この常套句はどれも間違えではないんだけれども、1日~2日…生活習慣を変えたからといってインナーバランスが整うはずもないわけで、やはりインナーバランスを整えるには長期的な視野で取り組む必要があるんですよね!そこを手助けするのが漢方☆療であったり鍼灸であったりするんですよぉ~。なのでそう言った側面を理解されたうえで漢方薬とか鍼灸を選択肢の一つとして生活の中に組み込まれると、今以上に健康状態を維持できる事、間違いなしなんですよねぇ~。
・自律神経のバランス
2018年11月7日
人間の身体って自律神経に支配されている事は周知の事実ですが、僕らの仕事は鍼と灸を使って、交感神経と副交感神経のバランスをいかに保つようにするか…が、一番のポイントなんですよね!例えば「交感神経10:10
副交感神経」が超!体調が良い状態だとすると、調子が悪い人は「交感神経7:3 副交感神経」だったり「交感神経4:8 副交感神経」だったりするんですよ。
年齢や体調を考慮しつつ「交感神経7:7 副交感神経」だったり、「交感神経4:4 副交感神経」だったり…もしくは、「交感神経7:6 副交感神経」だったり「交感神経4:5 副交感神経」と、交感神経と副交感神経が近い位置でバランスを取ることが出来れば体調は次第に良くなってくるものなんです。
鍼灸は肩コリや腰痛などの治療だけだと勘違いしている人も多いかも知れませんが、コリや強ばりを取る事で、自律神経のバランスを整えているんですよ!
・患者さんの身体次第です
2018年11月14日
施術者として一番「ホッ!」とする瞬間って、患者さんが笑顔で帰られる時ですね!
すぐ治る症状もあれば、改善するのに時間がかかる症状もあり、全ての患者さんが笑顔で帰られる事はないんですが、症状が取れたり、少しでも楽になれた状態ならば、笑顔で帰られる確率は高くなりますし、患者さんが直後に効果を感じられなくても治療して2~3日後に症状の改善がみられる事もありますので、2~3日後に症状の改善を感じられた場合は2回…3回と来院されます。
一番、治療に根気がいるのが、長期間かけて症状が悪化していらっしゃる患者さんです。
こういう患者さんは普段の生活で、自分の身体に無理を強いて体調を崩してらっしゃる方が多いうえに、自分の生活パターンを変えずに早く治したいという願望がとても強いので、よくキレる刃のように切れ味が鋭い現代医学的な投薬治療でスパッ!と症状を切り取る治療を好まれるんですが、インナーバランスが崩れて体調を壊している方がほとんどなので、現代医学的な投薬治療で症状を取っても第二波…第三波…と、似たような症状…もしくは様々な症状に悩まされ、西洋医学的な投薬治療に疑問を持たれ、東洋医学(鍼灸や漢方)の扉を叩かれるパターンが多いように思います。
東洋医学(鍼灸・漢方)の場合、患者さんの体力次第ではあるんですが、体力がある患者さんでしたら症状をスパッ!と取る事も可能です。しかし、体力が無い患者さんの場合は身体に無理がかからないように徐々に症状を緩和し、体調の核となるインナーバランスを整える事に重きをおきますので、患者さんの根気と治療者の根気が必要となってくるんですね!だから「何回の治療で治りますか?」という問いかけに対しては「患者さんの身体次第です。」とお答えしています。
・灸頭鍼
2018年11月17日
毎回、患者さんの顔を見て、その時の症状を聞きながら治療方針を決めているんです。
この季節だからというわけではなく、なんとなくと言うべきか…
寒くなって体調を崩されている方が多くなったからか…
最近、灸頭鍼を使う率が高くなってきました。
15~6年前…、鍼灸学校に通っていた頃に、ある流派で著名な先生の講習会に行った時に、その先生が「灸頭鍼はダメだ!あれを使うとすぐ治るから、鍼の腕前が上がらなくなる…」って言ってたなぁ~。まぁ~その先生は「灸頭鍼はよく効くよ!」と言いたかったのか…?それとも言葉通り、鍼の腕前を第一義とし「鍼の腕前が上がらなくなるから、むやみに灸頭鍼ばかり使う鍼灸師になってはいけない!…という事が言いたかったのか?
撲の解釈としては、確かに治療経験を積み重ねれば腕前は必然的に上がるものだと思うんですが、自分の鍼の腕前を上げるために患者さんを治療しているわけではないし、自分の腕前より、患者さんの症状が緩和する方を優先したいのでバンバン!灸頭鍼を使いたいなぁ~って、当時から思ってたんですよねぇ~。
治療室の換気システムにもよりますが、ウチの治療室では同時に4箇所以上、灸頭鍼をすると治療室が霧の摩周湖状態で、部屋中が燻されてしまいます…(苦笑) 窓を開ければ良いんですが、この時期、外の空気は結構冷たいし、患部に熱を入れようとしてるのに、窓から入ってくる冷気で患部を冷やしてしまうともともこもない…。その辺の加減が難しいところですが、やっぱり冬は灸頭鍼が大活躍します。
・国際標準化しないといけないものなのか??
2018年11月22日
ジュンク堂に行ったら、こんな雑誌がありました。
最初の数ページは「伝統医療と国際標準」というタイトルで書かれていたんですが、国際標準化ってしないといけないものなんでしょうか?数値化できる現代医学だと情報の共有や国際標準化は可能でしょうが、鍼灸の場合、刺激量など数値化出来ないものが多いため技術の共有は難しいはずなんです。
鍼灸の場合、国際標準化しようとすると、良い側面が削られる割合が多いと思うんですよね!
主に中国…韓国…日本だと思うんですが、鍼灸もそれぞれに土地柄の良さというか、その土地で進化した鍼灸の特徴があると思うんですよ!でも、国際標準化しようとすると、その土地、土地で進化した良い部分が無くなっちゃう気がします。例えて言うならば老舗の料亭に行っても、その土地にしかない御当地ラーメン屋さんに行っても、チェーン展開しているファミレスの味と同じ。…そんな感じでしょうか…。
何て言うのかな…、こう言うのって、表向きは 「マイナスな部分を引き上げて全体のレベルを引き上げる」 というお題目でプロジェクトがスタートするのだけれども、フタを明けてみたら、覇権争いの側面が強くなり、プラスな部分を削って特徴がなくなり、つまらない物が出来上がる。…こんな感じになっちゃってないか???って思っちゃいます。
いいじゃない!中国は中国の…。韓国は韓国の…。日本は日本の鍼灸があってもね!僕らも必要だと思えば、中国の鍼灸…韓国の鍼灸を取り入れますし、そうじゃなければ我が道を行くでいいと思うんですよね!国際標準化なんて必要ないと思いますよ!
・すぐ効く薬が良い薬???
2018年12月13日
A:「この薬を飲んだらすぐ治ったよ!」
B:「へぇ~そうなの!今度、買って飲んでみようかな…」
…という会話が、そこかしこで交わされていたりします。
また一方では…
A:「この薬を飲んだけど、全然効かないんだよね!」
B:「あっ!それ私も飲んだけど即効性がないんだよね!」
…という会話もよく聞かれます。
すぐに痛みや病気の症状が無くなるのは確かにありがたい事ではあるんだけれども、即効性があるものほど身体にとってリスクが大きい事を知らずに薬の効果や即効性を求めている人が多いように思えます。
よく漢方薬がやり玉に挙げられて「あれはじんわり効く薬だから…」とか「慢性の病気には効くけど即効性がない…」とか言われたりしてますが、いつもそう言う会話を耳にしたときに「チョッ待ったぁ~!」って言いたくなるんですよねぇ~。
「薬が効かない…」とか「即効性がない…」と薬のせいにする前に、まず自分の身体が、その薬が効かなくなってる身体なんだと自覚する必要があると思うんですよねぇ~。漢方薬も即効性はありますし、現代医学の薬も効果はあります。手前味噌ですが鍼灸治療も効果は確実にあります。でも、即効性を感じられなかったり、効果を実感できない方は薬や鍼灸を疑う前に、まず自分の身体が薬や鍼灸治療が効かなくなっているほど悪くなっているんだと自覚すべきだと思うんです。
「じゃぁ~、ど~すればいいの?」
…という声が聞こえてきそうですが、薬や鍼灸が効く身体に戻すには、生活習慣の改善や食事の改善に尽きると思うんですよね!多分、薬や鍼灸が効かない身体の方は「生活習慣の改善や食事の改善を自分でやるのが面倒くさいから、薬を飲んだり鍼灸治療を受けたりしてるんだよ!」って言われるかも知れませんが、セルフコントロールに勝るものなしなんですよね!
御自身でセルフコントロールしながら、補助的な役割として鍼灸治療や投薬治療を取り入れる方が、健康的な身体を手に入れる近道だと思うのですが、どう思われますか?
治療と施術…
2018年12月18日
友人が酒の席で「鍼灸って治療じゃなくて施術なんだってね!知り合いの医者が言ってたよ!」…との事。
彼は鍼灸師でも医者でもなく普通のサラリーマンで、時々、ウチで鍼灸治療を受けてくれていて、かかりつけの病院に行った際に「鍼灸にも通ってます。」…と、お医者さんとの会話の中で話したら「鍼灸は治療じゃなくて施術だ…」と言われたそうな。
広辞苑第六版によると、治療とは「病気やケガを治すこと。また、その為に施す種々のてだて。」とある。また、施術とは「手術・催眠術などを行う事」とある。…と言うことは治療はなにも医者じゃないとやってはいけない行為ではなく、どちらかというと、手術は医師しか出来ない行為なので、医師のみが行える行為は治療の範疇の一施術だと言う方が正しいように思えるんだけどな…。
…そうかと思えば、保険の書類などを書く時や公的文章をなどでは「鍼灸院や整骨院は保険医療機関ではないので医師が行う「治療」と異なり、鍼灸師や柔道整復師では「施術」という表現が用いられる。」と習った覚えがあります。…たぶん、僕の友人に「鍼灸は治療じゃなくて施術だ…」と言ったお医者さんは、この事を言っているんでしょう。
またまた…広辞苑第六版によると、医療とは「医術で病気を治す事」とあり、医術とは「病気や傷を治す為の技術」とあります。
確かに健康保険制度だけでモノを見ると、「健康保険は病院以外では使えない」というのが大原則であり、病院以外で保険を使う場合(鍼灸や整骨院で保険を使う場合)はお医者さんによる適当な治療手段が無い場合…もしくは現代医学では今以上に効果を期待出来ない場合に限るとされているので、医者が行う行為と、鍼灸師や柔道整復師が行う行為を明確に分類する必要性から「治療と施術」の分類が始まったように思えますが、これはあくまで書類上の事であって、医者がやる事…鍼灸師がやる事…柔道整復師がやる事は医療であり医術であり治療であり施術であるわけなんですよね!
これを理解した上でも、まだ施術と治療を区別したいという人がいるのであれば、その人は根本的に優位性を示したいだけの傲慢な考え方の人なんだろうなぁ~って事なんでしょうね…(苦笑)
・対処療法
2018年12月27日
” 対処療法”って、なんかその場しのぎ的な感じで使われる事が多いように思えます。学会や討論会などでも、根本的な治療を良しとし、対処療法はあくまでも対処療法…というような感じで、どちらかというと対処療法を軽視しているように思えることもしばしば…。
東洋医学では本治法と標治法という言葉が使われていて、「本治法=病の根本を治す治療」「標治法=表に出てきている症状のみを取る治療」というようなニュアンスで使われ、標治法を軽視する風潮があるように思えます。
ここで考えないといけないのは、病には”程度”があるという事なんですよねぇ~。
身体の治癒力で治る不調なら対処療法・標治法で十分治りますし、身体の治癒力が低下している場合は根本的な原因を探る療法。本治法を施す必要があります。
僕自身は本治法だろうが標治法だろうが、根本的だろうが対処法だろうが、全ては治療の範疇なので分類すること自体がナンセンスだと思っているんですけどね!
例えば…痰を出す咳は止めるべきではないけれど、咳が続けば、首が凝ったりします。身体の治癒力が働き、病が癒えて痰が出なくなれば咳は止まりますから、凝った首を鍼灸で治す事は、十分、重要な対処療法なんですよねぇ!
・五十肩と言われる肩の不調…
2019年1月16日
最近、なぜか五十肩の治療をすることが多くなっている気がするんです。
鍼灸を受けたことがない多くの皆さんが…
A:「肩が痛くて腕が上がらないんだよぉ~」
B:「あっ!それ五十肩(四十肩)だね!私もなったことあるよ!」
…というような会話を知人とされて、病院に行ったり、整骨院に行ったりするけど、なかなか治らないから、痛そうで怖いけど切腹覚悟で初めて鍼灸院に来院…なんてパターンが多いかな…。
四十肩・五十肩は腕が上がらなかったり、肩が痛かったりする症状なんだけど、放っていけば自然に治るものだ…という事は知られいていると思うんです。でも早い人は1ヶ月位で治る人もいらっしゃれば、2年くらい症状が続く人もいらっしゃるんですよねぇ~。だから…放っておいても治るには治るんですが、治療した方が確実に早く治るので、痛い思いで最長2年間を過ごすより、治療して早く治した方がいいと思うんですよね。
それと…実は、一般の方にはあまり知られてないと思うんですが、五十肩って専門医でも診断が難しいらしいんですよ!
