鍼灸!取って出し6(エッセイ)


福岡|鍼灸師|はりきゅうふくた

針灸・健康に関してのエッセイです。

鍼灸取って出し Vol.6

ホームページ 内の『ニュース』『ブログ』の中で、鍼灸や病気や健康に関する事や日頃,思った事などを抜粋して掲載してます。エッセイの感覚で読んでみて下さい。



・鍼灸は健康への道案内

2021年11月13日

先日、来られた年配の患者さんが「近所のお年寄りの集まりで、この鍼灸院に治療に行ってるっていう話しをしたら、皆さん興味をもってらっしゃるみたいで「あそこの鍼灸院はどうなの?」って聞かれるんですが「人それぞれだと思うので、気になってらっしゃるんだったら行かれてみたらどうですか?」って答えておきました。…と仰る。

…的確なお答えだと思います。

僕も事あるごと色々な人に言ってるんですが「鍼やお灸や薬が病気を治しているのではなく、体が病気を治しているんですよ!」とお伝えしてます。

治ろうとしている身体の背中を押すとでも言いますか「治る道順・方向はこっちですよ!」って道案内をする感じですかねぇ~。

僕ら鍼灸師は鍼と灸を使って健康への道案内をするんですが、素直に道案内に応じて治る方向に進んでくれる患者さんもいれば、「いいや!私は…そっちの方向じゃないと思う!」…と、自分の意見を主張される患者さんは、なかなか治りが遅い…、もしくは治らない。

自分の意見を主張される方…、いわゆる…治したいけど自分の生活パターンを変えたくない…だとか、医者の言うことなら信じれるけど鍼灸師の言う事なんて信じられない… (^-^;) …だとか、頑固な人や素直な人…色々な人がいらっしゃるわけで、自分の意見を主張されがちな頑固な人がウチの治療院に来られても、治りが遅いか、治らないわけなので、その患者さんからすれば、「あそこの鍼灸院はよくない!」…となるわけです。

口酸っぱく言いますが病気を治してるのは 鍼やお灸や薬 や医者や鍼灸師ではなく、身体が治してるって事を覚えておいて下さいね!


・技術の習得
2021年11月19日

初心者の場合は、何を見ても聴いても「ほぉ~!」「凄い!!」「どうやってるの?」「全然分からない…」という感想しかなく、挙げ句の果てには、これって僕には無理なんじゃないかな?…っていう気持ちが心を支配するんですが、何事も続けてやっていると、だんだん…「あっ!ここをこうすればいいのかな?」「おぉ~…何だか近づいてきた感じがする…」…という、ちょっと前向きな気持ちには、なるのだけれども…、まだまだ上級者の技術には近づく事は出来ず、迷走を繰り返すわけです。

で…、レベルが中級者くらいになってくると、自分の間違えに気がつき始め、訂正を繰り返しながら技術をものにするんですねぇ~。

なので、何年すれば初心者から中級者…だとか、何年経ったから中級者。何年やってるから上級者というのではなく、まぁ~…自分の間違えに気が付き始めると中級者なのかなぁ~。

そんでもって、気づいた間違えを即座に訂正できて、すぐに自分のモノにしてしまうような人が上級者なのではないんでしょうかねぇ~。

「私は20年やっているから… 50年やってるいるから…」と経験年数だけで上級、中級、初心者が決まるのであれば、年功序列で歳を取った人は全て偉い!…となるわけだけれども、歳を取った人の中には、ただ歳を重ねた人もいれば、いつまでも考え方が若々しい人もいるわけで、知識に縛られること無く、いかに柔軟な考え方でいられるか?…が、上級者たり得る条件なんじゃないんでしょうかねぇ~!

そんでもって、その柔軟な考え方が技術の習得につながると思うんです。


・続…足す美学と引く美学
2021年11月20日

『足す美学』と 『 引く美学』ってありますよね!

日本料理とフランス料理…

日本料理はどちらかというと”引く美学”の傾向が強く、フランス料理は”足す美学”で成り立っている料理だと思います。

足す美学は複雑な組み合わせで一つのモノを作り出し、引く美学は素材の良さを引き出しながら、余計なモノをそぎ落としモノを作り出す。

これって料理だけではなく、色んな事にも言えてるんですよねぇ~

絵だと複雑な絵の具の混ぜ合わせで描く油絵と、墨で白と黒の濃淡で表現する山水画。

漢方薬も生薬の種類が少ない配合の方が効きが良いという話しを聞きますが、漢方の基本は平補平瀉ですしねぇ~。

僕ら鍼灸師でも使うツボで、出来るだけ少ないツボ…少数穴で治療する人もいれば、多くのツボを使って治療する人もいます。…時々「少数穴で治療する人の方が達人で、多くのツボを使う人は愚者…」と捉えている鍼灸師がいたりしますが、僕はそんな事、思わないですけどねぇ~ (^-^;) 。患者さんの症状を治せれば、使うツボが多かろうが少なかろうが、腕が良い鍼灸師だと思います。

