鍼灸!取って出し2(エッセイ)


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針灸・健康に関してのエッセイです。

鍼灸取って出し Vol.2

以前、2014年~2020年にかけて書いていたブログの中で、鍼灸や病気や健康に関する事や日頃,思った事などを抜粋して掲載してます。エッセイの感覚で読んでみて下さい。



・胸鎖乳突筋
2016年7月30日

胸鎖乳突筋この筋肉が凝ってる人ってけっこういらっしゃるんですよねぇ~!

筋肉は縮むことがお仕事ですから、筋肉の位置を把握して、この筋肉が縮んだらどういう動きになるんだろうか?って考えると、だいたい筋肉の大まかな動きがわかるんですよぉ~。

胸鎖乳突筋ば頭蓋骨の横の部分から胸骨(胸の真ん中にある骨)と鎖骨にくっいている筋肉なんで首を左右斜めに回す動作や頭を下に下げる動作などに使われるんですよ!

そうそう!首のリンパが腫れると胸鎖乳突筋が過緊張したりするんですよね!

リンパが腫れるって事は体の中に細菌やウイルスの侵入に対して、免疫機能が働ている状態なんですよねぇ~。だから虫歯や口腔内の炎症がある場合も胸鎖乳突筋が凝っちゃう事があるんですよ!

日頃の疲れやストレスで免疫力が低下すると、リンパが腫れて胸鎖乳突筋が凝る…ということは、胸鎖乳突筋の凝りは健康のバロメーターと言えるんじゃないでしょうかね…。

僕ら鍼灸師は直接、胸鎖乳突筋にアプローチをかけて筋肉の緊張を緩めたり、体全体のモチベーションを上げる為に胸鎖乳突筋以外の部位の凝り(首・肩・背中など)を取る事で免疫力を上げてリンパの腫れを治めたり…。胸鎖乳突筋に関係している経絡にアプローチして緊張を緩めたりと…いくつかの手法を駆使して
療します。

そういえば…昔~昔…、友人が面白い画像があると持って来たビデオで、ある先生(鍼灸師?医者?)が脈診のような感じで患者さんに触れて自分の胸鎖乳突筋をウッドベースを弾くように弾き、自分の胸鎖乳突筋の緊張具合で
療ポイントを決めるっていう不思議なビデオを見た事がありますが、あれを実践している人…いるのだろうか?(苦笑)






・肩甲下筋
2016年8月3日

肩甲下筋いつもやってるストレッチに腹斜筋の筋トレ入れてみようと4~5日前から体を捻る動作を入れた足上げ腹筋みたいなのをやり始めたからか…この2~3日、右の肩甲下筋辺りが痛くなったんですよ…。

昨日なんかは腕立て伏せをやるのもちょっと辛かったなぁ~。夜寝ていても気になったので眠い頭でウトウトしながら考えたんですゎ。

この状況で何かやれることはないか?… 起き上がってホットパックをレンジでチンして痛い部分を温めるなんて、眠くて面倒くさい!出来たら、この寝ている状態で痛みが取れてくれるとありがたい…。そう言えば肩甲骨周りって手太陽経の経絡がクネクネ這ってたっけ…でも肩甲下筋って肩甲骨の内側に付いてる筋肉だけど、その辺…どうなんだろう?などと眠い目を擦りながら患側側の小腸経を探り、張ってる所、圧痛があるところをウトウトしながら圧迫してたら、ものの2~3分で患部が緩んでいくのを感じていつの間にか寝ておりました。

今朝、起きたら患部に若干痛みは残っているものの、日常生活はこなせそうです。腕立てはまだちょっとキツイかな…。手太陽経に対してちょっと時間見つけてお灸してみよ~っと!





…という事は

2016年8月20日

全ての疲労は脳が原因何年前だろう?10年以上前だったか…大阪で安保先生の講演を聞いたのは…

自律神経の乱れが病の根本で、指先を揉む事で副交感神経を優位にして全てを治してしまうような講演内容だったような気がするんだけど、その時は「これがホントだったら凄い事だけど、全てを変化させるのはチョイと無理だろうなぁ~、まぁ~この先生の本を何冊か読んでみるか…」と数冊読んでみると、どの本も理論的にはスジが通っていて読む人に希望を持たせる内容だったですが、理論と現実が上手く噛み合わないのが世の常というもの…。なんとなくそれ以降は傍観する感じで見てました。

今回、ホンマでっかTVで面白い事を言ってた梶本先生の本『すべての疲労は脳が原因』…先日、アマゾンから届いたので読んで見ると「疲労=筋肉の疲れ」と思っている人が多いと思うけれど、実は筋肉って思っている以上にタフで、疲労は脳が感じているものだと…。でぇ~もっとも疲れているのは自律神経だと述べられてました。

「あっ!なるほど…全てを自律神経で解説するわけね!」って思ったんですが、この本を読んでると、「確かに~」「なるほどぉ~」と腑に落ちる事ばかり…。

僕なんか、昔から飽き性で子供の頃から親や学校の先生からも「根気が無い!」ってよく言われてましたが、例えば1時間、作業をやっていて「飽きた!」って思った時…、この「飽きた」が脳疲労のサインらしんですよね!そのサインを無視して作業を続けると脳の働きが悪くなるので効率が落ちミスも多くなる。やはりこの「飽きた」というサインが出た場合は5分~10分休憩してリフレッシュして、再度作業に取り組めば作業効率は上がるわけですよね!

この事を踏まえて鬱病を考えると「飽きた」という脳からのサインを無視し続けると自律神経が疲弊してしまう。もう極限の状態になった場合、体が緊急ブレーキを踏むかの如く鬱という状態になることで、強制的に体を休ませているのが鬱病というものなのではないのかな?

御存知の通り、交感神経と副交感神経を総称して自律神経と呼ばれているものなので、自律神経が疲弊してしまうと交感神経と副交感神経のバランスが取れなくなり、交感神経が優位な状態(例えて言えば車のアクセルをブンブン吹かしている感じ…)が躁状態で、副交感神経が優位な状態(例えて言えば車のブレーキを踏み続けている…ブレーキがかかっているので動きたくても動けない感じ…)が鬱状態。…こういう状態になる原因は脳から「飽きた」というサインを無視し続けた事が発端になっているように思います。

よく精神科の先生が「鬱は心の風邪のようなもの…。誰でもなる可能性はあるし必ず治るものです。」って言われていますが、身体自体が緊急ブレーキを踏まなければいけないと判断して、鬱状態になるのであれば、身体自体が「もう緊急ブレーキを踏まなくても大丈夫!」と判断すれば自然と鬱病は治るものなのではないのかな?

そんな事を想像させてくれる本でした。





・直後効果

2016年9月7日

どうかひとつ治療を終えたら「えっ!楽になったぁ~!」とか「動かなかった腕がこんなに動くぅ~~!」とか、まるで魔法にでもかかったように痛みや症状が消えてくれると、鍼灸師である僕達もストレス無く仕事をこなせるんですが、そうもいかないのが現実なんですよねぇ~。

何度も言うようですが、やはり痛めて経過した期間が長ければ長いほど、治るのには時間がかかりますから、慢性的な症状の場合は直後効果を見込める率は低くなるんですよ。でも患者さんは「早く治したい!」「この苦痛から解放されたい!」というオーラを凄く出して受診されてますので、
療する僕らも「痛めて経過した期間が長ければ長いほど治るのには時間がかかります…」と患者さんには言うものの、出来るだけ患者さんの意をくみ取り、痛みが無くなるように…腕が動くように…療時間いっぱかけて、精一杯の事を行うんですが、複雑な症状や症状が重い人ほど直後効果は期待できず、それが鍼灸師のストレスになる事もしばしば…。

やはり、ここで必要とされる事は、のめり込まず客観的に判断するという事なんですよねぇ~。

「のめり込む=患者さんに同調する」という図式は
鍼灸師の判断が鈍くなる材料になりかねないような気がします。

ホントは、何でもかんでもパッパと治って、患者さんと直後効果の感動を分かち合えたら、どれだけ気持ちイイか…とも思うんですが、病気や痛めている場所が治るのは患者さん自身の体が自己☆癒力によって治るわけで、薬や鍼灸はその自己☆癒力の背中を押す!この過程は不動の道理とでも言いますか…そういうものなんですよね!芸事や楽器の演奏も練習が必要なのは誰もが知ってる事ですし、それと同じで体にも治る期間というか、治るまでの猶予を与えてあげて欲しいと思うわけなんです!

なので直後効果ばかりを期待せず、小松政夫さんじゃないけど…「ど~かひとつ、長~~~い目で見てあげて身体をいたわってあげて下さい」




・鍼灸を理解出来る人とは…

2016年9月14日

ハリを一本打つ『鍼灸
を理解出来る人とは…』いやぁ~…なんか硬い感じのタイトルですなぁ~(笑)

とかく鍼灸って「痛い」「熱い」「怖い」というイメージがつきまとい、何となく昔からあるモノだから効きそうな気はするんだけど、気軽に行ける感じではない…とか…。「鍼灸=肩コリ・腰痛」と患者さん側が勝手に思いこみ、肩こりと腰痛以外は鍼灸は効かない!的な発言をする人もチラホラ…。

なかには「肩のココに鍼を一本打ってくれたらいいんだよ!他の所は別に悪くはないんだから…」と場所指定…本数指定をする強者にも出会った事がありますが、そんな人に、いくら「身体の不調の原因は…」と説明しても聞く耳持たれず、終いには「じゃぁ~今日は止めておきます…」と捨てセリフを吐いて治療を受けずに帰られた方もいらっしゃいました。

こういう人って病院に行ってもお医者さんに「風邪だから注射打って!」って居酒屋で焼き鳥を注文するが如く、お医者さんに指示するのかな?(苦笑)まぁ~…そういう人って一時が万事、物事を決めつけてかかり、思うとおりに相手が行動してくれないと腹を立てる人だったのかも知れませんねぇ~。鍼灸
を理解出来る人って、どんな人なんだろう?ってチョット考えてみたんですよね!