一般の人からすれば、「腕が上がらない=五十肩」という感じで自己◎断して「先生!五十肩になっちゃった!」という感じで来院されますが、肩が痛くて腕が上がらないという症状の場合、「五十肩(四十肩)…」「腱板断裂…」「石灰沈着性の腱板炎」を疑うんです。
「腱板断裂…」「石灰沈着性の腱板炎」は、腱板と呼ばれている筋肉が切れたり剥がれたり、石灰が沈着したり…と、いずれも肩の老化や摩耗(使いすぎ)が原因で起こる症状なんですが、肩が痛くて腕が上がらない症状で、腱板断裂や石灰性腱炎(石灰沈着性の腱板炎)に当てはまらない症状に対して「あっ!これは五十肩ですね!」となるわけです。
五十肩は筋肉と肩関節の動きを潤滑にする滑液包というものが炎症を起こしたり、腱板と呼ばれる筋肉や、それに付随する筋肉が原因で拘縮(関節可動域制限)が起こる事で症状が出ると言われています。
四十肩・五十肩は放っておいても治るんですが、腱板断裂や石灰性腱炎に対しても、痛み止めや炎症を抑える薬はあるけれど、症状を治す薬はありません。症状の強弱にもよるんですが、現代医学でも基本的に自然治癒にまかせるというのが、この肩が痛くて腕が上がらない症状に対しての療法となってるんですよ。
そこで、鍼灸ですが、鍼灸の一番の利点はダイレクトに、筋肉にアプローチできるという事なんですよね!現代医学でも基本的に自然治癒にまかせているわけですから、五十肩・四十肩に対しても、腱板断裂に対しても、石灰性腱炎に対しても痛めている患部にアプローチするのではなく、他の腱板を構成している筋肉の萎縮を防ぎ、関節可動域を徐々に広めて運動療法しやする事で、症状の改善を図るのが一番いい方法だと思います。
毎回、言いますが、治療はあくまでサポート。患者さん自身が運動療法出来るまでのサポートなんですよねぇ~。主役は患者さん自身の身体です。
・鍼灸師は魔女だったのです…(苦笑)
2019年1月25日
先日、ラジオで町山智浩さんがリメイク版の映画『サスペリア』を解説していて…映画の話の流れから『魔女』の話になったんですよねぇ~
『魔女』というものに関しての知識と言えば、鷲鼻の老婆が黒っぽいずきんをかぶって、グツグツ煮えている鍋をかき回しているシーンが童話や絵本で描かれていたり、奥様が口元をはにかむようにして鼻をピクピク動かせばダーリンがネズミになったり、魔法にかけられたり…。つい最近?では宅配業務にいそしむ可愛い魔女まで現れたりと、時代の移り変わりで、だいぶイメージも変わってきてますよね。
町山さんの解説によると、キリスト教が広まる前のヨーロッパは、土着の宗教が数々存在し、土地の神様や太陽の神様や水の神様などなど、日本でいう八百万の神々が存在していて、その神様達に豊穣を祈願したり、踊りを踊って色々な神様に祈ったり、草木を煮て漢方薬的な薬を作ったりしていた人達がいたそうなんですよぉ~。でも、その後、キリスト教によって…キリスト教は一神教ですから、他の神様を信じるのはダメ!という事で…、踊りを踊って様々な神々に祈願したり、薬を作ったりする行為が全面的に禁止されたらしいんですが、細々と、お祈りをしたり、薬を作って病気を治したりする人達は密かに活動していたけれど、その人達を魔女呼ばわりして、『魔女』という存在を作り上げたというのが歴史的な流れらしんですゎ!そんでもって…ペストや流行病や水害・災害など災いが起こるたびに「魔女のせいで災いが起きたのだぁ~!」とスケープゴートに仕立てて魔女狩りを行っていたそうなんですよね…。
この話をラジオで聴いた時、おいおい!ひょっとして…時代が時代なら、鍼灸師は「鍼を刺すだけで…、お灸をすえるだけで…、病気を治す変な奴がいるらしいぜ!あいつ…魔女なんじゃねぇ~か?」ってな感じで魔女狩りにあってるかもしれないわなぁ~って思ったんですよねぇ~(苦笑)
「キリスト教が広まる時に、それまで存在していた宗教を全面禁止にしたけど…細々と、お祈りをしたり、薬を作って病気を治したりする人達は密かに活動してた…」というくだり…、何となく明治時代に西洋医学以外は医学と認めないという日本政府の方針で、漢方医や鍼灸を生業とする人達が弾圧を受けていた事と似てなくはないなぁ~って思っちゃいます。
まぁ~覇権争いは世の常なんでしょうが、端から見ていて、権力を持っている人が権力を振りかざす瞬間、その人の人間性がとてもちっぽけなモノに見えてしまうのも事実です。…やっぱ…何事も「ほどほど」が一番良いように思えるんですよねぇ~。
・扁桃腺炎・咽頭炎の鍼灸
2019年1月29日
先日、電話で「扁桃腺が腫れて痛いんですが、鍼灸で喉の痛さをとる治療をされたりはしてませんか?」という問い合わせがあったんです。
肩コリや腰痛で来られている患者さんが 「腰や肩が痛いんですが、ここ最近…ちょっと喉も痛くて扁桃腺が腫れているんですよねぇ~、鍼灸でなんとかなりませんか?」
と、喉の不具合を訴えられる事は、ちょくちょくあるけど、喉の痛みだけを愁訴として鍼灸を受けたいという患者さんは、そんなにいらっしゃらないんですよねぇ~。
基本的に鍼灸で喉の痛みや扁桃腺の腫れを治療する場合、首回りや喉周りの血液循環をよくする事を目的に鍼灸をするのと、足の指の特効穴で喉の痛みを取る治療をします。基本的に扁桃腺が腫れる状態は身体の免疫力が低下している状態ですから、どんどん喉の周りの血液循環をよくして免疫システムを高めるように身体を導いていきます。
基本的に扁桃腺ってどんな働きをする場所なのかというと、関所や税関みたいなところで、ウイルスや細菌から身体を守る為の場所なんですよねぇ~。病原体が扁桃腺に付着して増殖すると炎症を起こし、扁桃腺が腫れて熱が出る。…身体は発熱することで病原体の活動を抑えようとするわけですけど、扁桃腺が腫れると喉も痛いし、高熱が出やすいので、結構…体力が消耗してしまいます。
病原体と一言で言っても、色々とウイルスや細菌の種類も数多くあるんですが、おおよそ…扁桃腺炎や咽頭炎を起こす病原体はインフルエンザウイルスとか単純ヘルペス。その他にアデノウイルスや溶連菌などがあげられます。特殊なモノとしては性感染症などで感染する淋菌やクラミジアや梅毒が原因の場合もあるんですよね。医学書によればアデノウイルスや溶連菌が原因の場合、喉の痛みや腫れが強いとありました。
私事ですが、僕自身、子供の頃から扁桃腺をよく腫らして熱を出していましたし、10年前だったかな…、強烈な扁桃腺炎を患った経験があるんです。ある朝、喉がキンキンに腫れて、水を飲むのも痛くて涙が出ちゃうくらいで、食事もできず、発熱も40度近く出ましたかねぇ~。自分で通常、喉の痛みを訴える患者さんにする鍼灸で、首回りのコリを取り、喉や首回りの血液循環をよくして、足の指の特効穴にもお灸しましたが、喉の痛みが取れるのは数時間だけでした。
鏡で喉を見たら、膿が扁桃腺から滲み出ていたので、耳鼻科に駆け込み、錠剤の抗生剤をもらうも症状は改善せず、翌日にステロイドの点滴をしてもらうと、痛みが嘘のように取れるんですが、その効果も半日ほどしかもたず、3ヶ月ほど喉の痛みに苦しみましたねぇ~。今にして思えば、そうとうな痛みでしたし、インフルエンザや単純ヘルペスではなく、アデノウイルス…もしくは溶連菌の感染だったのかもしれません…。
喉が痛くなる原因がなんなのか?菌やウイルスを培養して判断する事は、今の技術をもってすれば可能なことなのかも知れませんが、ホイホイとすぐに結果がわかるものではなく、病院などの現場では所見で症状から判断する事が多いんじゃないでしょうかねぇ~。
いつもブログに書いてますが、病には「程度」があり、病原体が同じでも症状が軽かったり、重かったり、と症状も人それぞれだと思うのですが、僕が経験した3ヶ月ほどの喉の痛みで、即時効果があったのはステロイドの点滴でした。しかしステロイドも実質、6時間~半日ほどしか効果はなかったので、平行して自分で首のコリを取る鍼をして、足の指の特効穴にお灸をすることで、免疫力を徐々に上げて3ヶ月後のある日、「あれ?喉が痛くない!やったぁ~」と喉の痛みから解放されたわけなんです。
僕の経験上、軽い喉の痛みであれば鍼灸で治すことは可能です。でも酷い場合は抗生剤やステロイドや抗ウイルス薬を併用しながら、免疫を高める目的で鍼灸をされた方が、早く治ると思いますね!
以上…備忘録的な事柄でございました。おしまい。
・別に特別な事じゃないんだけどね!
2019年2月16日
先日の『ためしてガッテン』で「新原因 ”発見! 衝撃の肩・首のこり改善SP」っていうのをやっていて「首コリの原因は首の奥の筋肉と目の使いすぎ…」という事で、後頭下筋群が紹介されていて、鍼灸師の人が後頭下筋群に鍼をするシーンや、鍼を刺入する深さを解説していたんですが、コーナーの終わり際にテロップで「どの鍼灸院でも後頭下筋群に鍼を打てるわけではありません。事前に確認」というのが出てきて、ズッコけそうになりました。
…はて?…後頭下筋群に鍼を刺入できない鍼灸師なんているのだろうか?
浅鍼でパタパタと鍼が倒れるような治療がメインだったり、鍼を深く刺すことを毛嫌いしている流派の先生がやってる鍼灸院だったら、やらないかも知れないけど、さも…後頭下筋群に鍼を打つことが特別な事のように受け取られかねない表現のしかたは、いただけませんなぁ~。影響力がある番組なんだから、もうチョッとその辺を考慮して欲しいものです。
・諸説ございます…(苦笑)
2019年2月21日
昨夜の 『ためしてガッテン』 で鍼灸を取り上げてましたねぇ~。はりきゅうふくたのHPの閲覧数が昨夜の8時頃に急激に上昇していたのはこのせいでしょう。(別に僕が出演していたわけじゃ無いのに…TVの影響力って凄いなぁ~)
僕も録画してこの番組を見たんですが、鍼灸を受けた事が無い人や、鍼灸に不信感をいだいている人達へ、鍼灸を紹介する内容としてはイイ感じで紹介されていたと思います。(ただ…経絡敏感人の経絡上に反応が出たっていう中国の写真は…、ありゃ~刮痧の痕っぽいなぁ~…(苦笑))
まぁ~ど~してもプロ目線とでも言いますか…、鍼灸に携わってる者としては 「それだけじゃないんだけどね…」 とか 「んっ???」 って言いたくなる場面もいくつかありましたが、鍼灸の場合、全ての論調に「諸説ございます。」という文言が付くのも事実です。
番組の中で ”エビデンス(科学的根拠)” について少し解説していたシーンがありましたが、現代医学が今の形式になって発達し始めたのが19世紀後半と言われています。だからここ200年の間に 「あ~でもない!こ~でもない!数値化すべきだ!レントゲンやMRIなどの画像が必要だ!エビデンスがないと信じれない!…etc」 と現代医学の土俵を作り上げてきて 「この現代医学の土俵の上にあるものが医学であり医療なのだぁ~!」 と声高に主張する一方で歴史的背景もあいまって 「この現代医学の土俵にないものは医学や医療じゃないからね!」 というような流れになっている中で、なんとか鍼灸もこの現代医学の土俵に残ろうと必死にしがみついている構図が最近の鍼灸を取り巻く環境なんですよねぇ~。
でも…基本的に鍼灸とか東洋医学的な治療は、現代医学が構築される以前に、すでに作られ運用されていた医学ですから、それに数値化を求めたり、エビデンス(科学的根拠)を求めたりすること自体が間違っていると思うんです。確かに科学は進歩してますからエビデンスを求めたり、数値化する事は科学の力をもってすれば容易い事のように思えるかも知れませんが、森羅万象、科学で解き明かせない事は山のようにありますし、科学の進歩を望みながらも、一方で科学は万能ではないという事を頭の片隅に留め置くべきだと思うんですよねぇ。
所謂、東洋医学と現代医学は土俵が違うと思うんです。東洋医学的思考や鍼灸は2000年だか3000年だか知りませんけど、長い年月をかけて色々な人が試行錯誤し構築してきた医学なので諸説あって当たり前ですし、結果(治療効果)が出ているから2000年…3000年と連綿と受け継がれてきているわけで、デタラメな医学ならば淘汰されているはずです。
東洋医学的思考や鍼灸に数値化やエビデンス(科学的根拠)を求める事はボクサーに相撲のルールで相撲取りと戦え!と言うような異種格闘技的な側面が強いと思います。
「なぜ効くのかわからないから怪しい…」…と言う人がいたり、番組の冒頭で「捻挫に鍼を刺しただけで治ると思いますか?」と街頭インタビューされた人が言ってましたが
「結果的に治ってるならだ、それでいいじゃない。」 …って思うんですよねぇ~。昨日のブログにも書きましたが、最近の風潮として白黒付けたがる考え方が幅をきかしている感じですが、全てにグラデーションは存在する事を認識したうえで、物事を考える事ができたなら
「現代医学も良いし、東洋医学も良いし、鍼灸もいいよね!」 という思考になれると思うんですけどねぇ~。
・多様性の低さを感じる言葉
2019年3月9日
以前、読んだ本で 『(あまり)病気をしない暮らし ~読んで笑って医者いらず!~ 』 という本があります。
ダイエットの事とか…飲酒に関してとか…癌の事に関して分かりやすく、本音が書いてあるなぁ~って感じれる面白い本です。
本音が書いてあるからこそなのかも知れませんが、この本の項目に 「代替医療を疑え」という項目があったんですよ!そのなかで「エビデンスのない治療法に身をゆだねるのは、あまりに危険すぎると思いませんか?」と書かれていました。
たしか…前作の 『こわいもの知らずの病理学講義』 でも “がんもどき” や ”瀉血” に関してボロカスに書かれていたように記憶してるんですが、この本の著者の仲野先生は、ノーベル賞の本庶先生の研究室にも在籍されていたらしく、最先端医療に携わる現代医学のお医者さんだから代替医療という枠組みに属している医療が古くさく見えて、代替医療なんか認めないというスタンスになるんだろうなぁ~。
著者の経歴を知ると、あぁ~ね…「代替医療を疑え」…と言うのも、然もありなん…って感じですな…。
僕は、前作の本と、今回の本と…結構、本音が書いてあって面白いなぁ~と思うし、もしも機会があれば仲野先生の講義など聴講できたら面白そうだなぁ~って思うんですが、「鍼灸師をやってます…」って言おうものなら、眉間にシワを寄せられそうですなぁ~。鍼灸や東洋医学は代替医療の括りになってますからね…(苦笑)
まぁ~僕自身も「癌の治療を代替医療のみで…」…などとは思っていませんし、適材適所というか…その状態や症状にあった治療を行うべきだと思います。
ちょくちょく、このブログにも書いてるんですが、東洋医学とか鍼灸の思考は概論的な側面が強く、現代医学は各論的な思考で治療するものだと思うんです。なので概論的な意見と各論的な意見がぶつかり合っても、結果的に双方が「お前らは何もわかっていない!だからダメなんだ!」
という感じで話は平行線…って事が多いものなんですよね!(まぁ~基本的には、お医者さんの方が専門的知識も豊富だから、各論的思考が概論的思考をやり込めるって感じになっちゃいますけどね…)
僕も本音を言うならば、著名な先生が本で 「代替医療を疑え」 …って書くのはどうかな?…って思うんです。僕ら鍼灸師が読んだら 「あっ!また現代医学の偉い先生が何か仰ってるのね…」 って思いますが、一般の人が読んだら 「ノーベル賞を取った先生の研究室に在籍していた偉い先生が「代替医療を疑え」って言うんだから、やはり…代替医療(鍼灸)って怪しい治療みたいだね!」 って思う人が少なからずいるはずです。
まぁ~偉い先生の言葉や文章は、それだけ影響力があるという事です。
「代替医療を疑え」って言葉に、どこぞの国のトランプ大統領が、なぜ大勢の難民が国境を越えて来るのか?…など歴史的背景を検証せずに「国境に壁を作る」って言いだしたのと同じような多様性の低さを感じるんですよねぇ~。
西洋医学とか東洋医学とか現代医学とか代替医療とか、医療をカテゴリー分けしている背景には、優位性を示す覇権争いというか…エゴの塊がそうさせてるような気がするんですが、なぜ互いに罵りあったりするかねぇ~?