あぁ~…あと、僕の趣味のギターでも、エフェクターを沢山使う人と、エフェクターを使わずギターとアンプだけで音作りする人に分かれるかなぁ~。これも、何となくですけどアンプ直…を好む人は、エフェクターを使う人を軽蔑とまではいかないまでも、なんとなく軽視してる感があるように思えます。…多分、ギターとアンプに凄い拘りがあるんでしょうねぇ~。そういう人はビンテージとか年代に凄く拘りを持ってますもんねぇ~。

まぁ~、足す美学も引く美学も、僕はどちらも素晴らしいと思うんです。なのでどちらに固執すること無く、足したり引いたりを楽しめればいいんじゃないでしょうかねぇ~。


・鍼灸で痩せれませんか?
2021年12月1日

今でも時々、「鍼灸で痩せれませんか?」と尋ねられたりします。

いつ頃でしたっけねぇ~20年くらい前かな…「耳つぼで痩せる…」的な事が流行ったのは…。たぶん、その頃の伝説?(苦笑)が、いまだに語り継がれているんでしょうねぇ~。

「耳つぼを使って精神的な高ぶりを抑える」…という研究はされているようで、アメリカなどで麻薬中毒の患者さんの薬物中毒の離脱に一役かっているという論文や記事を読んだ覚えがあります。

今も 「耳つぼで痩せる…」 という事をやってる鍼灸院ってあるのかな?

自制心が働く人なら、太る事はないと思います。

でも女性の場合、加齢によるホルモンバランスの変化で、どうしても太りがちになるから、気持ちや自制心だけでは、どうしようもない部分が出て来ます。

過去に耳つぼで痩せたという人は、耳つぼだけで痩せたわけではなく、必ず同時並行で運動も行っています。痩せるには筋肉を動かし脂肪を燃焼させないと痩せない事くらい誰でも理解できますよね!

そこで一番のポイントは…

気持ちを維持出来るか?挫折してしまうか…。そこが重要になるので、そこを補佐する感じで自律神経系にアプローチする「耳つぼ」という事になるんでしょう。

それを理解される上で「耳つぼを…」と言われれば、僕も耳つぼダイエットのお手伝いをしますが、僕のオススメは山登りですね!

膝が痛いとか腰が痛いと山登りも辛い運動になるんでしょうが、意外と膝が痛かったり、腰が痛かったりする理由は、運動していない…、動いていないから腰や膝が痛かったりするんですよねぇ~。

それと、ウオーキングだと2時間歩くのって、結構、辛いですよねぇ~。

正直言って、アスファルトの硬い平面の道を2時間、歩くのって気持ちも萎えちゃいますが、1時間ほどで登れる低山なら、アスファルトじゃ無い分、腰や膝にかかる負担は軽いんですよねぇ~。

ただ山登りって、普段、使わない筋肉を使うわないわけですから、初めて山に登って帰ってきた夜などは、生まれたての子鹿のような感じで、階段の上り下りが辛いとは思います(苦笑)

登った山は、好むと好まないとに関わらず、降りてこなければいけません。なので強制的に2時間歩く事になります。

僕の経験ですが…

夏なら2時間、山を歩く事で2kg、 冬なら1kgは体重が減りますよ!週一回の低山の山登りを続けていれば、筋肉も鍛えられますし、体重のコントロールもできるので、耳つぼで痩せようとするより、低山の山登りをオススメします。


・私淑
2021年12月18日

私淑とは…「尊敬する人に直接には教えが受けられないが、その人を模範として慕い、学ぶこと。」

私淑…、師匠と弟子の師弟関係…、伝統…伝承…。

技術を構築したり…伝えたり…。

例えば、鍼灸師の世界に限ってですが、国家試験に受かって、晴れて鍼灸師になった人が物理的…人数的にも全員、師匠を持ったり、弟子になったりと…、徒弟制度に身を置き、師弟関係を築けるものでもないと思うんですよ…。

師弟関係って、弟子を思いやる師匠…師匠を慕う弟子…というような美しく語り継がれる部分もあれば、ドロドロな…嫌悪しか生まれないような関係もあったりするので…(^-^;) 、一概に師弟関係は素晴らしいもの…、とは言えないモノなんですよねぇ~。

