なんか…少し…分かったような気がする…鍉鍼編♪

鍼灸師になったのは2003年だから…鍼灸師になって、今年で21年目…

ず~と疑問に思っていた事があったんです。

正直に言います…

本当に…ず~と疑問に思っていたんです。

何を疑問に思っていたのかと言うと…

それは『鍉鍼』

いわゆる…刺さない鍼です。

因みに…鍉鍼の『鍉』って漢字には、どんな意味があるんだろうか?…と調べてみたら、

※ 誓いをたてる際に、血を入れるための器。
※ 医療用に用いる針。
※ 矛や矢の先端のとがった部分。ほこさき。やじり。
※ 錠前を開けるための鍵。

…と書いてありました。へぇ~~~知らんかった…(゜_゜)

国家試験を受ける為に、鍼灸の専門学校に通うようになって、そこで鍉鍼の存在を知り…「へぇ~刺さない鍼っていうのがあるのね!ほぉ~…」って感じで、鍼灸学校に通っていた頃、学生として個人的に色々な勉強会に参加し、鍉鍼を使う先生方に「どうやって使うんですか?」「どこで買えるんですか?」「どんな種類があるんですか?」…などなど、色々な話しを聞いたりして、その後、物珍しさも踏まえて、何本か鍉鍼を買ったりしたんですよね…。

まぁ~基本的に、僕は珍しい物を集めたりするのが好きなんでしょうねぇ~(^^;)

今、所持してる鍉鍼は…鑱鍼・圓鍼も合わせると、合計で7本くらいかな…

でもね…、鍼灸師になって21年ですが、正直言って、今まで臨床で鍉鍼を使っていなかったんですよ…。

何となく、趣味的な…とでも言いますか…、そんな方法もあるのね!?…という感じ…。例えて言うと…、ロックバンドをやってるけど、実は演歌にも興味があって、周りの人には演歌が好きなんて一言も言わず、一人でコソコソと演歌の音源を買ってきて、一人で聴いている…。

僕の中の鍉鍼って、そんな演歌な感じ…(^^;)…だったんです。

なぜ…今まで鍉鍼を使わなかったのか?…って事ですが…

…う~ん…正直言って、僕は、あまり…『気』というものを感じた事がないんですよ!

…で、この鍉鍼を使う場合、…色々な使い方があるんですが、学生時代に最初に体験したのが、身体のツボと言われる部分に鍉鍼を当てたり、近づけたりして「来てますか?」…とか、「今、気の流れが変わって…」とか、「少し温かくなってきたでしょ?」…と、施術者に言われて…、なんとなく、その場の空気を読むなら…、忖度して「来てる…ような気がします…」とか「はい…温かくなってきた…かも…」って言った方が良いんだろうなぁ~(^^;)…って感じだったので、正直…???????疑問だらけ…っていうのが、鍉鍼の初体験という感じだったんです。

…感覚が研ぎ澄まされてる人?…もしくは気を感じやすい人?…霊が見れる人?(^^;)…ならば、正直に…施術者の先生の問いに「来てます!」とか「今、気の流れが変わりましたね!」と、感じた事が言えるんでしょうが、僕には分からないというか…、正直言って、何も感じなかったですよねぇ~。

でも、その後も、なんか…鍉鍼には、興味があったんですよぉ~。…なので、理解しているような顔をして勉強会に行ってたりしましたねぇ~…(^^;)…そこは僕の中で忖度モードが起動したんでしょう…(-_-;)

鍼灸師になって、数年後に大師流の小児鍼の存在を知り、本を読んだり、講習にも数回ですが行った覚えがあります。あれも独特な鍼で、使い方にもコツがあって、すぐに運用できるものではないと思うんですが、…今の大師流の小児鍼も刺さないので、あれも鍉鍼と言えば…鍉鍼ですよねぇ~。

鍼灸の専門学校の時の同級生が、卒業と同時に千葉の石原先生の所に、弟子入りしていたので、その同級生から、鍉鍼も含め、九州にいながら色々な鍼法の情報を教えてもらってたなぁ~。