「医療という括りの中に色々な治療方法があって然るべき。」…という考え方は出来ないものでしょうか?これって、まるで 「関西風お好み焼き vs 広島風お好み焼き」の言い合いを見ているようで、笑けてしまいます。関西風だろうが広島風だろうが、どっちが元祖かなんてどうでもいい話で、要は美味いしければ、どっちでもいいはずなんですよねぇ~。
まぁ~これも負け犬の遠吠えにしか聞こえないかもしれませんが、白黒ハッキリ付けたがる欧米的な思考が幅を効かせてる昨今ですが、灰色っていう色もあるんだし、グラデーションも存在するという多様的思考で物事に取り組まないと、これからはダメだと思うんですけどねぇ~。
・技術は伝承するのか?否か?
2019年4月12日
以前、ブログで…
「広く浅く収集する技術や知識は、色々な人の英知の集まりですが、それをまた自分の中でこねくり回し自分なりのモノを作り上げて行く。これが僕の技術なので、この技術が別な人に伝わったとしても、伝わった時点で、それは一つの素材となり、また別なモノに作り変えられるわけなので、技術に伝承は成立しないというのが僕の考えです。でも…心意気は伝承すると思うんですけどね!…」
…って事を書いたら、時々、色々な知り合いから…「技術の伝承は成立しない…ってブログに書いてたけど、それは違うと思うな!」 と、ご高説を賜るんですが、僕の考えは変わらないんですよねぇ~(苦笑)
東洋医学を基準に 『技術の伝承』 という事を言い出すと、もともと東洋医学の思考事態が千変万化とでもいいますか、いかようにも解釈できる代物なので、説明が難しくなるし理解しにくくなると思うから、僕の好きな音楽で 『技術の伝承は成立しない…』
という事を解説しますね!
あっ!その前に… 『心意気』 や 『考え方』 や 『想い』 は伝承しますからね!ここで言ってるのは、あくまで 『技術』 の話です。くれぐれも 『心意気・考え方・想い』 と 『技術』 を混同しないようにしてくださいね!
例えば…チャック・ベリーというロックンロールの代名詞のようなギタリストがいますが、彼の曲のギターリフで超有名なジョニー・B・グッド♪ のイントロのリフがあるんですけど、あのリフはチャック・ベリーそのもの…。所謂、チャック・ベリーの技術なんですよね!(本当は、チャック・ベリーが考え出したモノではなく、ルイ・ジョーダン???だったかな?…ピアノのリフをパクった…とか、管楽器のリフをパクったものだという噂ですし…、映画 『バック・トゥー・ザ・フューチャー』 では、未来から来た主人公(マイケル・J・フォックス)がダンスパーティーでジョニー・B・グッド♪ を弾き、その演奏を電話ごしに聴いたチャック・ベリーがマネした…となってましたが…(諸説ございます ( ̄▽ ̄;) )
他の人がチャック・ベリーのジョニー・B・グッド♪ のイントロを弾くと 「あっ!チャック・ベリーぽいね!」 となるわけで、チャック・ベリーのマネになるわけですよね!「真似る…」という言葉が出てきましたが、ここで 「技術の伝承とはマネをすることなのか?」…という疑問が浮かんできますが、僕は、人の技術(オリジナルのモノ)が別な人に伝わった時点で、技術は1つのパーツになると考えます。
技術というモノは、あくまでオリジナルなものを 『技術』 と言い、他に渡ると技術は素材になるわけです。なので技術を受け取った人は、それぞれの先人達が作り出したパーツを組み合わせ、自分の発想も加味しながら、自分なりのオリジナルなもの…。所謂、『新しい技術』 を作り出すわけです。
「先代と何一つ違うこと無く…」 ということは、先代のクローンでも作らない限り無理なんじゃないかな?
機械なら可能なのかも知れませんが、人が関わる場合、代々伝わっていると思われている技術も、伝わる年代が長ければ長いほど、人の手が加わるので微妙に変化してるはずなんですよね!…鍼灸の技術も、そのようにして変化しながら伝わってきているモノだと思います。
ですから、『技術』 = 『オリジナルなモノ』 と考えれば、技術の伝承はありえず、絶えず変化している。…となるわけです。
技術の中に 『心意気』 や 『考え方』 や 『想い』 という感情的要素が加わっていると考えている人達からすると 「技術は伝承するモノだ!」… となると思うんですが、チャック・ベリーはチャック・ベリーだし、ジェフ・ベックはジェフ・ベックなんですよねぇ~。同じようなギターフレーズをコピーして弾ける人は山ほどいますが、その人達は僕にとってはチャック・ベリーっぽいギターを弾く人であり、ジェフ・ベックっぽいギターを弾く人なので、ただマネをしている人にしか見えないんですよねぇ~。
マネを積み重ねて新たな技術を作り出す。これを伝承と言うのか?否か?
僕は新たな技術を生む出した時点で、それはその人のオリジナルな技術と捉えるので、「否!」と思います。
でも…こんな事を書いていたら、自分が頭でっかちな堅物に思えてきたし…なんか面倒くさくなってきたなぁ~。(笑)伝承しようが、しまいが…、もうどっちでもいいですゎ。(苦笑)
・『いのちの仕組み』を読んだ。
2019年4月19日
僕の東洋医学や鍼灸に関する知識は、過去に読んだ本に書いてあった事とか、学会や勉強会に行った時に講義をして下さった先生方の考えとか、学生時代に専門学校に通っていた時、学校の先生方に教わった事とか、色々な先生方から得た知識に、僕なりの解釈を加えて構築されているモノなんですが、情報が増えれば増えるほど頭の中で知識が混在しているというか、「言語化出来ないけど…こういう事なんだろうなぁ~」
というように、感覚的に認知している事柄が増えていて、例えるならば…、整理できていない机??、もしくは、本が山積みされている大学教授の部屋??みたいな感じで、「えぇ~っと!?確か…ここの本棚にあったよな…」…的な感じで、事あるごとに頭の中で情報の引き出しを引っ張り出して結論づける…。そんな感じなんですよねぇ~。
この 『いのちの仕組み』 という本の著者の石原先生の講義は何度か聞いた事があり、1年間、九鍼(東京九鍼研究会)の講習を受講していた際に、打ち上げの席で酔っ払った石原先生に「僕も、もうすぐ50才になるので自分に何が出来るのか?何を残す事が出来るのか?…なんて事を考えちゃうんですよねぇ~」 なんてチョッとした悩みを打ち明けたら、「福田さん…自分に何が出来るか…何を残すかではなく、何がやりたいかを明確にしておけば、自分の世代では成しえなくても、次世代…もしくは、その後の世代が、やりたかったことを達成してくれるものですよ!」 と即答して頂き、「あ~…石原先生の、この言葉を聞くために、はるばる幕張まで九鍼の講義を受けに来たのかもねぇ~」 なんて思ったのが6年前の事…。
石原先生が新しく本を出版されたとSNSで知り、購入して読んだんですが、この本を読み終わったあと、頭の中に混在している知識の点と点が線でつながった感じがしました。いやぁ~読み終わったあと、本が付箋と蛍光ペンのラインでいっぱいになっちゃいましたよ!(苦笑)
でも…凡人の僕には、アストラル体とか…エーテル体というワードが出てくると、いまだにチョイと身構えてしまうんですが、鍉鍼 (テイシン:刺さない鍼です) が効くっていう事は、こういう事なんだろうなぁ~って、受け流すというか、今の僕に理解出来る範疇で納めてますが…(苦笑) まぁ~追々もっと深く理解出来るでしょう…。 多分…ぼちぼち…(;^△^)ア
「2割~3割、治れば御の字」…について考える。
2019年5月7日
最近、国家資格を必要としない揉み療治系(ホントは揉み療治は国家資格が必要なんですけどね…)やヒーリング系のチラシを色々なお店のレジ横で目にする事が多いんですが、時々「病院が諦めた痛みを完治させます」…というようなキャッチコピーが書かれていたりするんですよね。
こういうキャッチコピーは、人の目を引くには、もってこいの言葉なので、キャッチコピーとしての効果は大きいんでしょうが、鍼灸師の僕としては「このチラシを作った人って、本当に人の身体の事を理解しているのかな?」って思っちゃうんですよね!
以前、あるお医者さんと話をしていて、その方が「最近の患者さんは病院に来て治療を受ければ機能が100%回復すると思っている人が多すぎる! 正直、2割~3割治れば御の字と考えないとダメですよ!」と言われてました。
「2割~3割、治れば御の字…」という言葉の真意は「老化を止める事は出来ない…」という事なんですよね。身体の疲労が原因で起こる場合の病気は、治療や薬で身体が本来持ち合わせている回復能力を鼓舞し、機能が100%回復する事もありますが、老化が原因で起こる場合の病気は2割~3割、治れば御の字…と考えるべきなんですよね!
いくら医学が進化して…ips細胞で臓器を作る事が出来るようになっても、老化を止めたり、人が死ななくなる事はないと思います。
それでも、2割~3割の回復では満足いかない人達は、強い薬を使ったり、身体にメスを入れて無理な治療にチャレンジしたりするんですが、老化は止められないので、次第に医療に不信感をいだくようになり、最終的に「病院が諦めた痛みを完治させます」…というキャッチコピーに期待をいだくようになる。…そんな図式でしょうか…。
「どこに行っても治らないので…」と、鍼灸院に来られる患者さんも、現代医学に不信感をいだいていらっしゃる方も少なくはないんですが、いくら数千年の歴史を持ち合わせている鍼灸でも「老化が原因で起こる病気の場合は2割~3割、治れば御の字…」というのは変わりません。
しかしながら、飛行機が着陸態勢に入って、その機体を上手にランディングするかの如く、老いていく身体に合った動作が出来るように手助けするには鍼灸はとても適している治療です。
真摯に病気と対峙していれば、気軽に「病院が諦めた痛みを完治させます」…という言葉は使えないはずなんだけどなぁ~。
患者さんにとっては自信なさげに感じるかも知れませんが「2割~3割、治れば御の字…」という言葉を言えるお医者さんって、僕からすると信頼出来る人のように思えます。
・チコちゃんに叱られるで腹の虫の事をやってましたね!
2019年5月14日
先日の 『チコちゃんに叱られる』 で「腹の虫がおさまらない…の虫って何の虫?」っていうのをやってましたね!
長野先生が解説で出てくるかと思ったんですが、解説は長谷川先生でした。
平安時代は「鬼」が病の元凶だと言う事で祈祷をして病気を治していたが、戦国時代の頃から「病は医者が治すものだ!」…と主権を握るために、お医者さんが「病気の原因は鬼ではなく虫によるものだ!虫が原因だから薬で虫を退治する」という考えを広めたらしく、その後も病気以外の身体の変化も虫が引き起こしているということになったので、「腹の虫がおさまらない…」とか「虫の居所が悪い…」とか、「なき虫…」とか身体や気持ちの変化に「虫」が付く言葉が現代にも残っているという事でした。
この番組を見て、東洋医学とか漢方とか鍼灸の事をあまりよく知らない一般の人は「病気を祈祷で治すなんて時代遅れも甚だしいネ!」…とか、「身体の中に虫がいて、その虫が病気を引き起こすなんて、架空のものに対しての行為に「医療」と言っていたなんて古くさいなぁ~!」って思った人…多いんじゃないかな?