まぁ~簡単な答えとして「身体の仕組みを理解出来ている人」「自己
治癒力という事を理解出来てる人」なんだろうなぁ~という事なんだと思うんですよねぇ~。鍼灸に対して眉唾な感じを抱いている人…例えば、風邪とか鍼灸では治らないでしょ!…とか、胃が痛いのとかは無理でしょ!とか、精神的なモノとかは無理でしょ!って思ってる人達…。そんな人達が鍼灸院に来る事は無いと思いますが…(苦笑)
もしも、そういう人達に「鍼灸
ってこういうモノですよ!」と説明する事があるとすれば、逆質問をすればいいんじゃないかな?

鍼灸
に対して眉唾な感じを抱いている人に「じゃぁ…なぜ風邪を引くと思いますか?」とか「なぜ胃が痛くなると思いますか?」とか逆質問を投げかけて詰め将棋のように1つ1つ説明していけば理解してもらえる確率は高かくなると思うんですよね…。(僕自身…面倒くさくて、そこまで相手を追い詰めるような事はしないけど…、いや…お酒を飲む席で、そんな話題になったらするかも…(笑))でも、眉唾に思ってる人は、いくら丁寧に説明しても聞く耳持たず、逃げ出しちゃうかもね!…(苦笑)

でも、逃げ出しちゃうって事は「身体の仕組みを理解出来ていないから…」「自己
癒力を理解出来ていないから…」面倒くさくなるわけで、やっぱり結論として「身体の仕組みを理解していない人」は鍼灸に理解を示さないという事なんでしょう。

でも…僕の知り合いが、体調を崩して病院に行った時に「鍼灸
を受けていて…」ってお医者さんに伝えたら「鍼灸?…そんなの効かないよ!」って面と向かって言われてビックリした!漢方薬を処方するお医者さんだから鍼灸にも理解あるものだと思っていたのに…そうじゃないんだね!って言ってました。(苦笑)

お医者さんが身体の仕組みを理解していない???…そんな訳ないよねぇ~(苦笑)…という事は、身体の仕組み…云々とは違う意識(ステレオタイプだったり…)が鍼灸を批判するお医者さんのなかで働いているという事かぁ?…(苦笑)難儀な話やなぁ~。





・やっぱ基本はお腹なんですよねぇ~

2016年10月27日

腸内フローラ鍼灸師になりたての頃、色んな勉強会に顔を出してたんですが、教えてくれる先生方が一応に言われる言葉「お腹を調えなければ駄目だ!」

今にして思えば、鍼灸を学び始めた頃は東洋
学的な専門用語に振り回されて(ただ自分が理解に苦しんでいただけなんですが…)いたので、理屈のみ理解し実践に応用出来ていなかった部分が多かったように思うんですが、近頃は色々な情報を知り自分の体調と照らし合わせると、若い頃には実感できなかった事も如実に感じるようになり、当時、先生方が言われていた「お腹を調えなければ駄目だ!」という事がいかに重要であるかを、やっと?身をもって感じる…そんなお年頃なったんですよねぇ~(苦笑)ホントに「お腹の状態=健康」だと思います。





・道具

2016年10月28日

いやぁ~日本シリーズ…面白いですねぇ~!個人的には広島に優勝して欲しいんですが、この三日間、日ハム3連勝…。両チームともホームゲームでは観客の後押しが決め手になっているって感じですよねぇ~。…という事は順当に???いけば、この後は広島で行われるので広島優勝か?…。でもこの日本シリーズを見ていて感じるのは「ミスした側が負ける」…という感じですね。緊張の糸が切れてしまうのか…試合の流れが変わって行くのが手に取るようにわかるんですよねぇ~。29日はどんな試合になるんでしょうか?楽しみだわぁ~!

昨日、ラジオを聞いてましたら、パーソナリティーの方が「道具」について話をされてました。

竹細工の職人さんが、ワークショップで子供達に竹を編み込む手順を教えて実践させると、日本の子供達は竹細工をやった事なくても、ある程度教えてあげれば竹を編み込むようになるらしいんですが、外国へ行き外人さん相手に竹の編み込む手順を教えてやらせてると、とんでもなく出来ないらしいんですよぉ~。まぁ~外国って言っても色々な国があるから一括りには出来ないとは思うんですが、習っていないけど、なんとなく体が動くというか…DNAに入っているって感じる事ってあるような気がします。

でぇ~…、そこから道具の話になっていくんですが、日本の道具って技術を極めた職人さんだからこそ使えるというか…、職人さんの極めた技術を引き出せる道具…。裏を返せば、その技術を持った人じゃないと使えない道具として発展しているらしいんですよねぇ~!
欧米などは、その逆で「素人が使っても楽に出来るように…」という発展の仕方をしているらしんですよ!今は国際化の時代だから、色々な国の人が行き来する感じですが、日本はどちらかというと海に周りを囲まれているぶん単一とは言わないまでも、ある一定の民族でまとまる事が出来た訳ですよね!でも色々な民族が混ざり合う国だと、そういうDNA的なものの統一が出来ないから、道具も「素人が使っても楽に出来るように…」となっていったというお話しでした。

なるほどなぁ~。

鍼灸も道具あっての技術ですし「日本の道具=技術を極めた人だからこそ使えるように発展していった…」という話…、とても頷けます。以前ある先生から、若い鍼灸師が神戸源蔵さんという鍼作りの名人の鍼を購入しようと出向いたところ「あなたにはまだ私の鍼を使うには早すぎる」と門前払いされたという逸話を聞いたことがあるんですが、今ではこういう気骨のある話も鍼灸業界ではガラパゴス化しているように思えます。
以前、「ディスポーザブル信仰」というお題でブログを書いたことがあるんですが、何でも一辺倒にしてしまうのはいかがなモノか?と思うんですよねぇ~。全てをディスポーザブルにする事で途絶える技術もあるわけですし…。全てをディスポーザブルにしてしまおうという流れって、ここ15年前くらいからの話なんですが、なんとなくですけど…、日本人が大好きな?自主規制という意識の変化がもたらした産物のようにも感じます。なぜ良い具合にバランスを保って技術を伝承するって事が出来ないのかなぁ~?





・ストレートネック

2016年11月2日


ストレートネックストレートネックの人…、かなり多くなっているように思います…。
やはりデスクワークやパソコン作業やゲーム、などなど頭を下に向ける事や、同じ姿勢をキープする事が増えたのが原因でしょうかねぇ~。ストレートネックに関しては、色々と書籍も出てますし、TVでもお医者さんが出てきて「スレートネックが原因です!」ガッテン!ガッテン!……というようなインフォメーションもよく見かけるので、ストレートネックがどんなものなのか?って知ってる人も多いと思います。

基本的に首の骨(頸椎)~背骨は生理的弯曲といってS字カーブを描いているんですが、平たく言うと首の骨(頸椎)の緩やかな前弯をしているカーブが、まっすぐになっちゃうのがストレートネックなんですね!特徴として座った時に猫背だったり、顎が前に出たり、肩が体より前に出たり、頭が体の前に出たりというような姿勢になっちゃってる方で、首に違和感や不快感を感じてらっしゃる人はストレートネックになってる可能性がありますよねぇ~。

ストレートネックある本によれば首の位置が2cm前に出ると頸椎への負担は2倍になるそうです。
頭はもともと5Kgほどあると言われてます。なので首が曲がれば曲がるほど、首の曲がる角度によって頸椎への負担は酷くなるのは道理ですよねぇ~。

ではストレートネックなっちゃった人はどうすればいいのか?

まずは……硬くなってる首の筋肉を鍼灸
で緩めて筋肉をフラットな状態に戻します。その後は日常の姿勢を直して頂く事に留意してもらうのは勿論ですが、寝る時の枕…。これを小さなバスタオルをクルクル巻きにしたものを枕代わりにして、通常の頸椎の緩やかな前弯カーブ(30~35°)を作り、ストレートになっている頸椎を正常な頸椎の前弯カーブに戻していくのが一番イイ方法だと思うんですよね!

鍼灸|ストレートネックしかしながら、毎度毎度、口酸っぱく言ってますが、人の癖というものはホイ!ソレ!と、すぐには直らないのが世の常なので、日常の生活をしていると、ついつい猫背になったり…顎が前に出たり…肩が体より前に出たり…頭が体の前に出たり…というような姿勢になっちゃうものなんですよねぇ~。…そうなると、また首が痛くなるので鍼灸
で筋肉を緩め、姿勢に気をつけて、バスタオル枕を使い首の状態を矯正する。…これを何度か繰り返すと首の疲れからは解放されます。

でも、ストレートネックは首だけの問題ではなく、背中や肩や腰…骨盤のバランスなど姿勢全体が影響して起こるものでもあるので、体全体の調整も必要だと考えます。患者さん情報によると2ヶ月位、バスタオルのクルクル巻きの枕を使っていたら症状が改善されたと言われていた方もいらっしゃいました。どうか、直後効果ばかり求めずに体が治る猶予期間を考慮して
治療に専念されて下さいね!