その同級生の影響もあって、鍼灸師になって10年目に1年間、月イチで東京に九鍼研究会の講習を受けに行って、その時に「あぁ~鍉鍼や鑱鍼や圓鍼って、そんな使い方があるのねぇ~」って思ったんですが…、鍉鍼に対しては、なんだか…まだ、学生時代の最初に体験した、鍉鍼のイメージが頭に焼き付いていた為か、臨床で鍉鍼を使う気にはならなかったんですよねぇ~。

なので、九鍼研究会の講習で得た知識を臨床で即、使ったのは火鍼とか大鍼とか長鍼かな…。刺絡も九鍼の講義に取り込まれてましたが、もう…その頃は、刺絡学会に参加していたので刺絡や灸頭鍼は既に臨床で使ってました。

なので、鍉鍼に関しては、いくつかの知識は持っているんだけども、臨床では使う気にならないというか、自分自身が納得できていない手法を、患者さんに施術するわけにはいかない…。そんな感じだったんです。

…で、今回、鍉鍼の何が…「少し…分かったような気がする…」って思い始めたのか?って事ですが…。

まぁ~…ここからは、言葉を選ばないと、鍉鍼を臨床で使っている鍼灸師の先生方から「まだ…そんな事を言ってるの?」とか「全然違うよ!」とか、すぐに否定されるんだろうなぁ~…という事を予想しながらも…、別に、たいした話しじゃないですしね…、思った事を正直に書きますね!…(^^;)

いやぁ~、今、僕は59歳なんです。…でね…、この1年前辺りから、五十肩になったり、腰が痛くなったり…、五十肩が治りかけて腕が上げれるようになったと思いきや、右足や右膝や右足首が痛くて、蹲踞が出来なくなったりと、…なんだか加齢による筋肉不調とでも言いますか…、調子がよくなかったんですよねぇ~。

知り合いの鍼灸師の友人の所に行って、治してもらおうとも思ったんですが、なんだかスケジュールが合わなくて、どうしようかな~?(>_<) …って思っていたところ、ふと…、以前、20数年前くらいに北京の東直門にある国際針灸培訓中心に行った時に、門の横にあった鍼灸用品の専門店で買った、刮痧に使う水牛の角を加工した物…。端的に言うと、ただの水牛の角の根元を球状に加工したものが、僕の机の上のペン立て刺さってたんです。

あぁ~…そういえば…こんなの、買ってたよなぁ~…

そうだ、この牛の角で足とか、腰とか、肩とか、足首とか、ただ軽く摩ってみてはどうだろうか?…と、ふと…閃いたので、やってみると…

あれ?…まだ動きに硬い部分はあるけど、蹲踞が出来るし、肩の可動域も広がっている。…(゜_゜) おっ!コレ…いいんじゃねぇ~!?!?。…って実体験したんですよねぇ~。

その時に、ふと、頭をよぎったのが、九鍼の講義の時に、石原先生が圓鍼の操作で「分肉が…どうのこうの…」って言ってたなぁ~。とか…鑱鍼も疎通という事で、皮膚表面を刺激していたよなぁ~。…って事を思い出したんですよねぇ~。

刺さずとも効果を得る方法…、これって鍉鍼や圓鍼や鑱鍼の理屈だよなぁ~。

牛の角でも効果が出る…という事は、鍼じゃ無くても…何でもイイという事か?…いやいや…そうじゃなかろう。…身体に合う素材ってものがあるはずだ…。

とりあえず、持ってる鍉鍼を使って、同じ事をやってみようと、自分の肩や腰や膝や足首を、鍉鍼を使って軽く摩ってみたところ、イイ感じなんですよ!