僕が師弟関係を意識するようになったのは、鍼灸の専門学校を卒業して鍼灸師になってからですが、いつの頃から「私淑でいいんじゃない?」って思うようになりました。

確かに、師匠の傍に四六時中いれば、師匠の癖が手に取るように分かるようになるでしょうし、影響を受けやすい人は、その師匠の生まれ変わりのように振る舞えるようになる人もいるでしょう。

でも、それは、師匠の二番煎じでしかなく、師匠を超える事は出来ないんでしょうねぇ~。

まぁ~師弟関係を重要視する人からすれば、師匠を持たない人間の負け惜しみだと思われるかも知れませんが…(-_-;)
我も人なり…彼も人なりです。


先人に対しては尊敬はするけど崇拝はしない!…が僕のスタンスなので、…御了承下さい。

手取り足取り教わる事が勉強ではないしね!

僕は、親方日の丸が性に合わないので、私淑でいいと思うんです。

私淑の方が、大勢の師を持つことが出来ますしね!(^^;)


・治療と施術の違い
2022年1月11日

時々、医者が行うのが「治療」鍼灸師や柔整師が行うのが「施術」と区別されてますが、治療と施術ってどう違うんですか?…と尋ねられます。

googleで「治療と施術の違い」と検索すると、検索結果のトップには…

「治療と施術の違いは何ですか? 柔道整復師は医師ではありませんし、整骨院や接骨院も保険医療機関ではありません。 従って、医師が行う『治療』と異なり、柔道整復師では『施術』という表現が用いられています。」

…という文章が出て来ます。

多分、これはどこかの保険組合が保険が使える…使えない…の区別をする為に、柔道整復師 と医者の行う医療行為の差別化を説明している文章だと思いますが、治療と施術の違いについて明確に答えてくれてる訳ではなく「医者と 柔道整復師 は違うものですよ!」と言いたいだけなんですよねぇ~。

僕が 治療と施術の違い について説明するとするならば…

まず漢字をひもといて見て下さい。…と言います。

治療 の「療」とは「病気をなおす。」「いやす。」事です。なので、治療=いやし…治す事ですよね。 施術 は読んで字の如く、術を施す。この文字には医者だの鍼灸師だの柔道整復師だのという文字も意味も含んでいない。

いやして、治すために術を施す。…治療と施術は、ニコイチ成り立つモノなんですよねぇ~。

この、治療と施術という言葉を分離すると、柔道整復師や鍼灸師は術を施すのみで、いやし、治す事はしない。…という穿った見方もできます。

「鍼灸師や 柔道整復師は治す事をせず、ただ術を施すだけ…」って言ってる人がいたら、正座させて懇々と説教ですね!(^^;)

それでも、尚、施術と治療を区別するような人は、ステレオタイプの人間なんだな…と理解し、それなりに距離を保って付き合うかな…(-_-;)


・結局、養生って事ですね!
2022年1月13日

不定期に、NHKで放送される『明鏡止水』という武術の番組があるんです。V6の岡田くんと、ケンコバさんが司会でマニアックな武術や古武道の師範が出て来て、演武を見たり理屈を聞いたりと、全く武術の武の字もカジっていない僕でも、とても面白く見れるんですよねぇ~。

あの番組を見ていて感じるのは、

姿勢の大切さと、身体の軸の大切さ…。力を抜く大切さ…

あとは…番組中で、どなたかが…

「流派とかは、とかく古いモノを守るようなイメージを持たれるけど進化しないと廃れますからね…」

って言ってましたけど、鍼灸の世界を見ていても、「ホント…そうだよなぁ~」って思うんですよね!

そう言えば番組中に、空手の先生が「打って勝は下の勝ちなり。勝って打つは中の勝ちなり。戦わずして勝は上の勝ちなり。」と言ってました。…真ん中の「 勝って打つは中の勝ちなり… 」は、僕には難しくて理解できませんが…(^_^;)…戦わずして勝つというのが、生き残る勝ち方だと言う事らしいんですよね!

昔の医学の世界でも同じような諺がありまして…

上医は発病前に、中医は発病後に治す。…とか、上医は未だ病まざるものを治し、中医は病まんとするものの病を治し、下医は既に病みたる病を治す。…などなど、医者を上・中・下に分類してるわけですよね。

武術の人も戦わずして勝つ事を良しとしているし、医学の世界も発病前に治す事を良しとしている。

発病前に治すって…どういう事かと考えるに…、やはり、食事と睡眠と姿勢…所謂、”養生”なんでしょうねぇ~。

医者に診てもらって薬を飲む事ではなく、自分自身で生活習慣を改める事こそが、上医であり、戦わずして勝つという事だと思うんですよねぇ~



・初学者へのアドバイス~東洋医学の学び方~
2022年1月20日

よく、鍼灸学校に通い始めの頃の学生さんや、3年間、鍼灸の基礎を学び、鍼灸学校を卒業しようとする学生さん…はたまた国家試験に合格して鍼灸師になった人の中にも「東洋医学ってよく分からん…」と言う人がいたりします。