・落語の中の鍼灸

2016年12月15日

落語の中の鍼灸時々、僕が落語好きな事を知っている人から「落語で鍼や灸を扱ってる噺ってある?」って聞かれる事があるんですが、そういう時は若旦那が医者の真似事をしたくなり贔屓の太鼓持ちを相手に鍼を刺すという『幇間腹』という噺と、お灸の熱さをやせ我慢する噺なんですが上方落語では『やいと丁稚』江戸落語では『強情灸』という題名の落語を紹介するんですよねぇ~。

とりあえず、噺の最初から最後まで鍼や灸が出てくるのはこの2つだと思うんですが、地味ぃ~な感じで噺の中にお灸が出てくる落語としては、鼻の頭にヤイトをすえた痕がある人が登場する『池田の猪買い』という噺があります。

あとは上級者向け??と言いますか……もっと地味ぃ~~~な感じでお灸に関係した事が出てくる噺としては『亀佐』という噺があります。しかし…この亀佐という落語の中には「お灸」「ヤイト」という言葉は出てこないんですよねぇ~。噺のサゲの部分で「お灸をすえる」という言葉の「すえる」という部分だけが使われてる噺なんですよぉ~。亀屋左京商店という今でも現存する艾屋さんの御隠居が、お寺で和尚さんの説法を聞いてる時にイビキをかいて居眠りをしてしまっているのを、隣に座っている人が揺すって起こそうとする行動に対して、和尚さんが「まぁ~まぁ~そのまま動かさずに、そっとしておいてあげましょう!」と言う時の言葉として「そのまま据(す)えておけばええがな。(そのまま動かさないで置いておけばええがな)」という「据える(すえる)」と「お灸をすえる」というかけ言葉でサゲとしている噺なんですねぇ~。(あぁ~落語のサゲを文章で説明するのって面倒くさい…(笑))

他にも鍼灸に関係する落語はあるのかも知れませんが、今…頭に浮かぶ噺としては、この4つかな…。





・奇をてらわない

2016年12月20日

「餅は餅屋」という言葉がありますが、どちらかと言うとネガティブな感じで使われるというか…、ネガティブな受け取りかたをする人が多いんじゃないかな?って思うんですよねぇ~。辞書にも「何事においても、それぞれの専門家にまかせるのが一番良いということの例え…。また、上手とは言え素人では専門家にかなわないということの例え。」とあります。まぁ~「余計な事はしない…」というような感じで捉える事が多いと思いますが、僕はあえてそこを一歩踏み込んで「餅は餅屋」という言葉を捉えてみたいと思うんですよねぇ~。

先日、カンブリア宮殿っていうTV番組でパン屋さんが取り上げられていたんですが、そのパン屋さん曰く、「食べた時にインパクトを与えるように香りの高いバターを大量に使ったり、甘いパンに仕上げたりすると食べた時は旨い!って感じるんだけど、毎日食べるとなると飽きちゃう…。パンは毎日食卓にのぼる物なんだから、毎日食べたいなぁ~と思える無添加の素朴な味のパンを作る事が重要…」というような事を言われてました。

この話を聞いた瞬間、僕の頭の中には「奇をてらわない…」という言葉が浮かんだんですよねぇ~。

僕がやってる鍼灸
でも流行廃りみたいなものがあり「へぇ~!そんな症状にも効くの?」「えぇ?そんな事にも有効なの?!」って一般の人達が驚くような事を売りにしている鍼灸もあったりするんですよね…。一般の人が抱いてる鍼灸のイメージ(肩コリや腰痛改善)からの脱却を図って新しい分野への鍼灸を模索しているのかも知れませんが、同業者ながら、ちょっと風呂敷を広げ過ぎてる感じがするように思えたりする事もあったりします。

何が言いたいかと言うと「奇をてらわないという事の重要性」とでも言いますか、餅は餅屋ならば、その”餅”のクオリティーをいかに上げるか…。毎日食べたいと思うような餅を作る事に重きを置く事が大事だと思うんですよねぇ~。鍼灸で言うなら一般の人が鍼灸に対して抱いてるイメージ(肩コリや腰痛
改善)のクオリティーを上げる事を第一義としたい…と僕は思うんですよ!なので、”はりきゅうふくた” の方針としては、奇をてらわず今後とも鍼灸に取り組んでいきたいと思います。





・瘀血って何?

2016年12月24日

鍼灸|瘀血ちょっとマニアックなお話しになることをお許しください。
年末の大掃除にむけて資料の整理をしてたら以前、講義をした時のメモが大量に出てきたので備忘録的な感じでブログに綴ってみようと思います。

刺絡
の勉強をしてたり、腹診の勉強をしたり、漢方薬の本を読んだりすると【瘀血】というワードが出てきます。

今から3~4年前に、当時所属していた福岡刺絡研究会で刺絡に関して1時間ほど話しをする事があって、色々と資料を集めて原稿をまとめていたんですが、必ず【瘀血】というワードが出てくるんですよねぇ~。学生時代を含めると鍼灸に携わるようになって16年…【瘀血】に関しては自分なりに理解しているつもりですが、素人の人に「瘀血って何?」って問われると「瘀血はね!これこれこういう物なんだよ!」とズバッ!と答えれない感じの代物…。「悪い血」「古い血」「ドロドロの血液…」などなど、的を得ていて素人の人にも分かりやすいような表現の仕方は色々あるんだけれど、なんとなく僕的には相手を煙に巻く感じがして…ハッキリと「これが瘀血ですよ!」と目に見えて一刀両断できないんだよなぁ~って感じてたんですよねぇ~。瘀血に関してズバリ解説してる書籍も無いし『刺絡鍼法マニュアル』にも瘀血に関しては詳しい記載は無いんですよねぇ~。

昔の書籍(江戸時代やそれ以前のもの…)にも瘀血に関する事は書いてはあるんだけれども、数行だけだったり瘀血の事を言っているんだろうと思われる文章だったり、漢文だったり…と読み辛いし…。ならば「近現代の先人達は瘀血をどう捉えていたのかな?」と思ったもので、ちょっと資料集めしてみたんですよぉ~。

昭和16年(1941年)『漢方と漢薬(第8巻 第3号)』で間中喜雄先生が「瘀血とは何であるか?」というタイトルで文章を書かれていました。この間中先生の文章に対して返答する感じで、昭和16年(1941年)『漢方と漢薬(第8巻 第7号)』矢数有道先生が「瘀血論」という文章を載せてらっしゃいました。

今どきの感じで言えば間中先生と矢数有道先生が紙面で瘀血を題材にバトルしてる…。結構激論を繰り広げられているので読んでいて面白かったですねぇ~。

そして、この昭和16年の間中先生と矢数有道先生のやりとりを総括する形で昭和50年(1975年)に『日本東洋
学会誌』の中で矢数有道先生のお兄さんである矢数道明先生が「瘀血をめぐって」という文章を書かれています。

他にも昭和30年に『漢方の臨床』の誌面に大塚敬節先生が「瘀血についての管見」という文章を載せてらっしゃいますし、昭和47年には『東洋鍼灸
 経絡』に久住恒夫先生が「瘀血証について」。昭和50年には『東洋鍼灸医学 経絡療』で岡田明祐先生が「瘀血について」。平成20年『北米東洋学誌』では瘀血を特集していて、池田政一先生が「瘀血の療」。児玉亨先生が「見える瘀血、見えない瘀血」という文章を掲載されてます。また平成20年には高知の西田皓一先生が『瘀血を治す』という本を出版されてます。

これらの資料を読んでみると、それぞれの先生が瘀血について考えを述べられていて、色々な仮説を立てていらっしゃるんですが、「これが瘀血です!」と断言できたり、証明できるものではない物だという事がわかります。

簡単に【瘀血】を解説するならば、瘀血は概念であって各論的な視点で理解しようとしても無理だという事なんでしょうねぇ~。なので1つの考えに固執せずに、先人達の考え方を理解して吸収した上で、トータル的な見方で瘀血の
療にあたるべきだと思うんですよねぇ~。そうなると漢方薬だと駆瘀血剤。鍼灸だと刺絡は外せないんですよね~。





・アトピーの謎…

2017年1月6日

アトピー基本的にアレルギー体質ではあるのですが、ここ数十年、アトピー性皮膚炎のような症状は出てなかったのが、ちょうど1年前の今頃、顔とか前腕にドバァ~と炎症が起こり、去年1年間、小規模ではあるけど皮膚の炎症が治ったり…再発したりを繰り返しておりましたが、去年の年末辺りからは落ち着きを見せております。

アトピーに関しては、数年前に『アトピー性皮膚炎に対しての皮膚刺絡』というタイトルで講義したことがあるので、基本的な事は理解しているつもりなんですが、いざ!自分がアトピー性皮膚炎の症状に悩まされる事になると新たな発見とか疑問に思う事が浮上したんですよねぇ~。

胃腸の不具合が発症の一因であることは知ってましたが、去年読んだ『腸内フローラの真実』に「通常、腸内細菌は腸の壁にブロックされて血液中に入る事はないんですが、腸内バリアが衰えると腸内の毒素が血中に漏れ出し様々なところで炎症を起こす。」というような事が書いてありました。…という事は、体のいたる所で炎症が起こるアトピー性皮膚炎は胃腸の不具合により腸内バリアが衰えて毒素が血中に漏れ出すことで起こるのかぁ~。…と、なんとなく腑に落ちる感じではあるのですが、ここで1つ疑問が…【なぜ左右対称、同じ部位にアトピー性皮膚炎の炎症が起きるのか?】この左右対称…という疑問に関しては現代
学でも答えは出てないようですなぁ~。