でも、ここで…病気は何が原因で起こるのか?病気がなぜ治るのか?という事を考えてもらいたいんですよね。
このブログでも再三再四、書いてますが、病気が治る過程で、身体の免疫力や自然☆癒力が低下してしまえば、いくら最新の治療を施しても、高価な薬を与えても病気は治らないのは周知の事実です。基本的に病気を治す主力的戦力は身体の免疫力や自然治癒力で、薬や手術や鍼灸)は身体の免疫力や自然治癒力を助けているだけなんですよねぇ~。
遺伝的な病気や先天的な病気や老化が原因で起こる病気を除外すると、おおよそ、それ以外の病気の原因を突き詰めれば、病の始まりは生活習慣であったり食習慣であったりするものです。「鬼」を第三者的な存在…または架空の創造物と考えずに、心の中の怠け癖を「鬼」という表現で表し、生活習慣や食生活を直さなきゃいけないんだけども、心の中の怠け癖(鬼)に勝つことが出来ない人は、他力に頼るしか無いので「祈祷」という、チョッと仰々しい感じの事をする事で、生活習慣や食生活の改善を促し、身体の免疫力や自然治癒力を鼓舞していると考えたら、あながち祈祷も理にかなっている治療の一つだと思うんですよね!(まぁ~ウチの鍼灸院では祈祷はしませんけどね…(苦笑))
虫に関しても「祈祷だけでは治らないものが多すぎる!」…と、当時の医者が一念発起し、病気と真摯に向き合う過程に作られた想像上の産物ですが、想像上の虫ではあるけれど、現代では常識になっている細菌やウイルスを「虫」と表現していたと考えるなら、先見の明があったと言わざるを得ないと思うんですよねぇ。
久しぶりに本棚から引っ張り出して『戦国時代 ハラノムシ』を、もう一度、読みなおしてみようかな…。
・その週の疲れはその週の内に…
2019年5月23日
今日、福岡は最高気温が30℃になるらしいし、朝の情報番組によると、昨日、熊本の山鹿では最高気温と最低気温の気温差が20℃あったそうな…
夏になっていないのに、既に夏バテしそうな要素を感じる昨今ですが、季節の変わり目なので「体調がど~もパッとしない…。」「疲れが取れない…。」という人…多いんじゃないでしょうか?
僕ら鍼灸師が「そんな時に鍼灸を受けたらスッキリしますよぉ~!」と声高に叫んでみても「鍼灸って健康には良さそうだけど、鍼を刺されるのって怖いし…」と言う人も未だに多いし、鍼灸に対して懐疑的な人は「鍼を刺したくらいで健康になるわけないじゃん!」と言う人もチラホラ…
そんな人向けへの例え話として、重い荷物をカバンに詰めてパンパンになったカバンを長時間、持ち歩いてると疲れますよね!?そんな時に重いカバンを置いて少し休んだら体力が回復し、また重いカバンを持って歩けるようになります。鍼灸は体のコリを取る事には長けている療法です。〈身体のコリ=重い荷物〉と考えると分かりやすいと思いますが、鍼灸でコリを取る事は、重いカバンを置いて少し休んで体力が回復するのを待つ事と同じなんですよね!
身体の回復力がしっかり機能している世代ならば、背負ってる重いカバンを置くだけ(鍼灸を1回受けるだけ)で体力が回復して、また同じ重いカバンを持ち歩く事が出来ますが、老化…、もしくは若くても様々な理由で体力の回復力が弱い人は重いカバンを置くだけ(鍼灸を1回受ける)では、なかなか、同じ重いカバンを持ち歩く事が出来ないので、そんな患者さんには僕ら鍼灸師は体力が回復するまで時間をかけて治療する事を勧めますし、カバンの中身を整理して、出来るだけ必要なものだけを持つようにしてカバンの中身を軽くしませんか?…という提案をするんですが、カバンがパンパンな人って「コレも必要だし…あれも必要なんだよね!」…と、カバンの中身を軽くしようとはしないし、人によっては「プライベートな事には立ち入らないで欲しい」「マインドは変えられたくない…」というような感じで、聞く耳を持たずアドバイスを煙たがる人もいたりします。だいたい、そう言う人は「自分の生活を変えず、早く病気だけを治して欲しい!」という感じなので、鍼灸が続かず、強い薬物療法に走ったり…御祓い系に走ったり…(苦笑)…して最終的に医療不信に陥っちゃうんですよねぇ…。
まぁ~こういうのって特殊な例かもしれませんが、時々、そういう患者さんに出くわす事があります。
まずシンプルに物事を考えれば、「辛いなぁ~」と感じたら、重いカバンを置いて、ひと休みし、カバンの中の整理をして背負ってる荷物を軽くする。
でも…どうしても背負ってる荷物を軽く出来ない事情がある場合は鍼灸で…、理想は「その日の疲れはその日の内に…」ですけど、最低でも「その週の疲れはその週の内に…」で、疲れを取り除き、色々な事をやり過ごす事が出来る程度まで体力を回復させる。これが身体には一番優しい療法だと思います。
・健康への種まき
2019年5月28日
種を蒔いても、翌日に花が咲いて実がなるわけでは無い事は誰でも知ってますよね!
種は蒔けども、温度が高すぎたり…低すぎたり…、乾燥しすぎたり…湿り過ぎたりすると、芽が出ないこともありますし、芽が出ても日照不足だったりすると発育が悪かったりするものです。肥料の濃度が濃すぎたりしても発育が悪くなったりしますよねぇ~!
最近、患者さんを治療していて思うんですが……、
鍼灸って、健康への種まきをしてるような気がするんですよ!植物の種を蒔いて育てるのって、サポート的に人の手を加えたりするものの、基本的に頼りになるのは
“自然の力” ですよね!西洋医学や東洋医学をひっくるめて医学全般に言える事なんですが、特に鍼灸は身体の自然治癒力を助けるサポーターのような役割であり、病気が治る為には身体に備わっている自然治癒力が頼りなんですよね!
はりきゅうふくた の敷居を跨がれた方に鍼灸という方法を用いて健康への種まきをする。なかには、すぐ治る症状もあるし、少し治るのに時間がかかる症状もあるんだけれど、患者さんの心に健康への種を蒔く事で、患者さん自身、健康への意識が高まり、いつか健康という花が咲き、健康という実がなると思うんですよね…。
それを信じて、地味な作業ですが、鍼灸をする。…種蒔く人って感じです。
鍼灸の真髄…
2019年6月21日
一般的に、咳が出るから咳止めの薬…。腹が痛いから腹痛の薬…。熱が出るから解熱剤…。という風な感じで、その症状を抑えるというか…治している感覚で薬を飲んだりする事が多いですよね!
鍼灸の場合も、それと同じような考え方で治療している人は、咳にはこのツボを…。頭痛にはこのツボを…。耳鳴りにはこのツボを…。というような感じでツボを選択して鍼や灸をしてる人もいますし、症状別に効果があると言われているツボの名前が記載されているような本も沢山出回ってます。(…どちらかと言うと、〇〇にはこのツボを…という治療をする鍼灸師は初心者が多いんじゃないかな…)
…別に、この…「〇〇にはこのツボを…」という療法が悪いというわけではないんです。簡単に説明すれば…、基本的には体力があり、身体は元気なんだけど、よそ見してたら転けちゃう事ってありますよね!…よそ見で転けちゃう程度の咳や腹痛や頭痛などの症状ならば、「〇〇にはこのツボを…」…という簡単な治療で、すぐに治るはずです。
…でも、様々な原因で体力が低下して、身体のパワーが無くなっている状態での症状(咳・腹痛・発熱・頭痛・耳鳴り)に対しては、 「〇〇にはこのツボを…」…というセオリー通りの治療では、症状は、すぐ取れないものなんですよね!
そう言う場合…
体力が低下していたり、生きるパワーとでも言いますか…精神的にも追い込まれていたりしている患者さんには、患者さんが訴えている症状の治療もするんですが、主に身体全体を整える治療を根気よく続けて、患者さんの身体全体のパワーが上がり始め、体力がついてくると、咳に効くツボや頭痛に効くツボを使わなくても、自然と咳や頭痛などの色々な症状は消えていくものだと言う事を、目の当たりにする事があるんですよ!
そんな感じで治っていく患者さんを治療者として端から見ていると…「鍼灸の真髄って、症状を取る事ではなく、身体全体のパワーを上げる事で、自然と症状を消し去るように身体を導く事なのかもなぁ~」って思うんですよねぇ~。
今さらですけど…、先日、患者さんの治療をしていて、そんな風に思った次第です。…(苦笑)
“気” について曰う。
2019年6月26日
患者さんから 「先生は “気” って感じるんでしょ!?」 …と、よく聞かれます。
正直者の僕は 「あぁ~ “気” ですね…、来てます!来てます!的なふうには感じないですね!」…と、お答えします。(苦笑)
僕が分かる事と言えば…、パッと見…この人の顔には生気があるか?ないか?…とか、鍼をした箇所の筋肉が緩む瞬間とか、力ない部分に力がみなぎるとかは、鍼を通して手で感じたり、押手と言われる左手で判断する事は出来ますが、正直言って “気” を感じた事は、今まで一度もないんですよねぇ~。因みに…僕は妖怪や幽霊は存在するとは思いますが見た事ありません。( ・ᴗ・ ) だから、多分…僕は、ごく普通の人間であり、特殊能力など全く持ち合わせていないのだと思います。
じゃぁ~ “気” って何?って話ですが、簡単に説明すると 「気=エネルギー」 だと思うんですよね!
物理的に考えると、ものが動く時って、必ずエネルギーを必要としますよね!車でもバイクでも…人間が歩いたり作業したりする場合、エネルギーを消費します。この事に関しては周知の事実なので、異論を唱える人はいないと思います。
で…、エネルギーって普通、見れないですよね!? …でも、動いたりするにはエネルギーが必要です。だから、 “気” っていうのは、妖怪や幽霊と同じで、見えたり感じたりするものではないのが普通なんでしょう。
まぁ~時々、幽霊や妖怪を見る人もいらっしゃいますから、気を感じたり、気を動かしたりする人も、なかにはいらっしゃるとは思いますが、特殊能力を持ち合わせていない、ごく普通の人間からすれば、そう言う人は感情移入しやすい人か、もしくはイタコ体質の人なんだろうなぁ~って思っちゃうんですよねぇ~。(゚-゚;)ヾ(-_-;) オイオイ…
鍼灸は “気” を抜きには語れない医学ではありますが、「気=エネルギー」だと理解していれば十分だと思います。鍼灸師で、 “気” を感じてる人は、そのまま、感じていていいと思いますし、
感じない人は “気” を感じないからと言って、臆することはないと思います。だって、 “気” を感じなくても、僕みたいに鍼灸師として治療出来ますから…(苦笑)
・小まめに身体のコリを取る事の重要性について
2019年6月28日
時々、患者さんが 「なんで肩や首や背中が凝るのかなぁ~…普段、たいした事をしているわけでもないのに…」 と言われたりします。 「筋肉にとっては動かないことが一番の罰ゲームで、動かない事で筋肉への血液循環が悪くなり、筋肉が硬直してしまうんですよ!」
と説明すると、 「あぁ~ね!」 と頷きながら苦笑いされる事が多いですねぇ~。
確かに姿勢の悪さや運動不足が原因で、肩や首や背中や腰が凝って痛くなることは多いんですが、もう一つの原因として挙げられるのが精神的なストレスでも筋肉への血液循環が悪くなり、コリを誘発するんですよね!
時々、鬱症状の人に鍼灸をする事があるんですが、鬱症状の人は、もれなく肩や首や背中がガチガチに凝ってます。身体は元気なんだけども気持ちが塞ぎ込んでしまっている場合、心はいつも臨戦態勢で、普段だったらやり過ごせる事でも、心がざわついてしまうものなんですよねぇ~。心が臨戦態勢の場合、無意識に身体も臨戦態勢に入ります。なので本人は意識して無くても、身体に力が入った状態が続きますから肩や首や背中がガチガチになっちゃうんですね!程度の重さ…軽さはあるんですが、鬱じゃ無い人でも、こんな状態になると、身体のコリと同時に不眠を訴える事が多いです。
姿勢や運動不足だけが原因で肩や首や背中がガチガチになっちゃうのであれば、姿勢を直すことを意識して、運動する事を心がければ、肩や首や背中のコリからは解放されますが、精神的なモノが絡んでいると、その人の思考を変えていく必要がありますから時間がかかります。
鬱症状が出はじめると、なかなか自分1人では、その状態から這い出せないものなので、友人だったり家族のサポートが必要だと思うんです。鬱病とお医者さんに診断されていない人でも、心だけが臨戦態勢の人って結構、多いと思うんですが、心と身体の2つが臨戦態勢に入った状態で鬱症状が出ると思うんですよ!心の臨戦態勢は容易くは取れないけれど、身体の臨戦態勢を100%から80%まで下げる事が出来たならば、やり過ごす事ができて、鬱症状を回避出来ると思うんですよね!
