疑問に思っていた事だが…やはり釈然としない案件

5年前から、月に2回ほど鍼灸治療を受けに来られていた患者さんが、今年の2月頃からパッタリと来られなくなったんです。

「どうしたのかなぁ?…ウチの治療に何か不手際があったのかな?」…って思ってたんですよねぇ~!

そしたら、先日、久しぶりに予約が入り、来院された時に「最近、体調はどうですか?」と、お尋ねしたら、2月に交通事故に遭われて鞭打ちの状態になり、画像診断では首のヘルニアがあると診断を受け、2月・3月と整形外科に通院したり、整骨院に通院したりしていたとの事。

僕もケガはしなかったけど、3年前にもらい事故でタクシーに追突され、保険屋さんとの交渉でメンタルを磨り減らした事があるので、交通事故の大変さは多少なりとも理解出来ます。

その患者さんが仰るには、4月の中旬まで整形外科でリハビリを受けつつ、家の近所にある、短期間で治すというフレ込みの整骨院に通って、腕は事故当初より動くようになり、車でバックをする時、後を振り向く事も出来るようになったけれども、首と腰の痛さが、全く良くならないので、鍼で何とかなりませんか?

…と、言われて、今回、来院られたんですよぉ~。

患者さん曰く「同じ姿勢を維持するのが辛いので仕事も手に付かない…」との事でした。

身体を触らせてもらい、筋肉の状態を診て、問診での経緯を考慮するに、鞭打ちなので、所謂…急激な筋肉への衝撃により、筋肉が固まって運動制限がかかっている状態ですから、鍼や灸を使い、首や腰の筋肉を1時間くらいかけて緩めていきました。

患者さんが帰られる際に…「交通事故の保険の治療で鍼灸って、保険屋さんは良いって言いますかね?」と言われたんですよ…。

そう言えば…、僕も記憶がハッキリしていないんですが…

「交通事故の自賠責や任意保険での治療の場合、保険屋さんが鍼灸院には通院させてくれない」…って聞いた事があったんです。

以前、知り合いが交通事故に遭った時にも同じような事を保険屋さんに言われて、結局、その知り合いは整形外科に通って、その後は整骨院に通って…、半年くらい整骨院に通ってたけど、雨が降る前に首が痛くなるって言ってたっけな…。もう十数年前の記憶ですし、鍼灸が使える・使えないは保険屋さんにもよるのかな?って思ってたんですよね。

ウチの鍼灸院は開業して21年目ですが、確か…薬院で治療院をやっていた時に、1人だけ交通事故の鞭打ちで保険屋さんと交渉して、鍼灸治療を受けに来ていた患者さんがいらっしゃったなぁ~。

確か知り合いの紹介で来られた患者さんで…「交通事故では100%相手が悪くて、最初は整形外科に行って…数ヶ月後から整骨院に行ったけど良くならないから、以前、こういう症状の時に鍼灸治療を受けて治った事があったので、鍼灸治療を受けたいと保険屋に言ったら、保険屋は「鍼灸は駄目です」と言うもんだから、俺は100%悪くないのに、なんで受けたい治療が受けられないんだ!と怒鳴りつけ、苦情を申し立てて、保険屋に鍼灸治療を受ける事を承諾させた!」…というような話しをされていたように記憶してます。

保険屋さんは、お金を払う側ですから、どれくらいの期間で治るモノなのか?その間に、どのくらい支払えばいいのか?そこが保険屋さんとしては気になるポイントだと思うんですよね。まぁ~…ぶっちゃけて言えば、出来るだけお金は少額で済ませたいというのが保険屋さんの本心だと思います。

そうなると、エビデンス…所謂、科学的根拠…医学的根拠というものを保険屋さんは指標にするんだと思うんですよね!…なのでお医者さんが言う言葉は全て「医学的根拠がある」という判断を保険屋さんはすると思うんです。

じゃあ~…保険屋さんは、なぜ整骨院への通院を認めているのか?…って事ですが、…好きな言葉ではありませんが、「医療類似行為」という言葉があります。この医療類似行為の枠の中に、鍼灸師も整骨院の柔道整復師も、按摩マッサージ師も含まれるんですよね。

整骨院にはエビデンスがあって、鍼灸院はエビデンスはないのか?…なんて疑問を、保険屋さんに投げかけたくなりますが、保険屋さんは、なんて答えるんでしょうねぇ?…(^^;) 

整骨院の先生は柔道整復師の免許を持っている先生ですので、柔道整復師の業務として法律で定められている扱える疾患は基本的に骨折・捻挫・脱臼・打撲・挫傷なんですよね!なのでマッサージのような揉み療治は柔道整復師の業務範囲ではないから、柔道整復師がマッサージをしては駄目なんですよね!(あまり一般の人は知らない事ですけどね…)柔道整復師がおこなう整骨院での治療としては、低周波や高周波の電気治療や、テーピングや骨折の際のギブスなどでの固定…、たしか、骨盤矯正や脊椎矯正、頭痛や冷え性や肩こりや腰痛などに対する単なるマッサージは柔道整復師の業務範囲では無いはずです。

柔道整復師は整骨院で低周波や高周波の電気治療をするから…電気治療の機器を多く使うからエビデンスがある…と保険屋さんは思っているのかな?…(^^;) 鍼灸院に対して、保険屋さんは「鍼を刺したくらいで治るわけないじゃん!」「科学的根拠はゼロでしょ!」と心のどこかで思っているのかもしれませんねぇ~。

近頃、街を歩いていると、整骨院の玄関先に「交通事故」と書かれた旗がたなびいてたりしますもんねぇ~。…そう言えば、先日、整形外科クリニックの軒先にも「交通事故」と書かれた旗がたなびいてたりしてましたよ…(^^;) ちょっとビックリしましたねぇ~(゜o゜; 整骨院の「交通事故」の旗は、もう見慣れてしまってたけど、病院でも「交通事故」の旗を立ててるって…、「交通事故の大売り出しかよ!」って突っ込みたくなっちゃいましたよ!…(^^;)