陰陽だの…五行だの…経絡だの…ツボだの…気だのと、今まで関わった事がない理屈や言葉の世界に、どっぷり浸かるわけですから、呪いや呪文を聞いてるようで、理解に苦しんでいる人も多いと思うんですよねぇ~。

これから鍼灸を学ぼうという学生さんや、「東洋医学…わからん!」とサジを投げている初学の鍼灸師さんにアドバイスを送るなら…

「いきなり東洋医学を理解しようとしない事…」…かな。

なんとなく 「東洋医学…わからん!」とサジを投げている 人は、魔法でも使おうかとしているような、東洋医学=不思議な世界…という思考から抜けられない人達のような気がします。

すぐに理解しようとしないで「こんな考え方もあるんだなぁ~」くらいな感じで、少しずつ東洋医学の考え方を身体に滲み込ますのがいいと思うんですねぇ~。ただ滲み込むには時間がかかります。

正直言って、東洋医学って鍼灸の学校に通ってる3年間で理解できるような代物ではないし、少しずつ身体に滲み込ませるような学問だと思うので「いきなり理解しようとしない事」が東洋医学を学ぶポイントかなぁ~。

僕らは、鍼灸師の国家試験を受ける前の3年間、ある程度の現代医学の解剖や生理学や病理学を学んでます。…なので、一般の人より、ある程度の基礎医学の知識は持ち合わせていますが、医者と比べると断然、医者の方が知識量は多いはずなので、現代医学の土俵に立てば医者にはかないません。

人の生死に関わる病気以外で、僕ら鍼灸師が、現代医学以外の治療を求める患者さんに対して何が提供出来るのか?…と考えるに…

やはり東洋医学的な思考…で、体質改善や病気との付き合い方をレクチャーする事が重要だと思うんですよねぇ~。まぁ~プラスアルファとして、遠隔のツボで肩こりや腰痛を治したりして、患者さんがビックリする…w(゜o゜)w

でも患者さんに東洋医学の理屈を説明する際、 陰陽だの…五行だの…経絡だの…ツボだの…気だのと 言おうものなら、患者さんも 「東洋医学…わからん!」 となり、「なんか…この人、私を騙そうとしてるのではないだろうか?」と、信頼関係の構築すら無理になったりするので、こういう時は、たとえ話に置き換えて東洋医学を患者さんに説明する必要がありますねぇ~。

そうなると、色々な知識を持っておかないと、物事をたとえ話として、人に説明するのは難しい。

東洋医学って概念的な事が多いので、答えは一つではなく、色々な考え方が成立する学問だと思うんです。山登りと一緒で目指す山頂は同じなんだけれども、ルートはいくつあってもいい。

…そんな感じですかねぇ~。


・師匠と弟子
2022年2月2日

昨夜のW杯アジア最終予選のサッカー…、理想的な試合運びでしたねぇ~。苦手としていたサウジに勝てて良かったぁ~。

…と、日本の勝利に安堵し、チャンネルをザッピングしてたらEテレの『先人達の底力 知恵泉』で「へうげもの」でおなじみの、古田織部をやってたんですよ!

漫画『へうげもの』も面白かったし、個人的には、あの妙な形の織部焼きも好きなんですよねぇ~。

紹介されていたストーリーは、ある程度、知っていたんですが、改めて番組を見ていて感じたのが、「弟子は師匠と同じ事をやらなくてもいい!」と言う事なんですよ!

基本は同じでも、古田織部の師匠である千利休の様式美と、弟子の古田織部の様式美は、全く違いますしね…。

守破離という師弟関係のあり方の中で、どのスタンスを保つかにもよるんでしょうが…

「師匠と同じじゃなくていい…」コレが、今の僕の心の中に響いたキーワードですね。

鍼灸の世界でも、師匠と同じやり方を継承して、他の方法を全く受け入れない人達もいれば、色々と試しながら自分なりの方法を作り出す人達もいらっしゃいます。僕はどちらかと言うと…後者かな。

まぁ~…全く違う様式美を持ち合わせていた千利休と古田織部ですが、利休が当時の権力者の秀吉に逆らって切腹したように、織部も家康に逆らう感じで切腹を受け入れている史実をみるに、やはり師匠と弟子なんだなぁ~って思いますねぇ~。