心が臨戦態勢の場合、身体は無意識に臨戦態勢に入ろうとするので、小まめに身体のコリを取る事って、とても重要だと、僕は思っています。
・打撲や手術痕
2019年7月18日
先日、半年前にお風呂で尻餅をついてしまい、それ以来、座ると尾骨の辺りが痛くて座れないという患者さんが来られました。病院でレントゲンを撮っても骨にも異常が無く、日常生活でも難儀されているとのことでした。
打撲の場合、よくあることなんですが、皮膚表面から見える青タンの出来る内出血もあれば、皮膚表面からは見えない深部で起こる内出血もあるんですよね!
おおよそ、内出血でも外傷でも治る過程として、
1.まず出血を止めるために血液が固まりキズを塞いで止血効果をもたらします。…いわゆるカサブタですね!
2.その後、炎症期と言われる状態になり炎症性の細胞と呼ばれる好中球とか単球とかマクロファージという細胞がキズの周りに集まり壊死した組織を攻める?…排除?したりします。…修復しやすいように工事現場を整理するイメージでしょうか…。
3.そして、その後、修理屋さんの繊維芽細胞が出てきて新しく血管を作ったり肉芽組織を形成したりして、コラーゲンが十分に生産されると、修理屋さんの繊維芽細胞が、段々、少なくなり傷跡も修復される。
…という流れなんですが、打撲した部分が関節部分だった場合、骨と骨がくっついている部分は、もともと血管が無い場所なので、修理屋さんの繊維芽細胞は血管を作る事をせずに繊維状の物質だけでキズを修復しようとします。いわゆる繊維性の軟骨のようなものを形成するんですが、その時に周りの神経を巻き込んでキズを修復してしまうので、座った時…お尻に体重がかかった時や、仰向けに寝てお尻に体重の圧がかかった時に痛みを感じてしまうんですよ!これは、腰の手術をして手術痕が痛むという人にも、同じような理由で痛んで日常生活に支障をきたす場合があります。
こういった場合、局所に血液を送り込み繊維化している所を時間をかけてほぐしていく必要があります。いわゆるコリを取ると言うことです。ただ、一度、繊維化したコリをほぐすには、ある程度の時間がかかります。打撲の程度にもよりますが、最低でも3ヶ月、もしくは半年は必要でしょうねぇ~。御自宅で出来る対処法ですが、要は血液を患部に送り込む事が重要なので、お風呂に入る時は湯船に浸かって、毎日、身体を温めると治りは早まると思います。
ちょっと気長な治療になりますが、焦らずに治していきましょう!
・16年目のハナタレ小僧からの提案…♪
2019年8月21日
何年前からかな…?ちょっと気がついた事があって…備忘録的な感じで書くことにします。
臨床をやり始めて16年目なんですが、経絡とかツボをポイントにして東洋医学的思考で治療しても、鍼灸が効く症状もあれば効かない症状もあり、解剖学的に筋肉の付着部や筋肉のコリを取っても、鍼灸が効く症状もあれば効かない症状もあるんですよねぇ~。
臨床をやり始めた頃は、患者さんの症状が取れない時は、自分に治す腕が無いからだろうな…と思って、自己研鑽に努めれば、いずれクリアー出来る事柄だと思っていたんですが、7~8年前くらいからでしょうか…、あることに気が付いたんですよね。
体調が悪くなる原因として大まかに2つに分類出来ると思うんですよ!
一つは身体の器官のどこかが物質的や物理的に損傷を受けたり、筋肉のコリなど器質的な損傷で起こる症状。二つ目は精神的なストレスにより身体の不具合を訴える症状。
ここで押さえておきたいのは、誰でもストレスを抱えているという事なんですよね!なので器質的な損傷のみの患者さんとか、精神的なストレスのみの患者さんはいないという考えの上で、問診をする時に「この患者さんは器質的な割合が何%で、ストレス的な割合が何%なんだろう?」って考えます。
全てというわけではありませんが、僕の経験上、器質的な割合が高い患者さんには解剖学的なアプローチで治療した方が良い結果が得られ、ストレス的な割合が高い場合は経絡とか東洋医学的な思考でのアプローチの方がイイ結果が得られるように思えるんです。
もちろん、心身一如ですから、心が治ると身体も治り、身体が治ると心も治るものなんですが、一つの療法をゴリ押しするのではなく、ファーストチョイス的な治療方針の選択をする場合、考え方としてストレスに対する経絡・東洋医学的アプローチと、器質的疾患に対する解剖学的アプローチを使い分けることで、僕自身の治療効果が上がったように思うんですよねぇ~。
僕は、まだ臨床経験16年目。…とある芸事の世界だと10年20年はハナタレ小僧なのだそうです。そんな臨床経験16年目のハナタレ小僧から、鍼灸師に成り立ての人や、鍼灸師を目指している学生さんにへの何かのヒントになればいいかなと思ってブログに書いてみました。
よかったら、頭の片隅にでもとめおいて、臨床で試してみて下さい。
・奔豚病・梅核気に刺絡療法
2019年9月5日
奔豚病(ほんとんびょう)とは、お臍のあたりからドキドキが駆け上がってきて、咽を通り過ぎて最後に顔がカーッと熱くなるような症状で、現代医学の解釈ではパニック障害の障害の症状の一つとなってます。
梅核気(ばいかくき)は、喉に引っかかるような違和感のある状態で、吐こうとしても飲み込もうとしても違和感が取れず、梅の種が喉に詰まった感じに似ているから、梅核気という名が付いたと言われています。現代医学ではヒステリー症状の一つと考えているみたいですね…。
東洋医学的では、どちらも気の上逆で起こるとされています。「気」というのは、エネルギーと考えていいと思うんですが、普段は頭からお腹に向けて流れているエネルギーが、お腹から頭に向けて逆に流れてしまう事で起こる症状と考えられています。
漢方薬では半夏厚朴湯など、気を降ろす効果がある薬を使うんですが、気が上に上がりがちな人は足が冷えているので、通常、鍼灸の場合は足を温め、気が集まるお腹周辺を鍼と灸で整えて対応します。
先日、半年前位から色々な症状で治療させて頂いてる男性の患者さんが、梅核気のような症状を訴えられていたので、お腹を整える治療に加え、胸骨及び不容穴へ皮膚刺絡をしたんですが、治療後の直後効果がすこぶる良かったみたいで、恍惚な表情を浮かべて帰って行かれました。この患者さんの場合は、時々背中や肩に皮膚刺絡をしているので、刺絡に対する理解があったから、胸骨周辺や不容穴に皮膚刺絡が出来たと思いますねぇ~。
基本的には奔豚病や梅核気は女性に多いとされていますが、男性でも気の上逆は起こります。
患者さんが女性の場合、男性の鍼灸師だと場所が場所だけに胸骨及び不容穴へ皮膚刺絡はなかなか、容易くは出来ませんが、女性の☆療者で刺絡を取り入れている人なら、女性患者さんへの胸骨及び不容穴の皮膚刺絡が出来ると思います。
注意点としては、皮膚が薄い箇所に皮膚刺絡する場合は、軽めに吸角をかけないと痕が残りやすくなる事を考慮しないといけない事と、痕は必ず消えるけれども患者さんの体質や皮膚刺絡をする箇所によっては痕が消えるのに1ヶ月以上かかる事があるという事を、患者さんに事前に説明して承諾を得た方がいいと思いますねぇ~。
でも…奔豚病や梅核気への皮膚刺絡…。これは使えるなぁ~。
・健康への近道
2019年9月19日
先日、患者さんが「何で鍼を刺しただけで痛みが取れて身体がシャキッ!ってするのかわからんけど、鍼灸って気持ちいいし、凄いですねぇ~…」…と言われたんですが、ホントの事を言うと、鍼とか灸が凄い訳ではなく、身体に備わっている自己治癒力が凄いのであって、鍼とか灸は自己治癒力を手助けしているだけなんですよねぇ~。
まぁ~100歩譲って鍼とお灸が凄いという事を素直に受け入れるとするならば…(苦笑)、鍼とお灸が、もともと身体に備わっている自己治癒力を引き出しているとも言えます。
以前、「鍼と灸で病気を治すって…どうやって治すの?」って、ちょっと見下した感じで質問された事があるんです。現代医学的な思考で投薬や手術のみが ”病気を治す” 唯一の方法と考えている人にとっては「鍼を刺したくらいで…お灸をすえたくらいで病気が治るわけないじゃん!」って思うのも理解はできますが、これって身体に備わっている自己治癒力を重視していないところが盲点だと思うんですよねぇ~
身体に備わっている自己治癒力が低下しきってしまえば、どんな高価な新薬を使おうとも、どんな名医が最新技術を駆使して手術をしようとも、病気は治らないものなんですよねぇ~。
「鍼と灸で病気を治すって…どうやって治すの?」っていう質問には、身体のコリというものは、重い荷物を背負ってるのと同じなので、「コリを取る=重い荷物を下ろす」事で、身体に備わっている自己治癒力が100%機能できるようにしてあげる。身体の仕組みってそういうものなんだよ!って答えておきましたが、どこまで理解してもらえたかな?
時として投薬が必要な場合もありますし、手術が必要な場合もありますが、できれば薬とか手術が必要になる前に、身体に備わっている自己治癒力が100%機能する身体作りをする方が健康への近道だと思います。そうなるためには鍼灸の手助けは必要不可欠ですねぇ~。
・膝の痛みと腰の関係
2019年9月20日
そういえば、近頃、膝の痛みを訴えて来られる患者さんが多いんです。
膝や足首を痛めている人の多くは、腰…骨盤の動きが悪いとでもいいますか、姿勢や歩き方の悪さにより膝や足首に負担がかかる事で痛みを訴える事が多いんです。
「私は腰はなんともない!」って仰る患者さんもいらっしゃいますが、腰は一番大きな関節ですし、強い筋肉がいくつも付いているので、そんなに簡単に悲鳴はあげませんが、膝や足首を痛めてる人は、ジワジワと腰にダメージを蓄積しているんだと自覚して、骨盤の位置や歩き方や姿勢を改善する必要があるんですよねぇ~。腰が「痛い!」という悲鳴をあげた時は、魔女の一撃といわれているギックリ腰など日常生活に支障をきたす事になるので、そうなる前に対処しておいた方がいいですよね!
既に、膝や足首に痛みを感じている人は、膝や足首に負担がかかる姿勢や歩き方が癖になっていらっしゃるので、まずは膝や足首に負担をかけている筋肉を鍼と灸でフラットな状態に戻して、本来の筋肉バランスを体感してもらい、患者さん御自身が日常生活での姿勢や歩き方の癖を直す。これを数回、繰り返すことで通常の膝の痛みならば改善できます。
ついつい、膝が…とか、腰が…とか、肩が…とか、背中が…って部位の痛みに気を取られてしまうものですが、人間の身体はつながっているという事を忘れてはいけないんですよねぇ~。
・「気」についての話をしましょう…
2019年10月18日
「気」…。
鍼灸は「気」の医学でもあると言えるんですが、この「気」という代物…、「気っていったい何ですか?」と問うても、「元気…とか、空気とか…、僕らの周りにはいっぱい「気」が存在してるじゃないですか!」…と、なんとなく歯切れが悪い感じで、分かったような…分かっていないような返答しかされなかったイメージがあるんですが、確かに「気」を説明しようとすると、「あっ!コレですよ!」とは答えにくい代物ではあります。
鍼灸や東洋医学と「気」って切っても切れない関係と言うか、「気」を理解してないと鍼灸の良さは発揮できないと思うので、時々、問診や治療中の雑談で、患者さんに「気」の話をしようとすると、「なんか…怪しい話をし始めたぞ!」と警戒されたり…(苦笑)、「あぁ~…あの気功で師匠が弟子に触れずにハッ!って飛ばしちゃうやつでしょ!」と真剣に話を聞いてくれなくなるので、極力「気」という言葉を使わずに東洋医学的に診た患者さんの身体の状態を説明するようにしているんです。
でも…やはり「気」という言葉を使った方が、話も早く終わるので、僕が「気」という言葉を使って説明する時には必ず「気はエネルギーだと考えてください!気を感じたり見えたりするという特殊な能力?を持った人は時々いたりしますが、常識的に考えて、僕を含め…「気」は一般人には見えないものですし、感じる事もありません。エネルギーも見えたり感じたりする人はいないけど、ジュールとか身近なところだとカロリーとか数値化されてたりしますよね!気=エネルギーだと考えると分かりやすいと思うんですけど…」と一言、付け加えてます。
…ん?待てよ…????(-“-)????
エネルギーを数値化出来るならば「気」も数値化できていいんじゃない?
エネルギーを証明した人って誰だ?
…って思ったので、軽くググってみると19世紀頃から色々な人が色々な事を言い始め、アインシュタインが「すべてはエネルギーで成り立っている」と E=mc² という数式でエネルギーと質量の関係を証明した…とある。
アインシュタインかぁ~、あの、あっかんべ~のオジサンね!…確か福岡にも来たことあるって、誰かが言ってたっけ…物理学かぁ~…難しそうだな…
わずかな質量のものでも膨大なエネルギーを秘めている…と証明した式が E=mc² らしい… ”o(-_-;*)
別な解説を見ると「物質という言葉の中には「物=見えるもの」と「質=見えないもの」のが含まれている」…とある。
この辺までは理解できるのだけれども…、後の解説を読んでも難しすぎて…正直…わからん!… ┐(´Д`)┌
数値化云々に関しては、ここまでが僕にとっての限界なのかもしれません。
でも、まぁ~エネルギーは存在するものですし、昔の人はエネルギーを「気」という言葉を使って表現していたと考えると、決して「気」は怪しいものではないと考えて良いと思います。
・『知識ゼロからの薬膳入門』という本
2019年10月19日
『免疫力があなたを殺す』という本を買ったときに、一緒に買ったのが『知識ゼロからの薬膳入門』という本。
『読む漢方薬』『免疫力があなたを殺す』と同じ作者の本なんですが、なんだか…村上さんの文章って書き方に暖かみがあるというか、引き込まれる感じなんですよねぇ~。
「安全を守る為に大切なのは身体に良い食べ物を食べる事ではなく、身体に合っていないものを避けるという考えが大切…」
…という事が書いてあり、読んだ僕は激しくうなずく…(゜゜)(。。)
僕も、仕事柄、頭が痛い…。腰が痛い…。身体がだるい…。という訴えに対して、痛みを取る事よりも、なぜ痛むのかを考えるべきだと思っているんです。
あっ!そうそう!この本に中で、インナーバランスという言葉を使って「異病同治・同病異治」を分かりやすく解説してくれてました。今、鍼灸学校に通ってる学生さんは、この本を読んだ方がいいんじゃないかな?「異病同治・同病異治」の理解が深まるよ!