なもんで…、何となく、イメージ的に「交通事故で保険を使って治療する時に鍼灸院は敬遠され、整形外科か整骨院ならOKと保険屋が言う…」って記憶していたから、患者さんには「保険屋さんに交渉してみてはいかがですか?」…と返事をしておいたのですが…

やっぱ…鍼灸師としても、交通事故で、治療が必要となり、自賠責や任意の保険を使わざるおえない時に、鍼灸治療は蚊帳の外に置かれているというが、噂でなく本当ならば、釈然としないんですねぇ~。

そう言えば…、ちょっと話しは逸れますが…

「治療」と「施術」という言葉を使い分けるというか…、保険屋さんは業種を分類するために、この言葉の使い分けている節があるんですよねぇ~。お医者さんが行う医療行為は「治療」で、お医者さん以外が行う医療行為を「施術」と呼ぶって、定着させてるのは保険屋さんが事務的な区分けをする場合に使っていた言葉が一人歩きしていき、「鍼灸師が行うのは治療ではなく施術だ!」…とか、差別化を図るためか、お医者さんが「彼らが行っているのは治療ではなく、施術ですからね!」と差別的にも受け取れる使い方をされる言葉が、この「治療」と「施術」なんですよねぇ~。

でもね!…広辞苑で「治療」を調べてみると…

病気やケガを治すこと。またそのために施す種々のてだて。

…とあります。

「施術」を調べてみると…

手術・催眠術などをおこなうこと。

…と書いてありました。まぁ~漢字を読み解くに「治療」は、療(癒やす)治(治す)…いやして治すのが治療という言葉ですし。「施術」に関しても、術を施すのが施術なわけで、どこにも医師が行う行為が治療で、医師以外が行う行為が施術なんて書いてないんですよねぇ~。

多分、保険屋さんなのか?保険を管轄する省庁の役人が事務的な区分けとして、「治療」と「施術」という言葉を使い分けを始めたのではないか?…と想像できますねぇ~

あっ!いけない!いけない!話しが脱線してしまいました。…(^^;)

交通事故の自賠責や任意保険の話しでしたね!その事について、ちょっと調べてみました。

自賠責保険の管轄省庁は国土交通省で、任意保険の管轄省庁は金融庁なんですって!

それで金融庁のHPを覗いて見たところ…

『自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律の施行等に伴う政令、省令及び関係通達等の制定及び改正並びに支払基準の制定について』という項目の『第2 傷害による損害』という項目に…

  • ○柔道整復等の費用免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費とする。

https://www.fsa.go.jp/news/newsj/13/hoken/f-20011115-1.html#betu1

…なるほど!…国としては交通事故による治療に関して、保険を使って整骨院や鍼灸院やマッサージの治療をする事は認めているって事なのね!

でも…何で?文頭が「○柔道整復等の費用免許を有する…」なんだろう?柔道整復師・鍼灸師・按摩マッサージ師を同等に扱うなら、「○医療類似行為の費用免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費とする。」…とすべきなんじゃないかな?…内容は妥当なモノだけど「○柔道整復の…」って…、これじゃ、まるで柔道整復師の関係団体に、何かしらか配慮した感じにも受け取れるなぁ~…(-_-;)

でもって、通常の治療では、社会保険や国民健康保険を使って整骨院や鍼灸院やマッサージの治療をする場合、医師の同意書が必要になるけれど、社会保険や国民健康保険の管轄は厚生労働省。

厚労省管轄の場合は医師の同意書が必要となるのに対して…

交通事故の自賠責や任意保険の管轄は、国土交通省・金融庁で、交通事故で自賠責や任意保険のを使って治療する場合、医師の同意書が必要だという一文は国土交通省・金融庁の文章には書いてないんですよね!この場合は、医師の同意書は必要ないと解釈できるわけですよね!

まぁ~交通事故の場合、首とか頭や内臓など、衝撃が大きい分、後々、何かあってはいけないので、事故直後は、とりあえず病院に行って検査してもらい、事故により身体に不具合が起こっていないか?治療が必要か?否か?を調べてもらう必要はありますが、その後の治療においては、医師以外の治療を受ける際に、医者の同意書は交通事故には必要ないという事なんでしょう。

でも、聞いた話しによると「医者の同意書を取って来て下さい」って言う保険屋さんもあるって聞きますしねぇ~。

で…googleで検索してみると…

『交通事故で整骨院に行った場合、請求はできますか?』…という質問に、
整骨院や接骨院での施術費についても、当該施術費が、症状固定までに行われた「必要かつ相当な施術行為」の費用であると認められる場合には、交通事故の治療関係費に該当する損害と認められ、当該施術費を請求できます。

『交通事故で整骨院に行った場合、請求はできますか?』
『自賠責保険は整骨院の施術を認めない?』…という質問に、
自賠責保険も,整骨院の施術費について,事故と関連性のないものとして保険金の支払を拒むことがあります。 整骨院での施術は,医師の指示があれば通常施術の必要性・相当性が認められますが,一般的に医師が整骨院での施術について指示することはありません。

…と書いてあったり、やはり…釈然としないなぁ~。

でも…やっぱ…『交通事故で整骨院に行った場合、請求はできますか?』『交通事故で整骨院に行った場合、請求はできますか?』『自賠責保険は整骨院の施術を認めない?』…って、整骨院なんだね!『交通事故で鍼灸院に行った場合』なんて質問はネット上でも見当たらないもんねぇ~…やはり釈然としないなぁ~(-_-;)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です