・鍼とか灸のことわざ
2022年2月16日

鍼灸に関する諺って、どんなのがあるんだろう?…って思ったもので、ちょっと検索してみたんです。

『鍼灸 ことわざ』と検索しても、コレと言って出てこないので、まずは『鍼 ことわざ』で検索してみました。

そうすると、いくつか鍼という文字を使った諺が紹介されているのですが、何とも内容が…いかんともしがたい…というか、決して「鍼って良いよ!よく効くよ!」というモノではないんですよねぇ~。

『死に馬に鍼を刺す』なんの効果もないことのたとえ。また、絶望的な状況でも、万が一の期待をこめて最終手段をとってみる事のたとえ。

『頂門の一針』人の急所を突いた厳しい戒めのこと。

『棒ほど願って針ほど叶う』望みは大きくても、実際はほんのわずかしか叶わないものだということ。

『真綿に針を包む』表面はやさしく親切な態度だが、心の中には底意地の悪さを持っていることのたとえ。

鍼灸師としては「おい!おい!おい!」って感じの、諺しか無いという事に少しショックです。

…ならば、灸はどうだ!?

…と、『灸 ことわざ』で検索をかけてみたところ…

『石に灸…土に灸』いくらやっても効き目のないこと、無駄なことのたとえ。

『灸を据える』懲らしめるために、強く叱ったり罰を与えたりすること。

『皮切りの一灸』なんでも最初は苦しいものだというたとえ。一番初めにすえる灸が、ひどく熱いと感じられることから。…因みに「一灸」は「ひとひ」と読むそうな…。

『雪駄の裏に灸』長居の客を早く帰らせるおまじないの一つ。「草履に灸」ともいう。同様のものに「ほうきを逆さに立てる」などもある。

『遠くの火事、背中の灸』遠くの大事件より自分に関係する小事のほうが気にかかるというたとえ。

『飛脚に三里の灸』勢いのあるものにさらに勢いをつけるたとえ。「三里」は、膝頭の下の灸点で、ここに灸をすえると足を丈夫にするといわれている。足の速い飛脚が三里に灸をすえれば、さらに足が強くなる。

…ですって!鍼同様、灸も「灸って良いよ!よく効くよ!」と言うモノでは無く、石に灸…とか、土に灸とか、雪駄に灸…、「おい!おい!」って感じなモノばかり。

まぁ~『飛脚に三里の灸』という諺が、前向きな感じなのが救いかな…。


諺っていつの時代からあるのかな?って検索してみると、平安時代の初期に、ことわざ辞典っぽい書物が出版されていて、今、出版されている、ことわざ辞典のおおもとは、明治時代に出版された諺語大辞典というものらしい…。

当時から鍼灸っていうのは、世間的には、当たるも八卦、当たらぬも八卦的な感じで捉えられていた節が、諺から垣間見えますね!

じゃぁ~、やはり鍼灸は効かないのかな…。と思う人もいらっしゃるとは思いますが、鍼灸師として、この諺を解釈すると、世間的に100%の信頼感で頼られているわけで無い感じで諺が作られているのは確かなんだけれども、昔から世間の人達は身体が治る理屈を理解していなかったんだな…。と思うんです。

例えば、「病気になった…」「体調が悪くなった…」そんな時に薬で治す。鍼で治す。灸で治す。と、何かに身を委ねる感じで…、はたまは、まるで機械の部品を交換すれば元通りに戻れるような感じで…、医療に頼ると思うんですが、病の程度によって治る場合もあれば、治らない場合もあるわけです。

僕がいつも患者さんに話す事ですが、身体を治しているのは薬でも鍼でも灸でもなく、患者さんの身体に備わった治癒力で治っているんですよね!

薬や鍼や灸は、その治癒力を手助けするものなんですよぉ~。

そこを理解していないと、治療の効果が薄かったり効かなかった場合「鍼や灸!?効きぁや~しねぇ~じゃん!」という感じで、こういう諺が作られたのではないか!?って思うんですよねぇ~。


・ウンコ…って大事!
2022年4月19日

最近、コロナ騒動で免疫に対する意識が高くなった人が多いかも知れませんねぇ~。

問題です!「免疫細胞が一番多く存在している臓器は、どの臓器?」

正解は「腸」です。

なんでも免疫細胞の70%が腸に集まっているそうな…。

理由は身体の中に異物が入る確率が一番高いルートは、口から消化管のルートなので、食べ物と一緒に入って来るかもしれない、病原体を待ち受ける形で腸に多くの免疫細胞が存在するんですって!