「身体に良い作用よりも、悪い作用の方が強く早く出やすいから、悪い習慣がある場合は一方で良いことをしてバランスを取るよりも、悪い習慣をスパッリやめてしまう方がいい…」
…って書いてありました。臨床をしてると、これって凄く感じますねぇ~!コレに対しても激しく同意です!その通~り!(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコク
・インナーバランス(精神面や内臓のバランス)を整える
2019年10月25日
頭が痛くて…
喉が痛くて…
胃が痛いんです。
…と、患者さんが訴えると、普通の人なら「頭痛薬と喉の薬と胃薬を飲めばいいじゃないの?」という考えになると思います。鍼灸師でも、この普通の考え方で治療してる鍼灸師の場合は、頭が痛いなら頭痛に効くツボ…。喉が痛いなら喉痛に効くツボ…。胃が痛いなら胃痛に効くツボに鍼やお灸をすると思います。
症状が軽く、身体の治癒力はしっかり働いてはいるけど、ここのところちょっと無理をしちゃって…頭痛が…とか、ちょっと胃が…という感じであれば、頭痛に頭痛薬、胃痛に胃薬、頭痛に効くツボ、喉痛に効くツボ、…という治療で治ってしまうものなので、それはそれで問題はないんです。
でも…慢性疲労みたいな感じで、若くても毎日の仕事や生活での疲労が取れず、体力が低下していたり…、歳を取るにつれ自己治癒力が低下してしまっている人が「頭が痛くて…喉も痛くて…胃も痛いんです」という症状になった場合、各症状別に薬を処方されると最低でも頭痛薬、風邪薬、胃薬、と3種類の薬を飲まなければいけなくなっちゃいます。…もしも、その患者さんの血圧が高かったりしたら血圧の薬もプラスされますし、血液をサラサラにする薬を常に飲まれている方も多いですよね!
特に現代医学の薬は症状を即座に取る側面が強い分、長期間服用すると諸刃の剣的な副作用が出ることも多いので、体力が低下してる方は、多くの薬を飲むことを躊躇されている方も多いと思うんです。
東洋医学や漢方や鍼灸の考え方では、なぜ頭痛や喉痛や胃痛が起こっているのか?という事に重きを置いて鍼灸をしたり漢方薬を処方したりするものなんですよねぇ~。
頭痛や喉痛や胃痛などの症状は身体が発しているサインであり、インナーバランス(精神面や内臓のバランス)を整える事で症状を取り去り治していきます。(先日読んだ『知識ゼロからの薬膳入門』という本で、異病同治や同病異治がインナーバランスという言葉で説明されていて、とても分かりやすかったので、今からはインナーバランスという言葉を使いますね ♪ )
漢方薬は基本的にインナーバランスを整えるためのものなので、症状が違うのに同じ薬を処方されたり、症状が同じなのに隣の人と違う薬を処方されたりするものなんですよ。ですから、漢方医が漢方薬を処方する場合は、現代医学の薬のように症状別に漢方薬が処方され、種類が違う多くの漢方薬を飲まなければいけないという事はないと思います。(ただ症状の変化により処方が変わることは多いと思いますけどね…。)
鍼灸もインナーバランスを整える事に重きをおく治療なので、患者さんからすれば「頭が痛いのに、なんでお腹に鍼をするの?」とか、不思議がられる事も多いとは思いますが、これってインナーバランス(精神面や内臓のバランス)を整えているんですよねぇ~。
ただ、インナーバランスは漢方薬や鍼灸で、すぐに変化を起こせるものではないんです。インナーバランスに変化をもたらす一番のファクターは、患者さん自身の生活パターンの改善だったり、食事の改善だったりするんですよぉ~。「うわぁ~それが出来てりゃ~苦労しないよ!( ̄▽ ̄;)」って苦笑いしてる人も多いかもしれませんが…(;^△^)漢方薬も鍼灸も健康への道筋をサポートして誘う役割しか出来ないので、健康への道を歩み出すのは患者さんの身体自身なんですよねぇ~。
そこを十分理解して、治療の選択をしないと「あの病院に行ったけどダメだった!!」「あの鍼灸院に行ったけどダメだった!」「あの薬を飲んだけどダメだった!」と、負のスパイラルに陥ってしまう事になるんですよね!
・姿勢の話
2019年11月7日
誰でも姿勢が重要だということは理解はしてるんだけど「なかなかねぇ~」といった感じで、姿勢を直すことに積極的になれない方も多いと思います。
たぶん「姿勢を変えないと2~3日後に死にますよ!(そんな事はないんですけどね…)」…的な急を要する感じなら、一生懸命姿勢を正す事に積極的になれると思うんですが「姿勢の悪さが、そもそも体調不良の原因ですよ!」と言われても、「分かってるんだけど…今日明日、姿勢を変えたからって死ぬわけじゃないしね…」そんな事より、今晩の夕食の準備…とか、締め切りが迫ってる仕事の事…などが頭の中の優先順位では上位ランクを占めて、姿勢を直す事は優先順位の下部にランクインしてしまうんじゃないでしょうか?
常々言ってる事なんですが、病気には『程度』というものがあるんですよねぇ~。同じ病名をお医者さんに言われても、症状が酷い人もいれば、症状が軽い人もいるわけです。なので姿勢を変えたからと言って全ての症状が良くなるわけではないんですが、全てに於いて、ものの始まりというものはあるわけですよね!重い症状であろうが軽い症状であろうが、まだ病気を発症する前段階で姿勢が影響している割合って多いと思うんです。「じゃぁ~子供のや赤ん坊の病気はどうなんだ?」って捻くれた人は質問をしてくるかもしれませんが…(苦笑)それは別の話です。·
(^-^;)
先日、読んでた本に書いてあったんですが、通常、頭の重さは4~5㎏あるそうなんです。ただしこれは正しい姿勢でいる時だけで、軽い猫背の状態…中心軸より頭が5センチ前に出ていると、首や肩にかかる頭の重さは4~5㎏ではなく、13.5㎏になるそうです。スマホやら本を読んでる時の姿勢で2歳~3歳の子供を肩や首に乗せてると考えると、肩こりや首コリの原因を排除するために、姿勢を正さなきゃって気持ちになるかな?
中心軸より頭が7.5センチ前に出ていると、首や肩にかかる頭の重さは18㎏になるそうです。常に5歳の子供を肩や首に乗せてると考えると、姿勢を直さなきゃって気持ちも強まるんじゃないでしょうか?こういう状態が続くと、加えて、顎に関係している筋肉にも不具合が生じやすくなるので、なおさら姿勢を直した方がいいでしょうね!
首と肩と頭の事を書きましたが、首・肩・頭は土台となる骨盤や背骨の影響を強く受けます。なので、肩や首の症状を治す際にも腰や背中に治療を加えないと治らないものも少なくないんですよねぇ~。
どうです?姿勢を直さなきゃって思えてきましたか?
・続…心意気は伝承するが技術はパーツ
2019年11月13日
以前、ブログに「心意気は伝承するが技術はパーツ。」と書いたんですが、違う意見の人も大勢いらっしゃるみたいですねぇ~。でも、時代が変われば色々な事に変化が起こるのは当然だと思うので、技術も変化していくべきモノだと思うんです…。
心意気や、想いや、気持ちは、時代が変わろうとも人から人へ普遍的に伝承して受け継がれるモノですし、受け継がれるべきモノだと思います。
しかし、「技術はパーツ」なので、技術は変化をするモノ…、もしくは変化せざるおえないモノなんですよね!
技術が変化せず、連綿と受け継がれるとするならば、その技術は時代の流れによる変化にはついていけなくなるのではないかと思うんです。
「技術が薄まる事を危惧する…」というような感じで技術の変化を求めないという事は、パソコンでOSやソフトのアップデートを拒否し続ける事と同じだと思うんですよね。技術の変化を拒否し続ければ、いずれ、その技術は使い物にならなくなってしまいます。
「そうじゃないよ!技術は伝承するんだ!」…という意見をお持ちの方は「心意気は伝承するが技術はパーツだとぉ?…基礎を学んだ上での変化は認めるが、基礎を持たない者を型無しというんだよ…」と言われるかもしれません。でも、その基礎に疑問を抱く事すら許されない世界って、すでにアップデートを拒否するモードに突入しているように思えるんですよねぇ~。
一流の人が「満足したら進歩は無い…」というような事をよく言われるでしょ!僕も、その言葉にあやかって、まだ他にいい方法があるのではないか?という気持ちを、いつも心の片隅に持っていたいと思うんです。
念をおしておきますが、これは技術の話です。技術は一代限り…。
師匠から弟子に伝わるものや、伝承とか伝統と言われるものは、技術ではなく ”心意気” とか ”想い” とか ”気持ち” なんだろうな…と思うわけです。
・流派って何?
2019年11月30日
ホントに朝、布団から出るのが辛くなってきましたね!
今日で11月も終わり…
明日から本格的に…、否応なく…、年末がやってくる…そんな感じです。
今年はどんな年だったんだろうか?…暑かった。…自然災害が多かった。…相変わらず政治家が馬鹿っぽく見えた。(あっ!これは毎度の事か…· (^-^;) )
昨夜、風呂に入ってボォ~としてたら頭の中で「心意気は伝承するけど、技術はパーツなので技術の伝承は無い…」とするならば…· (^-^;) ” 流派
”って何?…心意気を伝える集団?それとも自己顕示欲のあらわれ?… (´∀`;) 端から見てると流派に拘ると他が見えなくなる。…または他を批判し始める。そういう風潮がみてとれるんですよねぇ~。人を治療する場合、パースペクティブ的な視点といいますか…、多角的な視点で判断しないといけないので、一つ事に執着するのは、あまり好ましくないように思えるんですが、何かに属していると安心感を得られる事は間違いないでしょう…(苦笑)
「一つ事を極める事は一つ事に執着する事だ…」…と勘違いしちゃうと、視野が狭くなり流派に固執するようになるのかもしれませんねぇ~。でも個々で出来ることって知れますし、何か事を成す時は集団で動かないと、物事は動きませんし…。一長一短ですなぁ~。
先日、サンプルでもらったセイリンの5番3寸が意外と使いやすかったので4箱ほど買うてみました♪ 他の鍼と違ってちょっと値ははりますが、使い勝手がよさそうなので良しとしましょう!… ( ̄▽ ̄;)
・身体に優しく…誘える。
2019年12月3日
過去に来られた患者さんで「美味しい物をたくさん食べたいけど太りたくない…。食べても太らないように出来る方法ってないものだろうか?…この薬を飲んだら痩せる…とか…」…という患者さんがいらっしゃいました。
「毎日、疲れが溜まってイライラするし、肩や首が凝って頭痛もする…。どうにか生活パターンを変えずに体調を元通りに戻せないものだろうか?」…という患者さんもいらっしゃいました。
時々「年齢とともに体力が落ちているのは実感してるけど、若かったあの頃のように動き回りたい。どうにかならないかな?」という、若い者には負けられん!的な気持ちが若い年配の患者さんもいらっしゃいました。
病気や痛みや加齢に伴う体調の変化に関しての悩みが尽きる事はありませんが、普通に落ち着いて考えれば、食べ過ぎる食生活を続けて運動しなければ誰でも太りますし、疲れが溜まれば身体に無理が利かなくなるので、身体が警告として色々な不具合の予兆を発信し始めます。加齢は誰にも止めることはできませんし、若い頃から無理を重ねていたら膝や腰や肩や首に慢性的な不具合が出てくるものです。
” 薬が身体を治してくれる。” …という考え方が主流な、この世の中ですが…、食生活や生活パターンを変えずに、はたまた…老いていく身体の現実を受け入れずして、薬を飲むことだけで体調が元通りにもどるほど、世の中は甘くないですよねぇ~(苦笑)
ただし、急を要する症状の場合は話は別です。
これは急を要する場合以外の…体調不良のお話です。
「簡単に…すぐ治る…」 って、とても魅力的な言葉ですが、病気や体調不良には”程度”というものがあることを忘れないで欲しいんですよねぇ~。同じ病名でも、軽いものは簡単にすぐ治る確率は高いですし、慢性的なものは時間が薬…と考えないと、色々な薬を飲んで症状をこじらしたり、病院や治療院を渡り歩いたりすることになりますよ!
まずは、薬や注射に頼る前に、食生活や生活パターンを変えることを主軸にして、睡眠を取ることや身体を動かすだけでは取り切れない疲れを鍼灸で取る方が、自然の流れといいますか、身体に優しく体調を回復する方向へ誘えると思います。
・Baby It’s Cold Outside~♪
2019年12月7日
いやぁ~家の中は暖房器具で暖かさを保ててますが、表は寒いですよねぇ~。
北の方では雪が降ってるとニュースで言ってましたが、九州でもこれだけ寒いんですから納得です。
「身体を温めるにはお灸がいい…」…たしかにそうですが、これだけ外気が寒ければ、お灸で温めた身体も外に出れば瞬時に冷え切ってしまいますよねぇ~。
今は石油ストーブやらファンヒーターやらオイルヒーター…エアコンなど、部屋を暖めるアイテムは数多くありますが、一昔前(明治・大正・昭和初期)は、たぶん部屋を暖めるアイテムとしては火鉢くらいしかなかったんじゃないでしょうか?