アトピーの語源はラテン語の「A・TOP・Y」が起源とされ「奇妙」とか「曖昧」という意味で使われていた言葉で、80年前くらいから使われ始めた病名らしいのですが、この左右対称の疑問に対して推察する場合、僕らは鍼灸師なので【経絡】というワードが浮かんできます。科学的・現代
学的な思考の人からすると「経絡って何?」っていう疑問から「信じられない…怪しい…」という事になるんでしょうが、東洋学の思考は概念でもの事を捉えないと理解出来ないと思いますよぉ~。

経絡の変動により左右対称、同じ部位にアトピー性皮膚炎の炎症が起こると考えれば「ガッテン!」出来そうなんですよねぇ~。

僕の経験上、アトピー性皮膚炎が酷くなった場合、やはり炎症を抑える為に薄いステロイドを使う必要性を感じますが、炎症が酷くなければ抗ヒスタミン剤や漢方薬を使いながら、食事の時によく噛んで食べるように心がけ腸内フローラの改善をはかり、経絡の変動を調える為に鍼灸
をする。これが今の所、アトピー性皮膚炎に対応する最善な療法のように思いますね。





・程度問題…(病篇)

2017年1月31日

病気に限らず、なんにでも”程度”というものはありますよねぇ~。

今はこういう事を言うと「常識が無い…」と言われるかも知れませんが…、昔、僕が子供の頃はチョットすりむいた擦り傷は「ツバを付けとけば治る!」って言われてました。実際、ツバを付けなくても傷口を水で洗い流して放っておけば治ってましたし、お腹が痛い時にお腹に手を当てておいたら、お腹が痛いのが治った事もありました。所謂、その”程度”で済む擦り傷や腹痛だったと言う事ですよね!

「もしかしたらこの痛みは命に関わる病気なのかも…」とか「傷口を消毒しなかったら傷口からバイ菌が入って…」とか、疑えばキリが無いんですが、「これくらいは大丈夫!」なのか…「チョットこれはヤバイ状態…」なのか…、という判断を誰が下すか?…医者なのか?…親なのか?…本人なのか?…が、この程度問題のキーポイントになるわけですよねぇ~。

たぶん、僕らが子供の頃は、僕の親世代の経験値から「ツバを付けときゃ治る!…お腹に手を当てておいたら治る!」という判断が出来てたんでしょう。でも今の御時世、TV番組を見れば
を扱う番組で少数の特異な例を取り上げて恐怖を煽る情報が飛び交ってますし、なんでも消毒・除菌を合い言葉にしている昨今、健康に対して年齢に関係なく恐怖心を抱くように教育?洗脳?されているように思うので「ツバを付けときゃ治る!…お腹に手を当てておいたら治る!」なんて言った日には、時代遅れ…時代錯誤のレッテルを貼られてしまいそうです。

鍼灸もどちらかと言えば時代遅れの
学と思われている節もありますよねぇ~。

「これくらいは大丈夫!」なのか…「チョットこれはヤバイ状態…」なのか…という判断を誰が下すか?ですが、多分、健康に対して年齢に関係なく恐怖心を抱くように教育?洗脳?されているような今の現状では「僕達は素人だから判断出来ないので専門家に判断をゆだねる…」って事になると思うんですよね!そうなると「
医療=者」という図式になると思うんですが、鍼灸はこの図式に入っていないのが現状でしょう。

何が言いたいのかと言うと「もっとお医者さんに鍼灸に対して理解を示して欲しい」という事なんですよ!(注:鍼灸
が適してる症状に限っての事ですよ!)適材適所という言葉があるように、医者が対応しなければいけない病もあれば、鍼灸の方が優れている病もあるわけなんですよね!けれど如何せん「鍼灸=時代遅れの学」と思っているお医者さんが多いのも事実ですし…、なかなか鍼灸をファーストチョイスする機会って少ないんですよねぇ~。

鍼灸
を受けに来る人の流れとしては、病院に行ってレントゲンや色々な検査したけど「異常ない」と言われ、保険が使える気軽さもあり整骨院に数ヶ月通うけど治らないという人が「鍼灸って怖いけど…」と鍼灸院に来られる事が多いのが現状で、正直言って「もっと早く鍼灸を受けておけば早く治るのに…」って思う事が多いんですよぉ~。

まぁ~ゲスの勘ぐりでない事を期待したいんですが…お医者さんが「餌場を他業種に分け与える気なんてサラサラ無いよ!」なんて思って無いことを願いつつ…(苦笑)イチ鍼灸師が呟いてみましたが…、現状は変わらないんだろうなぁ~。





・暗黙知…形式知

2017年2月10日

暗黙知と形式知ある雑誌を読んでたら吉益東洞の話から暗黙知・形式知の事が書かれていたんですよねぇ~。最初の方は「なんだか小難しい事が書いてあるなぁ~」って思っていたんですが、暗黙知(主観的で言語化出来ない知識)と形式知(客観的で言語化出来る知識)の事について書かれていた所は面白かったですねぇ~。

なんでも…「日本人は、もともと比較的単純なものを好んで、そのままのモノを受け入れる国民性で、料理なども素材本来の味を大切にして、それを可能な限り活かす事に重きを置く…」とか「日本家屋も曲がった木は、その曲がりをそのまま上手に利用したり、木目とか節目をペンキで塗り潰したりせず逆に木目や節目をデザインとして活かして使ったり…」と、何かを作り出すときに単純なものを極限まで追及して、その素材の良さを最大限に引き出そうとする気質のようなものが日本人の根底にあるらしいというような事が書いてありました。

この雑誌では古方…後世方…傷寒論…金匱要略…を暗黙知と形式知で論ずる…というか…そんな感じで、ある本を紹介されていたんですが、この “暗黙知と形式知” …、鍼灸でもよく論じられるんですよねぇ~。

鍼灸は基本的には数値化出来ない事の方が多いし、概念的な事や感覚的な事が多いので、どちらかと言うと暗黙知で物事が伝えられている割合が多いと思うんですが、鍼灸を現代
学的に解釈しようとしている人や、現代療との融合を模索されている人達は形式知に重きを置くスタンスで治療に取り組まれているんですよね。

全てを言語化出来るわけは無いって事は誰しも知ってる事でしょうし、分かりやすく説明や解説して欲しい欲求って、誰しも持ってると思うんですが、暗黙知…形式知…このあたりを良い塩梅とでも言いますか、偏らずに色々思考するのが一番いいスタンスだと思うんですよねぇ~。





・Bluesと鍼灸

2017年2月25日

ブルースと鍼灸「まだ聴いてないでしょ?」と音楽好きのTさんが鍼灸を受けに来られた時に持って来てくれたCD…内田勘太郎さんの『DEEP BOTTLE NECK GUITAR』というアルバム。

Tさんが「聴きながら治療する?」と言われたのでお言葉に甘えてBGM代わりに、このアルバムを聴きながら
療したんですが、なんか…聴いていてブルースのカッコ良さと奥深さを感じるとともに…、ブルースの難しさ?というか一般受けしないであろうブルースの宿命みたいなものを感じたんですよねぇ~。

僕が「ブルース」という言葉を初めて聞いたのは子供の頃に父親が聴いていた、内山田洋とクールファイブの ♪中之島ブルース♪ とか、淡谷のり子の ♪別れのブルース♪ とか…所謂、歌謡曲ですけど言葉として「ブルース」という響きを認識したのはコレが初めてですかねぇ~。子供の頃は「これがブルースなのかぁ~」って勘違いからのスタートでした~(笑)

17~18歳の頃にエリック・クラプトンを聴くようになってからブルースって、ど~も前川清や淡谷のり子が歌ってるのとは別モンだったんだなぁ~って認識し始めて「クラプトンが聴いて育ったブルースってどんな曲だろう?」と思い始め、色々とルーツを探り始めて初めてホンマモンのブルーを聴くようになったんですが、カッコイイのは分かるんだけど「どうやってギターを弾いてるのかさっぱりわからん!」

…これが最初にホンマモンのブルースを聴いたときの印象でしたねぇ~。(当時、オープンチューニングの存在すら知りませんでしたから…(苦笑))なので「ブルース=聴くもの」で自分で弾けるような簡単なモノではない…って最初に思ったもんで、いまだにスライドギターが弾けないんでしょうねぇ~。僕みたいな人…多いんじゃないかな?