健康的なウンコが出るという事は、腸がシッカリ働いてくれているという事なので、同時に免疫細胞も、ちゃんと働いてくれているという事になります。

それと…脳腸相関と言い、大腸には多くの神経細胞があって、自律神経(交感神経系や副交感神経系)を介して脳とつながってるんですよねぇ~。

皆さんも経験した事があると思いますが、お腹の調子が悪いと気分が沈んだり、逆に脳にストレスがかかると、お腹の調子が悪くなります。これって脳と腸が双方向に影響し合っているからなんですよねぇ~。

認知機能と腸内細菌の関係

最近は認知機能と腸内細菌の関係に関する研究が注目されていて、一部の腸内細菌の作る物質が、脳の炎症を引き起こす事で、認知症を発症する原因になっているのではないか?という論文も増えているようです。

なので…食習慣を改善して腸内環境を整える事が、認知症予防につながるという考え方も、納得できますよねぇ~。

腸がシッカリ働いてくれている事は、免疫細胞が正常に働いてくれている事であり、脳の状態も良いという事になる訳です。

健康なウンコは、匂いの少ないバナナのような形をした黄色もしくは黄褐色のウンチで、いきまずに気持ち良く出て、軽く浮いてるくらいが良いウンチだそうな!

ホント…ウンチは身体からの大きな、お便りなんですよねぇ~。漢字ってよく出来てるなぁ~。

ゆっくり…よく噛んで…
もしも、ウンコに変化を感じたら、食生活を見直し、ゆっくり…よく噛んで食べる事を心がけて下さい。

お酒を飲まれる方でウンコの具合が悪い人…。お酒は腸にとっては刺激物らしいので、ウンコの状態が良くなるまで、お酒を控えてみて下さい。


・伝承…出来るモノと、出来ないモノ
2022年5月6日

19年前…、鍼灸師になった時、新たな人生を歩む記念に…と、メガネを作り変えたんです。

その時に作った眼鏡がspec espaceという鯖江の西野さんという職人さんが作られているセルロイドの黒っぽい眼鏡で、その眼鏡を9年間使っていて、10年前に、治療院をこの地に移転した時、また新たに眼鏡を作り変えたんですが、やはり西野さんの作る眼鏡のかけ心地が良いので、ちょっとデザインが違う茶色ベースのspec espaceの眼鏡を新調し、この10年、ずっとかけてたんです。

先日、茶色のメガネも10年経つから、ちょっと調整してもらおうかな…と、行きつけの眼鏡屋さんに行って、メガネの調整をしてもらっている時に、店員さんから、この眼鏡を作られている職人さんの西野正美さんが、去年の1月に亡くなられたという事を聞きました。

お会いした事はないけど、自分が気に入ってるモノを作ってくれていた職人さんが亡くなるって、悲しいですね。お弟子さんとかがいれば、同じようなセルロイドのメガネフレームは作られるんでしょうけどね…。

心意気や、ある程度の技術は伝承されますが、感性までは伝授出来ないので、感覚による手仕事って、一代限りですもんねぇ〰︎。

鍼灸の世界も同じで、○○学会とか、○○会とか…、流派と呼ばれる集まりが、伝統・伝承を宣伝材料に使ったり、鍼灸院も、代々続いている事をブランドとして広告に使ったりする流れがあったりしますが、心意気や、ある程度の技術は伝承できるけど、感性や感覚は個人の財産なので、厳密に言えば、感性や感覚は伝える事は出来ないんですよね!

なので、僕は鍼灸師の技術は、基本…一代限りだと思っています。

パーマンに出てくるコピーロボットがあれば、話しは別なんですけどね…(^^;)


・鍼ってどうして効くんですか?
2022年5月14日

3年ぶりに来院されたKさん…。

座っている事が多い仕事で、一日、約5時間は座っている…とのこと。

3年前に治療を受けに来られた時も、腰痛を治しに来られたんだけれども、今回も腰痛での来院。

前屈したり、かがんだりすると腰が痛くなり、昨夜は寝ていても痛かったそうで、色々と話しを聞いて、ちょっとした検査をした所、腸腰筋と仙腸関節が治療ポイントだな…、と判断して、症状に準ずるツボ?ポイント?に鍼をすると、痛みが全て無くなった訳ではないけど、違和感は軽減して、残っている違和感は残り2割といった感じ…との事。

残り2割なら、身体の治癒力で治せる程度だと判断したので、治療を終わろうとしたら…

「あっ!右足の…足裏…小指辺りがシビれるんですけど…」…と仰る。

うぅ~~ん…仙腸関節を傷めているから、仙骨S1かな…。ならば上膠か…。

…と、俯せになってもらい、上膠に刺鍼すると、シビれも取れて、ビックリされるKさん。

どうして効くんですか?