今はお灸をする前に赤外線やホットパックで温めた後にお灸をすることも出来ますが、冷えが酷い時は、昔は湯たんぽとかアンカ(行火)などで局所を温めていたのかもしれませんね…。鍼灸師の中には「全体的に温めしまうと身体の反応が分からなくなるから全体的に温めるのは愚の骨頂だ!」と言う人もいるかも知れませんが、それは患者さんの身体の冷えの程度によると思うんですよねぇ~。
単純に考えて身体が冷えて体調を崩した場合、身体を温めれば体調も良くなるわけです。バッテリーが上がっちゃった車を押しがけするような感じ…と言っても、オートマの車は押しがけ出来ませんし、若い人は「押しがけって何?」って言うでしょうねぇ~…· (^-^;)
慢性的な疲労がたたって冷え切ってしまった身体の場合は、とりあえず全体的に身体を温める方向に誘ってあげた方が、健康に近づく近道だと思います。そうした上で、どうしても滞って流れが悪く冷えが残って不具合を起こしてるツボと言われる場所に、お灸を施せばいいいと僕は思ってます。
・病の原因は癖にあり
2019年12月28日
時々「治療した直後は楽なんだけど、翌日からまた痛くなる…」もしくは「2~3日は楽だけど、それ以降は辛くなる…」という患者さんがいます。
「お前(鍼灸師)の腕が悪いんだ!」と言われてしまえば、それまでなんですが…(苦笑)
いかなる物事にも、結果には必ず、そうなる課程というものがあるはずです。痛くなるには痛くなる原因…。体調が悪くなるには悪くなる原因というものがあり、痛くなったり悪くなったりする行程を経て結果として痛みや体調不良が起こるわけです。
なので、鍼灸を受けると身体がフラットな状態に近づくから身体が楽になるんだけれども、原因が改善されてない為に「翌日からまた痛くなる…」もしくは「2~3日は楽だけど、それ以降は辛くなる…」という事になるわけです。
こうなる原因は何か?という事なんですが、僕は『癖』が原因だと思うんですよね!
『なくて七癖』と言いますが、人は多かれ少なかれ癖を持っています。その癖があまりにも過剰になりすぎると病を生む…。ある人にとっての癖は姿勢だったり、またある人にとっての癖は偏った食生活だったりします。
まぁ~病気の根源は癖だと言っても過言では無いと思うんですよねぇ~。
ただ、この癖というヤツは厄介で、なかなか直せないものなんですよぉ~。クレイジーキャッツの「分かっちゃいるけどやめられない♪」っていう感じで、「言われなくても分かってるんだけどさぁ~…」って感じの代物です。
でも、原因を取り除かなければ、必ず結果としての痛みや体調不良になるのは必然ですしね!やはり過剰な癖は直していかなければいけないんですよねぇ~。
…かといって、政治でも何でもそうですが、急激な変化は歪みを生むものなので、意気込んで癖を直そうとしても続かなかったり挫折したりするものです。
やはり病の根源である過剰な癖を直すには、日々の生活でぶれがちな身体の歪みを鍼灸でフラットな状態にしながら、患者さん自身が少しずつ姿勢を直したり…、偏食を治したり…、生活パターンを変えたりして癖をなおす事で病が癒えていくものだと思うんです。
・捻挫に刺絡
2020年1月28日
まずは捻挫と打撲の違いについてですが…
捻挫は可動域以上の負荷が関節にかかり傷めてしまうものを言い、捻ったりした方向に動かすと痛みが酷くなったりします。打撲は転んだり、何かにぶつかったりして組織を損傷してしまったものを言うんですが、ともに症状が酷い場合には靱帯や骨にまで損傷する事があるんです。
まぁ~どの症状や病気にも程度というモノがあるので、軽い捻挫や打撲もあれば、重傷化する捻挫や打撲もあるわけです。現代医学の基本的な考え方としては、軽度のものだとRICEと言って1.Rest(安静) 2.Ice(冷却)3.Compression(圧迫)4.Elevation(挙上)
を基本処置としています。
基本的には皮膚表面に腫れや炎症などの変化が見られなくても、内部で内出血や炎症が起こっている場合もあるので、損傷部位を拡大させない為にも、とりあえず初期の処置として”
安静・冷却・圧迫・挙上”を行うんですよね!
なのでケガをして24~48時間以内は風呂などに入って患部を温めない方がいいですし、RICEの処置をしても痛みが増すようなら病院でレントゲンなどの検査を受けて骨折が有るか?無いか?を調べる方がいいと思いますが、レントゲンで骨折がなくても腱の損傷などの場合は時間の経過とともに痛みが増す場合もあります。
僕が去年の7月に右手首を打撲した時もレントゲンでは異常はなかったけど、ある動きで痛みが出る事が続き、完治するまでには4ヶ月ほどかかりました。
軽い捻挫や打撲の場合は鍼灸で対応できるので、「転けてココが痛いんだけど…」とか「打ち身が出来てしまって鬱血して痛いんだけど…」という場合は症状の程度を見極めて、鍼灸で対応できるモノは治療しています。でも、正直なところ…骨折が隠れている場合があるので、出来れば病院で骨折の有無を判断してもらってからの鍼灸が望ましいんですが、「病院より鍼灸の方が効果があるから…」と捻挫や打撲で鍼灸を受けに来られる人もいらっしゃるんですよねぇ~(苦笑)
先日、来院されたKさん。…去年の春頃に腰痛の治療で3回ほど治療に来られていたんですが、久しぶりに連絡があり「昨日、娘の電動自転車に乗っていて転んでしまい自転車の下敷きになり右の足首を捻って、昨夜は痛くなかったんだけど、今朝から急に痛くなってきて…鍼灸で何とかなりませんか?」と仰る。
患部を見ないとわからないので、とりあえず来院してもらって患部を見たら、明らかに左の足首に比べて右の外踝が腫れていて、痛いと言われる場所に内出血がありました。
話を聞くと、乗り慣れていない電動自転車で転けてしまい、足首を底屈した状態で自転車の下敷きになってしまったらしく、1日過ぎた状態でも足首を底屈すると痛いので、歩くときにつま先を着かないように、踵だけで歩いているとの事…。御本人曰く、「体重を足首にかけても痛くないから骨折はしてないと思う…」との事でした。
まぁ~僕としては万全をきす為に、骨折が有るか?無いか?レントゲンを使って病院でお医者さんに診てもらってきて欲しかったんですが、患者さん曰く「以前、こんな感じで病院に行ってもレントゲンで骨折がなくても、牽引されたり、湿布を出されたり、リハビリさせられたりで、治るのに時間がかかったから…鍼灸ならなんとかなるかな…って…」…と仰る。
腫れてはいるんだけど、問診した限りでは軽傷の捻挫と判断したので、「もしも明日までに痛みの軽減が無かったり、痛みが酷くなっていたら整形外科に行って下さいね!」…という条件で、腫れている患部に皮膚刺絡を施しました。足首だったので2号の吸角が役にたったんですが、施術後に歩いてもらうと「足首の底屈をしても、まだ少しは痛みはあるけど、とても楽に歩ける!」と言われるので、3日後にもう一度、治療に来てもらったんですが、日に日に良くなっていて、今は患部を押せば少し痛いけど、歩くのには何も問題ないとの事でした。
刺絡…。ここぞ!という時に役に立つ療法です!
・中庸
2020年1月15日
どちらかというと、僕は患者さんと話しながら治療する方だと思うんですが、さすがに話したくないオーラを出してる患者さんに対しては、寡黙な鍼灸師を演じながら治療しております(苦笑)
先日、知り合いの鍼灸師の紹介で鍼灸師の先生が治療を受けに来られて…2回目の治療だったので、ある程度打ち解けて鍼灸の話や色々な事を話しながら治療をしていたんです。その中で『中庸』という話になり、結論として「中庸である為には色々な事を知っていないと、考えが偏りがちになるから、色々な事を知っておかなければいけない…」という事で意見が一致したんですよねぇ~。
中庸って「偏らない」っていう事で使われる事が多いんですが、時々、平均とか中間とか、真ん中という感じで捉えられて使われる事もあるみたいなんですけど、それはちょっと違うらしいんですよね…。
なので…何かを決める際に「偏りなく普通の感覚で物事を判断する。」…というのが中庸な考え方なんでしょうけど、この世の中、何か変化を起こさなければいけない時は中庸ではいられないのかも知れない…とも思うんです。
でも…急激な変化は必ず歪みを生みますから、本当は中庸な考えでマイナーチェンジを繰り返す方がいいんだけれど、もう崖っぷちで後が無い場合は急激な変化をせざるを得ない…。もしくは諦めなければいけない場合は中庸な考え方ではいられないと思うんです。
どちらかというと病院での投薬や手術は急激な変化を求める事に近いので、健康を維持するためには中庸な考えでマイナーチェンジを繰り返す方がいいから、出来るだけ鍼灸を日常生活に取り入れ、患者さん自身もセルフケアに努め、日々の疲れを解消していくのがベストだと思うんですよねぇ~。
・どうせ寂しさを埋めるなら素敵なもので埋めた方がいい
2020年2月14日
槇原敬之さんが、また逮捕されたようですね…2年前くらいに同居人が捕まったうえでの逮捕で、本人は使用を否定しているとの報道でしたが、つい先日、読んだある本に、こんな事が書かれていたんですよね…。
人は人に頼って生きていかないといけません。しかし自分の気持ちを表現する事が不得手な人は、人に頼る事が苦手となります。そして人は人に頼れなくなると「モノ」に頼る、すなわち「依存」するようになります。本来なら「人」に頼ると「心」が満たされるので健康的になれるのに、それができないからモノで満たされない部分の「埋め合わせ」をしているのです。ある覚醒剤使用の受刑者が「人は離れていくけど、薬は逃げないですからね」と本音を言ってくれたことがあります。
…昨夜、「槇原敬之容疑者を逮捕」というニュースを見て、すぐに、この本の文章を思い出したんですよ。
「人に頼る事が出来なくなり、モノに頼るようになり…依存する。」
「モノに依存する…」これって覚醒剤で捕まる人に限らず、色んな人に当てはまるような気がするんですよ…。覚醒剤じゃなくても…例えば…過食症だったり…、アルコール依存症だったり…、ギャンブルだったり…、収集癖も似たようなものがありますよね…。
結局、人間って寂しさを何かで埋めないと生きていけないような気がします。以前、読んだ漫画『浮浪雲』に「ある人は寂しさを酒で埋める人がいます。読書で埋める人もいます。友人で埋める人もいます…。男で埋める人もいれば女で埋める人もいます。…どうせ寂しさを埋めるなら素敵なモノで埋めた方がいいんじゃないですかねぇ~」っていうセリフがあったんです。
槇原さんが今回、どういう結果になるかは分かりませんが、どうせ寂しさを埋めるなら素敵なモノで埋めた方がいいんじゃないですかねぇ~…って思いますね…。僕も人に頼るのが苦手な部類の人間なので…ムシャクシャしたり…、思い通りにいかない時や、何かに頼りたくなった時、いつも、この言葉を思い出すようにしています。
・心医
2020年2月5日
まだ開業して1年目の頃…たぶん15年くらい前だと思いますが、同業の大渡先生が「この本、面白いですよ!」と韓国の東医宝鑑を書いたホジュンを題材にした小説を貸してくれたので読んだんですよぉ~。コレがまた…分厚い本で…1ページに小さい字で上段と下段に印刷されてる本でした。
最初は本の厚さと文字の小ささにビビっていたんですが、読んでいくうちにハマっていって、結構、楽しく読んだのを覚えています。
読んで数年してから『ホジュン~宮廷医官への道』というドラマがTV放送されて、それも見てたんです。今、またリメイクされて『ホジュン~伝説の心医~』というドラマが放送されてるみたいですね!…リメイク版は見てないけど、昔のは何回も見た覚えがあります。
実は、先日テレビのチャンネルを何気なくザッピングしていたら、昔のホジュンが放送されていて、僕が一番好きなシーンだったんですよねぇ~。
師匠のユ・ウィテが心医とはどういう医者かという事を息子に説明するシーン…。
「神・声・工・巧 は経験をつめば誰でも到達できるが、それを順に成したとしても患者の痛みを共に感じる心がないなら、ありふれた医者だ…。医療は技術ではない。患者を思う心…、心医になれぬようなら医者とはいえない。」
というセリフ。
それと、弟子のホジュンにユ・ウィテが末期の胃ガンのの患者を託すシーンで…
「世の中には医者が治せない病の方が多い。苦悩と挫折を経験すれば何か感じるだろう。医者は病に怖れを持ってもいけないが、安易にすべて治せると傲慢になってもダメだ…。」
…と語るセリフ。
僕は医者ではなく鍼灸師ですが、このユ・ウィテのセリフは、病を治す者の心得…、とでもいいますか…。好きなんですよ…このセリフ。いつも心の片隅に留め置いている言葉なんです。
・「病は気づき」に近いものを感じる
2020年2月1日
先日、『反省させると犯罪者になります』という本を読んだんです。
本のタイトルって人目に付くような…、人を引きつけるようなタイトルを付けるのが常套手段なんですが、この本もその類いかな…と思いながらも手に取って、まえ書きを読んでみたんです。(もうこの時点で術中にハマってると言えばハマってるんですが…· (^-^;) …(苦笑))
読んでみると合点がいく事ばかり…
なんでも、反省はその場しのぎの手段としか認知されず、いくら反省文を書かせたところで、反省すべき本人は上辺だけの上手な反省文を書く術を身につけるだけで、まったく何の役にも立っていないどころか、反省させ続けると本人の危険度というか、やってはいけない事に対する閾値が低くなると同時に、自分を抑圧する事が常となるので、気持ちが爆発しやすくなり再犯率が高まるとの事でした。
本当にその時にやるべき事は、反省させる事ではなく、なぜそういう行動をしたのか?…と、自分の内面と向き合わせると同時に、自分の内面の問題と対峙させ、自らマインドを再構築させる事らしんですよねぇ~。
何となくですが…コレって「病は気づきである…」と似てるような気がするんです。
病気を発症している事に気がつくというのではなく、病気になる事で自らの生活習慣や、人に対する態度を改めるターニングポイントとして『病』がある…。というような感じで「病は気づきである」という言葉が使われるんですが、本来、病気を治す時に一番必要な事は、患者さん自身の「気づき」だったりするんですよねぇ~。
再三再四、このブログで書いてる事ですが、どの病気にも程度というものがあります。なので重い状態だった場合、患者さん自身が病により「気づき」を感じて生活習慣を改めても手遅れな場合もありますが、軽い状態の場合は「気づく」事で良い方向に向かう事が多いんですよね!