ブルースって「渋い」とか「カッコイイ」って感じる人は多いと思うんですよねぇ~。「ブルース?…カッコ悪い…」…なんて思う人っていないんじゃないかな?でもヒットチャートでブルースが流れることはなく、お茶の間やドライブのBGMでブルースを聴く人はブルース好きのマニアックな人っていう図式が定着してるように思うんですよねぇ~。

ブルース好きとしては、なんとか…そこんとこ…脱却できないものかねぇ~って思うんですが…。やはりブルースという音楽が生まれたルーツというか生まれ持った宿命のようなもの…悲しみとか、孤独とか、憂いとか、悲哀とか…一言では解決出来ないものを歌い上げるものだと思うので、コレはこれとして人の心の片隅にしまっておきたい大事な宝箱?パンドラの箱?みたいなモノがブルースなのかもしれませんなぁ~。むやみやたらと人前でさらすモノではなく、わかる人達だけが集まって聴く音楽…。そういうモノなのかも知れません。

一般受けしないという側面から見ると鍼灸とブルースって似てるかも…(苦笑)東洋
で使う五行で考えるとブルースって悲しみや憂いだから大腸や肺、脾胃と関係してくるのかも知れませんねぇ~。





・自律神経…アクセルとブレーキと…鍼と灸と…

2017年3月28日

自律神経内蔵だったり…神経だったり…血管だったり…精神的な事柄も含めて、僕らの行動には全て自律神経が関わってるわけなんですよねぇ~。

自律神経の失調で体調が不安定になる事は、情報社会の今の御時世、誰でも知っている事だと思うんですが…「じゃぁ~何で自律神経が失調しちゃうの?」っていう事を理解しているか?理解していないか?が慢性的な体調不良を改善できるポイントになると思うんですよねぇ~。

交感神経と副交感神経を総称して自律神経と言うんですが、所謂、交感神経は車で言うとアクセルで、副交感神経はブレーキみたいなものなんですよぉ~。ガンガン活動したい場合は体の中のアクセルを踏み込む事で交感神経を優位にして精力的に働いたり、遊んだりするわけです。そんでもって、リラックスしたなぁ~とか…ちょっと疲れたなぁ~という時は体の中のブレーキを踏んで副交感神経を優位にする事で体や気持ちを落ち着かせるんですよぉ~。

このアクセルとブレーキのバランスとでも言いますか、アクセルとブレーキの操作の仕方が上手な人は体調不良とは縁遠い人なんですよねぇ~。でも、おおよそ慢性的に体調不良を訴えている人は長年、アクセルとブレーキの操作を間違えて使ってしまった事で体調不良になるわけです。

車の運転で例えると、通常の感覚だとアクセルを踏み込み過ぎたなと感じたら、アクセルを緩めてブレーキを軽く踏む事で安全運転できるわけなんですが、自律神経が失調しやすい人の生活パターンは、アクセルを踏み込み過ぎたと感じた時にアクセルを緩める事はせず、ブレーキを踏み込む事でスピードを調節しようとするんですよねぇ~。

いわゆる…アクセルとブレーキを同時に踏み込むような生活パターンを続ける事で日常を過ごそうとしてしまう。そういう生活をしていれば、車で言えばブレーキパッド(ブレーキの部品)が削れてブレーキが効かなくなるし、タイヤは空回りして白煙を上げてる状態になるのでタイヤ自体の耐久性も著しく低下してしまいます。こんな運転していたら車はボロボロな状態になっちゃう事は誰でも想像出来ますよねぇ~。体もボロボロになっちゃう事はあきらかです。

まず自律神経の失調で体調不良を訴える人は、体の中でこういう事が起こっていると自覚しなければいけなんですねぇ~。鍼灸は腰痛や肩こりなどの痛みを取るだけと認識している人が多いと思うんですが、トータル的なバランスを調える意味においても、自律神経にアプローチするツールとしては最適な
療法の1つなんですよね!





東洋医学はバランスの医学

2017年3月29日

東洋医学はバランスの医学近頃はTV番組でも健康や病気を題材に取り上げるモノも多く「○○は肝臓に良い!」と番組内でお医者さんが言えばスーパーマーケットの陳列棚から商品が消えたり、患者さん自身もTVを見て「TVで紹介された症状は自分の症状と同じだから、自分は○○病だ!」と決めつけてかかったり、自分は「腎臓が…」とか「肝臓が…」というように、ある特定の臓器だけが悪いんだと思われている人が多いと思いますが、そういう話を聞くたびに「勘違いされてるなぁ~」って感じるんですよねぇ~。

例えば病院で
「肝臓の数値が…良くないですねぇ~!」とお医者さんに言われたとします。そうすると患者さんは「自分は肝臓が悪いんだ…」と認識すると思うんですが、ある特定の臓器が悪くなっているという事は、その臓器に付随する臓器も弱ってきていると考えていいと思うんですよねぇ~。例えば消化器系(食道~胃~腸)という括りだったり、血管系(肝臓だったり腎臓だったり…)という括りだったり…。他の臓器はメッチャクチャ健康で何も問題無く、特定の臓器だけが悪くなるって事は無いと考えた方がいいと思うんですよ。1つ1つの臓器はそれぞれ、機能は違いますが、必ず他の臓器と影響し合って動いていると認識すべきだと思います。

なぜそういう事を言うかというと、人…というか、生き物ってバランスを保つことで生きていけてると思うんです。若者は若者なりのバランス…老人は老人なりのバランスを保つことが出来ているからこそ生きていけてるわけなんですよねぇ~。

でも近頃の風潮として年を取っていても若い人と比較してみたり…。昔と違い長生き出来る世の中だから…と「まだ老人とは呼ばせない!」的な感じで「若い者には負けん!」と年齢を意識せずに若さをアピールする生活をされている人って多いと思うんですよねぇ~。

ホントに高齢(80歳~90歳)になれば、いやが上にもバランスを自覚せざる終えない状況になると思うので、高齢の人には当てはまらないと思うんですが、40歳くらいから60歳?…70歳くらいまでの人はバランスを保つという事を心がけた方が良いように思うんですよぉ~。40代…50代…60代…と10年タームでステージが変わると理解すれば、年齢のステージによって生活環境を変える事でバランスを崩すリスクは少なくなると思います。

東洋
は基本的にバランスを重視する学ですから、一箇所だけをするという事ではなく、全体的に底上げをしながら陰陽のバランスだったり、精神的なものと体力的なもののバランスだったり…色々なバランスを取りながら健康状態を維持改善する、自然の流れに沿ったとても理にかなった学なんですよねぇ~。ですから漢方薬も即効性があるモノから、長期的に服用しなければならないモノもあったり、鍼灸でも痛みを取るだけではなく、患者さんが感じていない微妙な体の変化を体表から察知して調整したり、患者さんが痛みを感じる前に、その痛みの原因になるものを取り除いたりします。

やぱり…機械と違い基本的にパーツ交換が出来ない体の健康を、いかに維持していくかを考えた時に、重要なワードとしてバランスってとても大事だと思うんですよねぇ~!






矢数有道著『漢方治験論説集』

2017年4月13日

漢方験論説集古本屋さんで矢数有道先生の『漢方
験論説集』を見つけたので読んでみました。
矢数有道さんって39歳で亡くなられていたんですね…。
以前、瘀血の事を調べようとして、昭和16年に『漢方と漢薬』に投稿されていた【瘀血論】を読んだ時に、矢数有道さんってとても弁が立ち頭の回転が速い人だったんだろうなぁ~って感じたんですよねぇ~。

この本は昭和53年に出版されていて、お兄さんの矢数道明先生が遺稿を【Ⅰ.漢方症例
験集】【Ⅱ.漢方療論説集】【Ⅲ.漢方鍼灸論評集】と三部に分けたモノを一冊にまとめた本なんですが、なかでも【漢方鍼灸論評集】は「鍼灸薬融合の方法に対する私見」とか「漢方医の立場から「灸の話」放送事件を見る!」とか「宮本武蔵と漢方医術」とか「瘀血論-間中氏の「瘀血とはなんぞや」を読んで見て」などなど、漢方医でない僕ら鍼灸師が読んでも十分楽しめ、勉強になる投稿が多く載っていました。

4年ぶりに【瘀血論】を読みなおしてみましたが、忘れている事や、読み飛ばしていた箇所もあったりと、「へぇ~~!」「ほほぉ~~!」と1人で驚嘆しながら読んでおりました。

漢方医や薬剤師の方達は知っていて当然なのかも知れませんが、今回、僕にとっての新しい発見は、漢薬の駆於血剤(当帰、川芎、芍薬、地黄、牡丹皮、桃仁、桂枝、紅花、蘇木、益母草)って本草綱目式の薬能論から、何の臓器に働きかけるかというと全て肝経に入るらしんんですよ!なので「「駆於血剤と肝臓との関係」から「瘀血証と肝臓との関係」を推測することも考えられてよいと思う。」…と有道先生は書いておられます。

なるほどなぁ~~!

あとがきでは、兄の矢数道明先生が「…よりよい
治療法を探究し、また失敗を恐れずつつみなく発表するという真摯な姿勢がうかがわれる。其の結果が、森道伯先生の如く、鍼灸薬の併用から、当時、進んで刺絡にも手を付けていた。刺絡についての発表はなかったが、当時の刺絡研究ノートが一冊残っている。」とあり【瘀血論】のなかでも「…刺絡法は一種の駆於血である。これは内経霊枢に数十項に亘って詳述されているが、その後一時衰微してこれを行う者なく、徳川中期以後に於いて漸く日本では復活された(刺絡編、生生堂医譚験、東門髄筆、刺絡聞見録、八刺精要等)。特に面白いのは、これら刺絡法の復活は、むしろ和蘭学の輸入によって刺激されたことであって八刺精要はその翻訳書である。」と書かれていました。

矢数有道先生の「刺絡研究ノート」…気になるなぁ~!北里大学の資料展示室にあったりするのかな?読んでみたいなぁ~!





・『予防接種は「効く」のか?』という本…面白れぇ~!