治療が終わり、治療代の支払いの時に「鍼って、どんな形状なんですか?どうして効くんですか?」と色々と疑問をぶつけてこられる…。

そう言えば、3年前に来られた時も、同じような質問をされてたなぁ~。確か…塾の先生をされているから、疑問に思った事を追及したくなる性分なんだろうなぁ~…と思い、説明しましたが、うまく伝わったかなぁ?

病気は身体が治している。基本的に鍼が病気を治す…。鍼が効く…。というのではなく『病気は身体が治している。』というのが基本な考えで、身体が治る方向に向かうように鍼とお灸で導く…。この考え方が理解できないと「鍼を刺すだけで治るわけないじゃん!」という感じになってしまうんですねぇ~。

薬を飲めば薬が病気を治してくれる。…という思考で物事を捉えている人は、強い薬で病気を絶滅させる…、まぁ~今で言うと、強力な爆弾や銃火器で悪を抑え込む…勧善懲悪なイメージなんでしょうけど、そうじゃないんですよねぇ~。

現実世界と同じで、グラデーションとでも言いますか…。

強い薬を使えば使うほど、病気をやっつける事は出来ますが、身体もダメージを受けるんですね…。

一番分かりやすい例えが、抗がん剤でしょうか…。

なので、本来、薬も病気を治そうとしている身体を手助けしているだけなんですよねぇ~。

薬の場合は、足りないモノを補いながら病気を治そうとしている身体を手助けする。

鍼灸の場合は、鍼や灸を使い、身体に本来備わっている治癒力や免疫力を、刺激療法として引き出して病気を治そうとしている身体を手助けする。

…薬と鍼灸の違いって、そういう感じだと思います。


・鍼灸に求められているモノ…
2022年5月25日

鍼灸師が「鍼灸って、とても良いですよぉ~!」と声高に叫んでも、「鍼って刺すんでしょ!?…痛そうだし…、お灸って熱いんでしょ!?」…と思っている人達に対しては、何の説得力にもならないんですよねぇ~。

遊園地は好きだけど、ジェット・コースターのような絶叫系が苦手な人が一定数いるようなもので、絶叫系の遊具が苦手な人を、無理矢理、ジェット・コースターに乗せようものなら、一段と絶叫系が苦手になるでしょうし、今の時代ならハラスメント扱いになるのかも知れません。

鍼灸に対して求められているものって何んだろう…?

鍼灸師になって19年ですが、ふと…、疑問というか、自分の職業を、もう一度、見つめ直そうと思ったもので、ちょっと考えてみたんです。

皆が鍼灸に対して求めているモノは何なんだろうか?

最近、…と言っても、この10年~20年前からだと思うんですが…(^^;)、皆が鍼灸に求めているものって、ネットや看板でよく見る、美容なんだろうか?…痩せる事なんだろうか?…不妊に対してなんだろうか?

ホントにそうなの?…って思ったんです。

患者さん本人が、自分自身では、どうにもならないから、現代医学的・科学的とはちょっと違う、何となく…不思議な力に身を委ねたいという気持ちに寄りそい、メンタルな部分をサポートする形で、鍼灸を求めていらっしゃる人もいるだろうから、一概に美容鍼灸・痩身の鍼・不妊の鍼灸に対し否定することは出来ないけれども…

それって鍼灸に求められているものなの?

ホントにそうなの?…それって鍼灸に求められているものなの?…って思うんです。

鍼灸は一般の人からすれば、筋肉痛を専門的に治療する所。…という認識だと思うんですが、東洋医学的なアプローチで治療する鍼灸師であれば、病気を総合的に判断できる知識を持ち合わせてますし、鍼灸師は総合的に症状を判断し、鍼灸で治る病気なら鍼灸で治療し、鍼灸で治らない病気は、すぐ病院へ…と、的確に、患者さんに医療を提供しています。

…でも、それを一般の…東洋医学に理解が無い…、もしくは東洋医学を知らない人が、どれだけ理解してくれているのだろうか?…って思うんです。

医師だと、内科・外科・産科・耳鼻科…etc…専門的に分割していますよね!でも、昔、あったような、かかりつけ医的な、総合的に判断するような医院が少ない為、大きな施設の病院に行くか、または、患者さん自身が、どの科を受診したらいいか分からず、科をたらい回しになったりする現状が現代医学にはありますよね…。

どうしても鍼灸で…!
患者さんから「どうしても鍼灸で…!」…と頼られるのであれば、寄り添う感じで、美容・痩身・不妊に鍼灸で対応するのもありだとは思うのだけれども、技術を提供する鍼灸師が、美容鍼・痩せる鍼・鍼灸での不妊治療を、新しい分野の鍼灸治療と位置づけ、声高にネットや看板で宣伝しているのを見ると…、個人的な意見ですが、何となく「それでいいの?」って気がするんです。