あっ!そうそう…いつもブログに書いてるので、耳にタコ…かもしれませんが…

基本的に、主動として身体の不調を治しているのは身体自身なので、運動や食事や睡眠が一番大事であって、医療・治療はサポートとして身体が治ろうとしているのを手助けする役割を担っている。これが体調不良を改善する為の初期段階での基本的な考え方なんです。

でも、これが逆転してしまい、医療や治療を主動として病気を治さなければいけない状態となれば、相当、大変な病気になってしまっている場合なので、そうならないように、普段からの身体のケアが必要なんですよねぇ~。

運動や食事や睡眠を、おざなりにして医療・治療のみで身体の不調を治そうとすると、最初は身体の修復が容易に可能なんですが、この方法を継続すると、複雑な症状に変化していき、容易に治せなくなってしまうんです。

『なぜ鍼が効くのか?』…って、よく患者さんから質問されるんです。

僕は、治療の基本は手当だと思うんですよ!…どこかが痛いから、痛いところに手を当てる…、人肌で温める…、手で優しく摩ってあげる…、これが治療の基本だと思うんですよね!

野生の動物は、体調が悪くなると、ジッとして動かず、体力の回復を待つか、痛い箇所を舐めますが、猿とか類人猿辺りになると、手を当てる…手当をするようになると思うんですよねぇ~。

いわゆる…猿人から進化していき、ホモサピエンスになった段階でも、まずは患部を摩ったり、温めたりすると思うんです。鍼自体は、鉄が加工されないと存在しませんしね…。

まずは、患部を摩ったり、温めたり…いわゆる、この行為は現代での、按摩・マッサージです。

その後、尖った石とか、片方が削れて刃のようになっている石…、砭石(へんせき)と言われてる尖った石が鍼の起源となるらしんですよ!…患部を摩ったり、温めたりしても治らない時に、この尖った石で患部を傷つけて鬱血した血液を外に出した方が治りが早い…というような事を、生活の知恵の中で発見したのが、後の鑱鍼や兎鍼や刺絡なんでしょうねぇ~。

その尖った石で皮膚を傷つけないまでも、摩ったり揉んだりするよりも強い刺激を皮膚に与える事で治ったりする事を発見したりして、鍼へと発展していったんでしょう。

その後…、鉄の加工が容易になり、今の鍼の形状が出来上がると、患部を皮膚の外から摩ったり、温めたりするよりも、身体の中に鍼を入れて刺激した方が効果が高いんじゃない?…っていう発想が、今の鍼の形態なんじゃないでしょうかねぇ~。

鍼の材質も、今はステンレスが主流ですが、金を使った金鍼や、銀を使った銀鍼を使っている先生もいますよねぇ~。

鍉鍼の場合も色んな素材で作られた鍉鍼が存在します。

金やら銀やら、チタンやらプラチナやら、銅やアルミの鍉鍼があったりします。

いつだったか…、江戸時代の頃の鍼の歴史を調べた事があるんですが、その時に何かの本に、ある江戸時代のお医者さんが言ってた言葉が紹介されていて…「近頃は、治療技術ではなく、金の鍼の方が良く効くとか、銀の鍼の方が良く効く…とか、鍼に付加価値をつけたがる…。嘆かわしいことだ…。」と書いてあったのを思い出しました。…(^^;)

まぁ~色々な考え方があるとは思いますが、なんにせよ…、鍼の素材は身体との親和性が重要だと思うので、身体に適した素材というのがあると思うんですよねぇ~。

鍼の歴史って、紀元前○○○年???からなのか?…よく分からないけど、その頃から現代までの時間の経過の中で、色々な素材が試され、採用されたり淘汰されたりを繰り返し、今の鍼の形態になっていると思うんですよね~。

鍉鍼の場合も金でもイイし、銀でもイイし…、プラチナでもチタンでも良い訳です。僕の身体との親和性で言えば、牛の角でも良かったわけですよねぇ~。僕の身体は自然的なモノとの親和性が高いのかも知れません。

何となく、惰性でここまで書いてみましたが…、結局の所、自分で体感して、実体験した事で「これは臨床で使えるぞ!」と確信を持てたという事なんですよねぇ~。

鍼灸師になって21年目の春…♪

「なんか…少し…分かったような気がする…」という…お話でした。

自分で効果を実体験した事で気分が高ぶり「コレは悟りか?…悟ったのか??開眼したのか???」…(゜_゜) と、その時は気持ちが高揚しましたが、多分、これって…ようやく21年目にして入り口に立つ事が出来た。…ただそれだけの事なんでしょうねぇ~…(^^;)

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