2017年5月9日

予防接種は効くのかワクチン接種…
思い起こしてみると、鍼灸学校に通い始めて2年目にB型肝炎の予防接種をしたけど、その時に「10年?20年?以上効果が持続することもあるけど、1年で効果が無くなってしまう人もいるからね!…そこのとこ了承しておいてね!」と言われてたけど、接種して16年目…ワクチンの効果って今も続いているのかな?どうなんだろう?

インフルエンザの予防接種は、ず~と続けてたけど3~4年前に接種した翌日からインフルエンザのような症状になり1週間寝込んだので、それ以来、予防接種は受けずに過ごしてますが、ここ数年…インフルエンザには罹ってません。

僕自身は、このところ予防接種とは縁遠い生活を送っているんですが、実際、予防接種やワクチンに関して、浅い知識しか持っていないので、予防接種に対して「反対!」「賛成!」と声高に意見を言うつもりもなく、ちょっと興味があったからインフルエンザの予防接種に関してはネットで前橋レポートなるものを読んで「インフルエンザの予防接種って…良いのか?悪いのか?どうなんかねぇ~?…」と思ってたくらいで、実際、健康体で免疫システムがしっかり働いていれば人の身体って流行病になる確率も低くなるというのは、だれでも理解出来る理屈ですが、健康体ではいられなくなり、免疫システムが維持出来なくなると予防接種は必要になるんだろうなぁ~…くらいに思ってたんですよね。

ワクチンや予防接種が敵という訳ではないんだけれど「己を知り敵を知れば百選危うからず」の諺もありますし、ちょっとワクチンの事が知りたいなぁ~と思ったもので、この本を手に取ってみたんですが、「前橋レポートを再読し再検証してみる」という項目もあったりと、…この本、メッチャ面白ろかったです。

近現代のワクチン接種による過誤の例や、病気を押さえ込んだ成功例が分かりやすく書かれてますし、何故、今、予防接種がやり玉に挙げられているのかというロジックが、とても分かりやすく解説されてました。

僕は常々「東洋
学はバランスの学…」というような事を言ってますが、この本を読んでいると、東洋医学に限らず、西洋学…さらには社会全般においてバランスが重要で…(当たり前の話なんですけどね…(苦笑))そのバランスが保てなくなると歪なもの…歪な社会が出来上がっちゃうんだろうなぁ~って思いますなぁ~。

それと、この本に書かれていた「ゼロリスクという幻想 / リスクはゼロにできない、から始まる発想」は皆さんに読んでもらいたいですねぇ~。今まで
療に対して副作用なんて起こりえないというゼロリスク神話が横行してたけど、医療行為は必ずリスクを伴う事があると承知した上で療を受けなければいけない。…という事が分かりやすく書いてありました。

基本的な考えとして、
療にはリスクはつきものなんだけれども、手術や投薬などで副作用があってもリスクを凌駕する利益が患者さんにもたらされるから、療という行為が成り立つ…という事なんですねぇ~。「医療の本質はリスクを超える利益を得るためのトレード・オフ(一方を追求すれば、他方を犠牲にせざる得ないという状態)の行為。」…だそうな。(確かに!おっしゃる通りですわぁ~)

この本質を見失うと関係者の隠蔽やメディアの糾弾が生じるし、そうなると萎縮してしまった関係者のプロフェッショナリズムの欠如につながって、
療の進歩にブレーキをかけることになるんでしょうねぇ~。
「今の常識を捨てる覚悟を持つ…」「健全な猜疑心が重要…」…と言うことも書かれてました。

fufufufu…激しく同意ですなぁ~(笑)

「予防接種=シートベルトみたいなもので交通事故で死なない事を保証するものではない…」っていうのも凄く分かりやすいですねぇ~。

最後の章に書いてあったんですが、僕も色々な議論でよく経験するんですけど…「好き嫌いの問題」と「正邪の問題」をすり替えてしまっては正しい判断は出来なくなるんですよねぇ~。ホント、この本を読んで色々と考えさせられる事も多かったですし、予防接種に関しても、もう一度フラットな思考で見極めた方がいいなぁ~と思った次第です。





・結果として逆子が治ればいい話だと思うんです。

2017年5月17日

逆子ここのところ、逆子のお灸を希望される患者さんがいつになく多いのはなぜかな?

ホームページを見たり、紹介されたり…と、色々なルートで来院されるんですが、いつも一方通行というか…、
治療はしたけど結果がどうだったのか?…逆子が治ったのか?…逆子が治らず帝王切開する事になったのか?僕ら鍼灸師は患者さんからの報告が無ければ分からないのが現状ではありますが、出産後に肩こりや腰痛の治療で、以前、逆子のお灸を受けられた患者さんが来られて、どうだったか結果を知ることになる。…という感じなんですよね。

逆子がお灸
で治らなかったら鍼灸への信頼感は低下するはずですから、逆子が治らなかった場合、その後、肩こりや腰痛をおこしても鍼灸には来てくれない可能性が高くなると考えれば、出産後に腰痛や肩こりで鍼灸に来てくれる確率が高いという事は、逆子が治ってる事が多いという事だと思います。

鍼灸院に逆子のお灸を受けに来られる方の特徴として共通しているのが妊娠33週とか35週で駆け込み寺的にお灸
を希望される方が多いんですよね…。統計的にも妊娠28週~31週の方が逆子が治る確率が高いという事は知られているはずなんですが、何となくですけど、逆子だと分かった時点で「お灸は熱いだろうし、まずは逆子体操で…」というような感じで取り組まれている方が多いように思うんですよねぇ~。逆子体操でひっくり返らなかった場合、既に33週とか35週目に入っていて「お灸で何とかなりませんか?」となる。

う~~ん…

どうせなら逆子が分かった時点で逆子体操とお灸
を同時にやった方が良いと思うんですよねぇ~。お灸の方が治る…体操の方が治るとか、手柄争いのような事は、ど~でもいい話で、結果、逆子が治れば母胎の負担が減るわけですしね…。回るか?回らないか?結果は2つに1つですし、やれる事は全てやる体制で臨んだ方が良いはずなので、逆子だと知らされた時点で逆子体操とお灸の療治の同時進行を試されてみてはいかがですか?




・またまた補瀉について…のたまいける。

2017年5月27日

補瀉【口訣】というワードで検索していたら、日本東洋
学雑誌に掲載されていた講演の文章に出くわしたんですが、『傷寒約治』の文章が紹介されていて “高価な薬を用いる害について” …について書かれてました。『傷寒約治』という本…、傷寒論に関係している本だとは思うんですが、『傷寒約治』で検索をかけると香月牛山という名前が出てくる。…たしか、香月牛山って九州の人でしたよね?

『近頃の
療がヘタな医者の多くは補に偏するなり…~…傷寒の危証を見ては虚実の辨もなく大量の独参湯を用い…~…ただ病人をして、しきりに人参を服せしむ故に邪気を補住して、熱洩れること能わず。多くは死に至る。~…そのなか100人にして1人も脾胃強く天気盛んなる者、自然と熱尽きて癒ゆる類あれば、それを証拠にしておのが術をてらい能をつのる。またかくの如し…~…人参びたしにしても死する者はかほどに大なる補ひ薬を用いても、その補及ばざれば術無しとして、己の術のつたなきを人参にて飾る。』

なるほどな…。この文章を読んでると瀉法を嫌ってた人達の事を思い出すなぁ~。

補と瀉…。補わなければいけない時には補わなければいけないし、害があるものは排除(瀉)しなければいけないというのが道理だと思うんだけど、鍼灸の世界では一部の学会?学派?の人達が一時期、瀉法を親の仇のように忌み嫌っている光景を目にした覚えがありますが、今でもそうなのかな?あれは何でなんでしょうかねぇ~?多分…「補う事は良いことだぁ~♪」という旗の下…思考停止しちゃってるから、あんなふうになるんだろうなぁ~。





・弁証論治とは…考える事

2017年6月23日

先週の日曜日、鍼灸学校の校友会(卒業生を対象とした講習会)で李世珍さんのお孫さんの李揚さんの講演を聞いたんですが、中
学(中国学じゃなくて中学ね!…)って広める事を前提に作り上げられているから、理屈とスジは通っていることが多いなぁ~と感じる反面、臨床上「それだけでは解決出来ない事の方が多いんだけどな…」…と正論を説く中学に対して牙城を崩したくなる性分の僕…(苦笑)

でも、互いに相手の悪い所を言い合っていてもラチがあかないので、ここは互いに改善策を出し合うことで前に進んだ方が良いと思うんですよね!僕からの提案なんですが学生さん達に弁証論治を教える時、教え方を変えた方がいいんじゃないでしょうかね?

弁証論治って僕らの世代は学生時代から教わってますが、イメージ的には…例えとして(肝風内動)とか(肺気上逆)とか…四文字熟語探しのイメージが強いので多分、習っていても運用しずらいと言うのが本音じゃないかと思うんですよね!