鍼灸師が、鍼灸を商売として捉え、あくまで施術はサービスの一環だという考えで、物を売ったり、新しい商品を作ったりするように、販路開拓として、美容・痩身・不妊…etc に触手を広げ、看板に掲げるという側面もあるとは思います。

しかしながら、医療・医業としての鍼灸という側面で考えると「それでいいのかな?」って思うんです。

販路開拓として、美容・痩身・不妊…etc に触手を広げる事って、現代医学のお医者さんが「私は内科も外科も、産科も耳鼻科も…その他、全ての症状を治せますよ!」…と、大風呂敷を広げ過ぎてる感じがして、…逆に、鍼灸というものが薄っぺらく見られるような…、そんな気がするんですよね…。

まぁ~どの商売でも、儲からないと御飯の食い上げになるわけだから、ある程度の収益は必要になるわけですが、『マイケル・サンデルの白熱教室』よろしく、「医は仁術」を取るか?「医業も商売」を優先するか?…結論が出ない議論が延々続くんでしょうねぇ~。

まぁ~僕、個人としては…

美容に関しての鍼灸であれば、鍼灸院でやるより、エステでメイクアップ術の一つとして行えばいいと思いますし、痩せる鍼であれば、痩せるには身体を動かす事が一番、大事な要素であるので、セカンドオプションとしてトレーニングジムなどで行えばいいと思います。鍼灸師がエステやトレーニングジムに出向く…。または鍼灸師がエステやトレーニングジムを経営する。…後者はお金がかかるから無し…か。(^^;)

不妊治療に対しての鍼灸は…僕は懐疑的なんですけども…

不妊治療を鍼灸で行っている人達に尋ねたいのが…、不妊で子供を授からなかった人の気持ちを、どのくらい受け止める覚悟でやってますか?…って思うんです。

生まれるか生まれないか…の2つに1つなので、子供が生まれた時は良いですが、情報が飛び交う現代の世の中で、不妊に悩んでるカップルは、現代医学の不妊治療を色々とチャレンジした上で、それでもダメだった場合、藁をもつかむ気持ちで、鍼灸に頼ってくると思うんですよね。そんな人達の想いを…受け止めれるほど、不妊に対する鍼灸って万能なのかな?…と、僕は思うんです。

ただ、前にも書いたように、

「どうしても鍼灸で!」と、患者さんから頼られるのであれば、鍼灸師も、美容・痩身・不妊…に対して出来る限りの力を尽くし対応すると思います。

色々、長々と書きましたが…

一般の人が鍼灸に求めているものって…、何なんでしょうねぇ?

19年経っても、答えは出ないなぁ~。



《鍼灸師が分かりやすく解説します》
色々な症状を分かりやすく説明してます。以下のリンクをクリックしてみて下さい
※ 首の痛みや頭痛を鍼灸師が分かりやすく解説します

※ 肩こりや腕の痛みを鍼灸師が分かりやすく解説します

※ 腰痛・坐骨神経痛・脊柱管狭窄症を鍼灸師が分かりやすく解説します

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※ 鬱と首の動きを鍼灸師が分かりやすく解説します

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※  刺絡療法を鍼灸師が分かりやすく解説します



院長

福田 徹  1965年生まれ 
2003年 国家資格 鍼師灸師免許取得


             福岡市 早良区 鍼灸院



多くの方が鍼灸の施術を望まれる場合、肩が痛い…背中が痛い…腰が…首が…という症状を訴えて来院されます。


鍼灸では手・足・背中・お腹・頭など、身体のあらゆるツボを使って症状を改善していきます。

初めて鍼灸療法を受けられる方は「肩が痛いのに何で足に鍼をしているんだろう?」と不思議に思われるかもしれません。

これは、肩こりや腰痛に効くツボ(特効穴)が、足や手にある場合もありますが、伝統的な鍼灸療法の場合「なぜ肩や腰が痛くなったのか?」「なぜ頭や首が痛くなったのか?」という
根本的な原因を探り、その原因を改善する為に、体全体のツボを使って施術してきます。



初めて来院される方へ

はりきゅうふくた では、予約優先で施術しておりますので、来院される前には必ず電話で予約を入れてください。

施術中の場合、電話を取りづらい事がありますので
6~7回コールしてみて下さい。

☎ 092-407-7746
福岡市早良区野芥6丁目1-4


営業時間
午前の部 8:30~13:00
午後の部 15:00~19:00
(休診:日曜日・月曜日・祝日)

福岡市 早良区 鍼灸院
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