僕は常々、医療が体を治すのではなく、体が自らの病気を治そうとしているのであって医療はサポートしてるだけだと考えています。なので病気を治す為には「気づき」が、とても重要なポイントになるんですよね!
しかも…早めに「気づく」事が大切なんです。
東洋医学で「未病を治す」という言葉があります。まだ病気になっていない前段階で、病気になるのを防ぐという事なんですよね!
病気になっていない前段階って何???と思われるかも知れませんが、簡単に言えば、肩や首のコリや体の疲れが病気の前段階と考えていいので、コリを取ったり、ほぐしたり、疲れを取る事がとても大事なんですよ!
話はだいぶズレちゃったけど、反省文を書かせて反省させるという行為は「ただ薬を飲んで症状を取ればそれでいい…」というような考え方と同じような気がするんですよねぇ~。
やはり、なぜ病気になったのか? なぜ肩が痛いのか? なぜ胃が痛いのか?…と言うことを患者さん自身が考えて「気づく」事で身体のベクトルが治る方向に向くので、サポートしている医療の効果も高まるんだと思うんですよね。
・病気には程度というものがある
2020年3月31日
僕らは現代人ですから、普通の環境で育つと基本的に現代医学の考え方で育ちます。
子供でも「心臓は血液を送り出すところ…」「胃は食べたモノを消化するところ…」という感じで解剖学的な事柄は色々な情報を得て知っていますし、その臓器の働きが悪くなると病気になると言う事も現代医学の基礎中の基礎として誰でも知っています。
でも、僕らに一つ欠けている事柄があるとしたら「病には程度というものがある」という考え方だと思うんですよね…。
「病気には程度というものがある」…と、頭では理解していても病名を聞くと、どうしても病気に関しての知識に引きずられるとでも言いますか…、病名を中心に物事を考えてしまいがちになり「病には程度というものがある」という事はどこえやら…。そういう考えは消えてしまうみたいです。
確かに現代医学は進歩しているので病気の判断基準がハッキリしているモノや、遺伝子解析で判断できるモノも増えてはいますが、判断基準が曖昧な病気も多いし、なかには検査で病名は判明するんですが、治療方法が無いというような病気も多いですよぉ~。
僕が鍼灸師になる前…、東洋医学とか鍼灸の事を勉強する前までは「今の現代医学は、随分進歩してるんだから、治せない病気なんて、もう少ないんだろなぁ~」なんて思ってましたが、この仕事をやり始めて今の医学の現状を知ると、治せない病気の方が多いんですよねぇ~。
まぁ~江戸時代や明治時代に比べると治せる病気は増えてますが、今でも治せない病気があるのは事実です。
チョット話が脱線しました…
「病気には程度というものがある」…ですが、
例えば癌という病気があります。癌という病名を聞くとラスボス(ゲームでいう最終的な局面で出てくる強いボスキャラ)が出てきたイメージが強いので、病気に関しての知識に引きずられ、病名を中心に物事を考えてしまうと思うんです。(※注意:僕は鍼灸で癌が治るとは思ってませんし、鍼灸で癌が治るという話ではありません。)
ただ、病気には程度というものがある訳ですから、癌にも軽いモノもあれば重い物もある…、弱いモノもあれば強いモノもある…。と考えます。時々本屋さんで「絶食したら癌が消えた…」とか「湯治に行ったら癌が治った…」といような本を見かけますが、癌専門のお医者さん曰く「あれは癌ではなく、癌もどきだ!治療しなくても治る良性の腫瘍を誤診しただけの話…」と言われたりもしますが、誤診された側にとっては迷惑な話だと思うんですよねぇ~。
「風邪」って、病名を聞いたら軽い病気のイメージを持ちがちですが、こじらせて肺炎でも併発したら命に関わる事になりますし、昔から風邪は万病の元と言われるように、風邪が元で色々な病気になりかねないモノでもあるので、風邪を軽く考えるのもどうかと…思うんです。
このブログで再三再四、言ってますが…
「病には程度がある…」
風邪にも重いモノもあれば軽いモノもあり、癌にも重いモノもあれば軽いモノもある。共通して言える事は、軽いモノは比較的に身体の自己治癒力で治ると言う事なんですよねぇ~。
健康な人の身体でも癌細胞は1日に5000個くらい出来ているんですが、免疫細胞が癌細胞を攻撃してくれるので癌を発症せずに生活出来ているという事を考えれば、病気の知識や病名で物事を考える前に、病には程度があるものなんだから、もしも病気を患って病名を告げられても、この病気は、どの程度のものなのか?三段階に分けるとするならば、重いのか?軽いのか?中間くらいなのか?…という思考を巡らせた方がいいように思えるんですよねぇ!
これは患者さんへのアドバイスでもありますが、鍼灸師もこの考え方を持つべきだと思うんです。
僕の勝手な思い込みかも知れませんが、鍼灸の場合は…身体の治癒力を手助けする治療なので、病名は関係なく、病の程度で言うと「軽~中の中」くらいの病が守備範囲のような気がしますし、漢方薬は「~中の下」くらいが守備範囲のような気がします。重い病に関しては、やはり現代医学の方が優れているとは思いますが、優れているとは言っても、治せない病気も山のようにあるのが現実です。
そう考えると、やはり自分の身体に備わっている自己治癒力で治せる内に治しておいた方が得策だと思うんですよねぇ~。その自己治癒力を手助けする鍼灸は、やはり重要な役割を担っている療法だと思うんです。
・高齢者の骨折
2020年3月6日
先日、外出先から戻ってみると、留守番電話に「先日から治療してもらってる ○○です。治療後は痛みが和らぐんですが、すぐに痛くなるので、おかしいと思い病院に行ったら骨折しているとの事でしたので、当分、病院通いになると思いますから鍼灸には通えないと思います。先日から色々と丁寧に治療していただきありがとうございました。報告とご挨拶をと思いお電話いたしました。」というメッセージが入ってました。
この方は先月の中旬に「膝が痛いので…」という事で初めて来院され、膝の治療を一度だけして、あとは家でお灸をしてもらうようにしていたら、2週間後に「お陰で膝の痛みがなくなりましたが、実は2日前に庭からベランダに上がる2段ほどの階段で、つまずいてしまって、それ以来、腰が痛くなったんです。今回は腰の治療をお願いします。」と言われ、腰の治療を月末に2回したんですが、骨折には気がつきませんでした。
今にして思えば、確かにこの患者さんは年齢が91歳ですし、歩くのは問題ないと仰ってたのと、普通に家から治療院までの緩やかな坂道を歩いて来られてましたが、腰部の症状としては前屈をすると痛みが出るという事で、つまずいた時に腰を打ち付けてはいないが、腰部に圧痛はありました。
問診と体表観察では、ギックリ腰や通常の腰痛と何ら変わらず、尻餅をついたり、腰を壁や地面に打ち付けた経緯も無かったんですが、今回、僕の頭の中で「高齢者ならではの骨折…」という選択肢のパーセンテージをもっと多く取っておくべきだったと反省してます。
通常の腰痛治療でも3~4回治療しても痛み具合に全く変化が無く、過去に脊柱管狭窄症などの診断を受けていない場合は、患者さんの年齢に関係なく骨折を疑ったりして、整形外科の受診を勧めたりするんですが、酷いギックリ腰や腰痛や坐骨神経痛でも3~4回治療しても、すぐには痛みが取れない場合も多く、酷い症状の場合、良い具合に治療効果を得られたとしても「ここは痛くなくなったけど、まだココが…」とか「少しは楽になったけど、まだ痛い!」というような事も多いので、骨折と普通の腰痛の判断ってレントゲンでも使わない限りは、すぐに出来るものではないんですよね…。
そういえば…過去に高齢の患者さんで縁側から庭に降りようとして足を滑らして、転けはしなかったけど腰が痛くなって病院に行ったら圧迫骨折していたという方もいらっしゃいましたし、洗面所で痰を吐こうと「カッ~ペッ!」と痰を吐いたら腰が痛くなり、病院に行ったら圧迫骨折をしていたという方もいらっしゃいました。
たられば…ではありますが、今回の反省点は高齢の患者さんに対して通常の腰痛患者さんと同じように対処していた事ですね。たぶん、…歩く事もままならず、身体をどう動かしても腰が痛いというような感じなら、最初から骨折を疑っていたのかもしれませんが、今回みたいな感じでも高齢者の場合は圧迫骨折はあり得るという事を忘れず、できるだけ初期の段階で判断し、同じ轍を踏まないよう心がけたいと思います。
・痺れに刺絡
2020年4月11日
ここ最近、休みの日に天気が良かったら、玄関先や駐車スペースの雑草取りをしてるんです。
去年の夏は暑すぎて全く雑草取りをしていなかったので雑草は生え放題で、グランドカバーとして植えていたイワダレソウも成長している所と、枯れている所がまばらになっていて「これは土壌改良しないとダメだな…」と思ったもので、1本1本雑草を引っこ抜くのとは違い、スコップで土表面を削いで、篩にかけて、新しい砂を混ぜるというような作業をしているんです。
今年は2回ほどしたんですが、午前中3時間…午後3時間くらいの計6時間、篩で土と雑草と格闘していたら、右の親指の先っぽが痺れてしまい、少し感覚が鈍くなってしまったんです。
次の日には治るかな?と思ったんですが、感覚が戻らず「あら!?…困った…!」
3~4日しても感覚は戻らず痺れた状態だったんです。
お灸をしても熱いだけで、さほど効果無し…。
多分、手足の血管が収縮することで起こる血管性運動神経障害…いわゆる白蝋病のような症状なんじゃないかな?…と思ったもので、「血管が収縮することで起こる血管性運動神経障害なら刺絡じゃん!!!」と思いたち、井穴刺絡というわけではなく、痺れを感じている所に刺絡してみたんです。
直後効果は感じませんでしたが、刺絡した後、日に日に感覚が戻ってきたんですよねぇ~。
血管性運動神経障害による痺れには刺絡!…いいですよ!コレ!
《鍼灸師が分かりやすく解説します》
色々な症状を分かりやすく説明してます。以下のリンクをクリックしてみて下さい
※ 首の痛みや頭痛を鍼灸師が分かりやすく解説します
※ 肩こりや腕の痛みを鍼灸師が分かりやすく解説します
※ 腰痛・坐骨神経痛・脊柱管狭窄症を鍼灸師が分かりやすく解説します
※ 四十肩・五十肩を鍼灸師が分かりやすく解説します
※ 頭痛を鍼灸師が分かりやすく解説します
※ 鬱と首の動きを鍼灸師が分かりやすく解説します
※ 風邪に対する鍼灸を鍼灸師が分かりやすく解説します
※ 顔面神経麻痺や帯状泡疹を鍼灸師が分かりやすく解説します
※ 逆子のお灸を鍼灸師が分かりやすく解説します
※ 耳鳴りを鍼灸師が分かりやすく解説します
※ めまいとメニエルを鍼灸師が分かりやすく解説します
※ 刺絡療法を鍼灸師が分かりやすく解説します
院長
福田 徹 1965年生まれ
2003年 国家資格 鍼師灸師免許取得
多くの方が鍼灸の施術を望まれる場合、肩が痛い…背中が痛い…腰が…首が…という症状を訴えて来院されます。
鍼灸では手・足・背中・お腹・頭など、身体のあらゆるツボを使って症状を改善していきます。初めて鍼灸療法を受けられる方は「肩が痛いのに何で足に鍼をしているんだろう?」と不思議に思われるかもしれません。
これは、肩こりや腰痛に効くツボ(特効穴)が、足や手にある場合もありますが、伝統的な鍼灸療法の場合「なぜ肩や腰が痛くなったのか?」「なぜ頭や首が痛くなったのか?」という根本的な原因を探り、その原因を改善する為に、体全体のツボを使って施術してきます。
2003年から2012年まで福岡市中央区白金で営業しておりましたが2012年3月から早良区野芥に移転し現在に至ります。
初めて来院される方へ
はりきゅうふくた では、予約優先で施術しておりますので、来院される前には必ず電話で予約を入れてください。
施術中の場合、電話を取りづらい事がありますので6~7回コールしてみて下さい。
☎ 092-407-7746
福岡市早良区野芥6丁目1-4
営業時間
午前の部 8:30~13:00
午後の部 15:00~19:00
(休診:日曜日・月曜日・祝日)