でも僕らは結局の所、患者さんと向き合う時、症状を聞いたり、身体の状態を探ったりして、なぜこの症状が出ているのかを考えてるはずなんですよね。で…色々と知識や経験を踏まえた上で
療ポイントを決めて鍼やお灸をする。これって結局は自分なりの弁証論治をしているという事なんですよね。本や教科書に、あたかもコレが正解です!と言わんばかりに四文字熟語が書かれてますが、なにも本に書いてあるだけが正解ではないと思うんです。ただ「知識や経験が浅い人は情報量が少ないので、症状を治す事が出来ないかもしれないから色々と勉強しましょう!」…でいいと思うんですよ。

「弁証論治=中
学」というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、日本の後世方派の元祖である曲直道三も「察証弁治」という療システムをとりいれてますし、この際だから中医学だの和方だのの壁を取っ払って「弁証論治っていうのは療の行程を考える事なんだ…」という事で、学生さん達に教えた方が分かりやすいと思うんですよねぇ~。






・攻撃的だなぁ~と思いつつ…

2017年7月18日

中医学の誤謬と詭弁東京は麻布のマニアックS先生がツイッターで紹介されていた本『中
学の誤謬と詭弁』攻撃的なタイトルだなぁ~と思いつつ面白そうだな…と思い読んでみました。

歴史を探る時や古典を読む場合は、その背景を知った上で学ばないと、その後の別な時代の色々な考えが雪だるま式に膨らんで、奇妙な考え方が構築され崇拝される事があるので(ある事無いことをゴチャ混ぜにして「昔は凄かったぁ~~!」…とかね。)、現代人が過去の
医学書を読む時は気をつけて読まねば…と常々思っておりました。

この本にも「現代
医学の先入観を排除して解読しないと…」って何度も書かれてましたし、その辺を正すつもりで書かれた本なんでしょうねぇ~。

東洋
学・鍼灸も色々な流派…学派があり、その時代、時代で書かれた書物が沢山あるわけですが、とどの詰まりが「どの宗教を信じてますか?」…という感じと同じで、あなたは鍼灸・東洋学のどの時代の考えをベースにされていますか?…1つに絞る必要はないけど、おおむねこの時代辺りの考えとか…、また別の時代の、この先生のこの考え方もアリだと思うし…云々。というように何か基準となる考えが、どの鍼灸師にもあると思うんですよねぇ~。(無い人もいるかも知れないけど…(苦笑))

そう言えば、この本の冒頭で「稚拙」という言葉がよく出てるのがチョット気になったなぁ~。現代
学・科学を基準として過去の学に対し「稚拙」という言葉が使われているけど、そこまで否定的なスタンスだと古典から発想とか創造する思考にはなれないような気がするなぁ~。

所謂、再現性を重視する「科学」以外は
学ではないというのが、この本の著者の考え方なんだろうか?…なんて想像しちゃいますが、本を読み進めると、多くの人達が勘違いしているであろう中学の矛盾点をしっかり突いてるところは凄いなぁ~って思います。こういう本ってなかなか無いし、とても面白かったです。





・もう一度読みなおしてみた…

2017年9月8日

99.9%が誤用の抗生物質僕は本を読む時、1冊をじっくり読むのではなくて平行して何冊かを読むことが多いんですが「あっ!コレ面白そう!」「この本も面白そう!」とか調子付いちゃって、読む本が多くなると、途中で読むのを頓挫してしまう本もあったりするんですよねぇ…。

この『99.9%が誤用の抗生物質』も途中まで読んでいて、放ったらかされていたんですが「もう一回最初から読みなおしてみるべ!」と読んで見ると、やっぱ面白い!

抗生物質って一言で言っても「マクロライド系」とか「ペニシリン系」とか「セフェム系」とか…あと数種類あるという事だけは知ってましたが、それぞれ色々と用途が違ったり、第一世代…第二世代…とか、新たに開発されていたりして…「抗生物質」という名前で一括りに出来ない感じですなぁ~。

面白いなぁ~って思ったのが「日本の感染症の黒歴史」という章の中に書いてあったんですけど…、日本は抗生物質の開発能力は高いのに臨床応用が下手らしんですよねぇ~。戦後、日本の医薬品審査や承認は厚生省が行っていたけど薬害による批判を恐れて「とにかく副作用は出さないように」という点が最優先になり、ある抗生剤では世界標準は1日1回500mg投与だったのに対して日本では100mgを1日3回となっていたために薬効も低いうえに薬剤耐性菌の増加を促している原因になっていたらしいんですよねぇ~…今は随分改善されてはいるものの、ジェネリックなどは、そのままの表記で流通しているものあるらしいですゎ!…怖い怖い!

この本を読んでいて、ちょっと思い出した事があったんですよねぇ~

鍼灸の世界でも鍼を深く刺すのを嫌っている学派の人達がいらっしゃいますが、以前…その学会の重鎮の先生に「この学会の祖とされている柳谷素霊さんは書籍によると深く刺して
療されていたようですが、なぜこの会は深く刺すのを禁じて浅く刺す鍼を推奨するんですか?」って、質問したところ「まだ試行錯誤の段階なんです。深く刺すと組織を損傷させてしまう恐れがあるでしょ!?鍼はむやみに深く刺すモノじゃない!浅く刺しても十分効くんだから、深く刺す必要はないでしょ!」とたしなめられたのを思い出しますが、これに関しては未だに慴伏しかねますなぁ~。まったくもって「とにかく副作用は出さないように…」という考えと一緒としか思えない…(苦笑)

この本を読むとお医者さんでも抗生剤の用途を把握してない人もいるらしいし、ましてや素人判断で抗生剤を飲んだり、処方された抗生剤を勝手に飲むのをやめたりするのはダメだよねぇ~って思いますなぁ~。






・少ない武器でどう戦うか…

2017年11月16日

「鍼灸師って鍼とお灸だけで
すんでしょ?」って質問されたりする事があります。

たしかに僕らはお医者さんのように薬を使う事も出来ませんし、手術や血液検査やレントゲンなどの画像
を扱う事はできません。
僕の場合、按摩マッサージ師の資格は持っていないのでマッサージもできません。按摩マッサージ師の免許を持ち合わせている鍼灸師さんはマッサージも出来るんですが、僕が通った鍼灸学校では按摩マッサージ師の免許を取る為のシステムがなかったから免許を取ることが出来なかったんですねぇ~。(なんかスネークマンショーで「あれも出来ない…これも出来ない…でもこれだけは自信をもってお見せできます…御覧下さい…」っていうコントあったなぁ~(笑))

僕らの武器は鍼とお灸だけ…。あとは「見極める力」も
療に使える武器…ですね!見極めるって結構、療に於いては重要なファクターだと思います。なので、鍼灸で無理だなと思われる場合は出来るだけ早く専門医に行くように勧めます。…けど、鍼と灸ってけっこう守備範囲が広いというか、色々な症状に対応出来るんですよねぇ~。ここで大風呂敷を広げて営業トークするつもりはありませんけど、鍼灸ってホントに色々な症状に対応出来ます。なんとなく一般的にはマルチに検査も出来て何でも出来る方が優れていると思われがちですが、漢方薬でも生薬の種類が少ない方が良く効くと言いますし、症状によってはマルチな検査が必要ない場合もあるんですよね。

よく現代
学を”木”、東洋学を”森“に例えて「木や葉っぱばかり見ていると森の機能的な異変には気が付きづらくなるし、森ばかり見ていると木の細かな異変には気が付かない」…ってな感じで双方の利点・欠点を説明されます。

西洋・東洋…双方のいいとこ取りをするのが一番良い考え方だと思うんですが、まずは“病気”という大事にならぬように患者さん自身が普段の食生活や生活パターンを見直しながら、体の微調整として「鍼」と「お灸」と「見極める力」…で体に備わっている免疫力を高めて病気を予防し、病気になったとしても初期段階で治す事が出来る程度の症状であれば鍼灸
で対処する。検査や薬が必要になるほど症状が悪くなった場合は薬物を使う。コレが一番筋道が通った療のあり方だと思うんですよねぇ~。





・音楽好きの鍼灸師としては…

2017年9月29日

打てば響くもう一度、読みなおしてみようかな…と思い、棚から引っ張り出して読んでみたんですが、科学的・非科学的に対してのお二人の見解…面白かったなぁ~。本にも書いてありましたが、大友さんが言われている「人間ってどうも性急な答えを求めたがる…、科学はそういう時に本当に便利なものだったんだけども、本当の科学っていうのは、根拠や答えを性急に出すためのものではなくて、ものの真理を考えたり発見するための、一つの大きな方法であるんだけど、それだけではパーフェクトではない…」…って解釈、凄く腑に落ちるわぁ~。

それと、「音楽のリズムは一人で作るものと複数で作るものとでは全然違います。もちろん一人でもリズムは作れますが、人数が増えるとまったく違う事がおきます。単にテンポを共有する、合わせるって事ではなく、お互いに引っ張り合うことで独特のグルーブ感が生まれてくるんです…。」…これ…バンドやってる人間としてはよく分かるわぁ~。実はこれって音楽に限らず全ての事において当てはまる事なんですよねぇ~。だから学会とか交流会とか勉強会とか…色々な名目で人が集まるんでしょうねぇ。

竹村さんがヒマラヤに行かれた時の話で、シェルパの人が「子供の具合が悪いので診て欲しい」母親と赤ちゃんを連れてきたそうなんですが、竹村さんは、赤ちゃんの状態を見て「これは自分の分野じゃない…」と判断して「早く
医者に行くように…」と言うと、母親は落胆した感じでテントを後にしたそうなんですが、その時に竹村さんの師匠にあたる人の「痛みのレベルが、もし1メートルあったら、治療で1センチでも1ミリでも下げる事で人間の身体は楽になるんだよ!治す事より、時には、ほんの少しでも楽にさせて送り出す事も大切なのだよ…」という言葉を思い出し、母親と赤ちゃんを呼び戻し、施術したらグタ~としていた赤ちゃんは勢いよくオシッコをして大きな声で鳴き始めた。…という体験談が書かれていたんですが、この「治すのはもちろんだけども、治す事より、時には、ほんの少しでも楽にさせて送り出す事も大切…」という言葉…。これは療する僕らは勿論の事、治療を受ける患者さんも自分の身体の声に耳を傾ける感じで、みんなが自覚しておかなければいけない言葉のように思えるんですよねぇ~。

最近、薬を飲めば…注射を打てば…手術をすれば…何でも治ると勘違いしてる人が多くなってるように感じるんですよね。

『銀河鉄道999』じゃ無いんだから…機械の身体は手に入れられないわけですしね…もっと自分の身体の訴えに耳を傾けなければ…。





・猫背(円背)と刺絡

2017年10月5日

刺絡”猫背” と“円背” …厳密にはカテゴリー分けがあるみたいですが、一般の人からしてみれば「背中が丸くなる事」という括りで知られている症状ですよね…。

猫背になる原因としては年齢別で色々とあると思いますが、年配の方で背中が丸くなっている人って結構、多いんですよ。年を取ってなくても30代~50代で肩凝りや首凝りや腰の痛みの原因を探れば、だいたいの方が徐々に骨盤が後ろに倒れる “骨盤後傾” という状態になり、前傾姿勢で動く方が楽になるので自然と腰や肩甲骨内側や肩や首が凝っちゃうんですよねぇ~。

若い頃なら丸まった猫背も自力で伸ばす事が出来ますが、年を取ってくると、だんだん背スジを伸ばすことも出来なくなり背中が丸くなってしまうんですよぉ~。そうなってしまうと背中や肩や首の凝りが普段以上に強くなり、鍼灸院に駆け込まれる方が多くいらっしゃいます。

初期の症状の頃なら鍼やお灸
で対応することができますが、だんだん猫背や円背が酷くなり、肩や背中や首への負担が強くなると、今まで鍼や灸で取れていた痛みも、なかなか取れなかったりするんですよねぇ。

今まで丸まっていた背スジがピン!とすぐに伸びる訳ではありませんし、猫背や円背の老人が☆療後に急に背スジを伸ばしてシャキシャキ歩くなんて話…聴いた事ありませんよねぇ~。でも背スジを伸ばして歩かなくても筋肉の負担を軽くすることで日常生活が随分楽になる事は確かです。

猫背や円背の方々の
療をしていて感じるんですが、鍼やお灸でも症状を軽くする事が出来なくなってきた場合、猫背や円背の患者さんに対しての刺絡って患者さんから結構、歓ばれるんですよ。刺絡は強制的に血液循環を良くする療法ですから、背中や肩の筋肉を緩ませるにはもってこいなんですよね!

猫背が治る訳ではありませんが刺絡
をする事で筋肉の負担を軽くして日常生活を楽にするって、とても重要な事だと思うんですよ~。老化を止めることが出来ないのは誰もが理解してる事なんですが、日々の暮らしを楽に過ごせるようにするってとても大事な事だと思うんですよねぇ。





・最近、気になっている鍼柄の違い

2017年10月7日

今更ですが、最近、気になっているのが鍼柄(竜頭)の違い。

鍼灸
で使う鍼の持ち手なんですけども、日本の鍼と中国の鍼では鍼柄の形状が違うんですよねぇ~。
日本の鍼は持ち手が短くて、中国の鍼は長くて柔らかい。
こんな事は鍼灸師になる前の学生の頃から知ってはいたものの、この十年くらいは日本の鍼ばかり使っていたので、最近は中国の鍼ってあまり使う機会が無かったんですよねぇ~。

先日、ひょんな事から中国針が手に入り、久々に使ってみようかな…と数本使ってみたんですが何かが違う!
鍼灸を始めた頃には気が付かなかった違いとでも言いますか…、日本の鍼では出来ないアクションというか…、何かが違うんですよねぇ~。

今まで日本の鍼ばかり使っていたからこそ気が付く微妙な感覚なのかも知れませんが、日本の鍼は日本の鍼で良い部分があり、中国の鍼は中国の鍼で良い部分があるわけで…、まぁ~その辺の感覚にやっと気が付いたという感じなのかも知れません。(いまさら~遅いわ~とバカにされそうですが… (^-^;) 苦笑…)

そうなってくると気になるのが「中国の鍼の鍼柄っていつから、あの形状なのかって事…」…と同時に「日本の鍼の鍼柄の歴史も気になるなぁ~」鍼柄に関しては中国の影響は受けなかったんだろうか?もしかして中国も清の時代に100年ほど鍼灸が廃止になっていたという歴史があるみたいですから、あの鍼柄の形状は1900年になってからのものなのかな?…この辺の歴史に詳しい人の話…聞いてみたいなぁ~。





東洋医学と西洋医学と広島風と関西風お好み焼き。

2017年11月15日

お好み焼き東洋
学 vs 西洋学…というような…何かと何かを戦わせたい方々…、もしくは戦いたい方々が「東洋学は即効性が無い…」とか「現代医学は検査で異常が出なければ痛みがあっても「異常なし…」と判断され、あとは何もしてくれない…」とか、双方がバトルしてるような…、または挑発してるかのコメントをネット上で見かけたりします。

東洋
学という括りの中でも、時々、漢方薬を使うお医者さんの中にも「鍼灸なんか効かないよ!」という人もいたり、「鍼灸は療じゃなくて “施術” だからね…」などと言う人もいたりします…。

まぁ~思ったり、発言したりするのは自由なんだけども、なんとなくどちらの意見を聞いても「ケツの穴が小せぇ~なぁ~」って思っちゃうんですよねぇ~。東洋
学だろうが西洋学だろうが学は学なんだから、西洋・東洋…分ける必要はないんじゃないの?

これって、お好み焼きの対立と同じような気がするんですよねぇ~。広島で「広島風お好み焼き…」と言うと、「コレがお好み焼きじゃけ~“広島風”なんて付ける必要はない…」と言われますし、関西もまたしかり…ですよね。でも僕は広島風だろうが関西風だろうが、“お好み焼き”という名前が付いているわけですし、丼物ではなく、麺類でもなく、お好み焼きという括りの中に広島風と関西風がある。この認識で良いんじゃないかな?って思うんですよねぇ~。因みに僕は広島風お好み焼きも関西風お好み焼きも、どちらも好きです。





・鍼灸とJazz

2017年12月7日

上原ひろみ昨夜、上原ひろみ×エドマール・カスタネーダのライヴに行って来ました。
いやぁ~上原ひろみさんのピアノは、毎回、見る度に思うんですが、限界ギリギリまでピアノで表現してくれるパフォーマンスに感動させられられっぱなしですし、今回は何と言ってもハープという楽器の概念が変わりました。

ハープって着飾った白いドレスを着た女性がシャラ~♪シャラ~♪と物静かに弾いてるイメージしかなかったんですが、あんなハードなハープの演奏ってあるんですねぇ~。

彼はジャコ・パストリアスが好きみたいですけど「確かにジャコ・パスがハープを弾いたら、こんな感じの演奏をするかもね…。」…と思わせてくれるような圧巻のプレーでした。

毎回、上原さんのライヴを見ていて思うんですが、観客って演者の極限に近いパフォーマンスを目の当たりにする事で、演者の魂のバイブレーションが伝わるというか…、何だかわからないけど感動する…。

足踏みしたくなる…。手拍子したくなる…。そういう衝動にかられるんだよなぁ~。そしてライヴが終わった後、「あぁ~~良いライブだった~!感動したぁ~!」って気持ちにさせてくれる。これが、お約束事のような…何となくこなしてるようなライヴだと、ここまで感動はしないよなぁ~って思わせてくれるんです。

鍼灸もコレに近いモノがあると思うんですよねぇ~。Jazzと言えばインプロビゼーションが醍醐味ですが、この即興演奏って格好付けてるだけじゃ成り立たないんですよねぇ~。その人の人間性というか…、今まで積み重ねてきた経験やら、学んできたモノ…、全てを自分の中で一度消化して新なモノとして表現するのが即興の醍醐味だと思うんですよ。なので雑念を取り払わないと即興演奏は出来ない。

演者の雑念が無いピュアな魂に触れる事が出来た時に観客は心動かされるんですよねぇ~。

僕がいつも言ってる事なんですが、体調不良が治るのは、体が治ろうとしている自己
癒力が働くからであって、鍼灸はその背中を押して手助けするものなんです。即興演奏に例えるならば、患者さんの体はライヴ会場のお客さんで、鍼灸師は即興演奏するプレーヤーと同じなんですよね。患者さんの体が鍼灸に反応しないと患者さんの自己癒力は働かない。

なので鍼灸師は、ありきたりの演奏(
療)をしていたら、患者さんの身体(観客)を感動させ、免疫力や自己癒力を高める事なんて出来ない。鍼灸とJazzの即興演奏って同じだと思うんですよねぇ~。解りにくいとされている、東洋学の概念や鍼灸の理論や先人達の考えを一度、体の中に取り込み、患者さんの症状に合わせて、その都度、即興演奏(鍼灸の技)を繰り出す。これが鍼灸の醍醐味なんじゃないかな…。神道の ”中今” とまではいかないまでも毎回、毎回が勝負。…そんな気持ちで鍼とお灸を使って即興演奏。そんな感じです。





鍼灸は抽象的な医学…

2017年12月14日

鍼灸医学色々な事に対して抽象的思考って大事だよねぇ~と思う今日この頃…。
養老さんが『自分の壁』で

日本の医者は9割が「医者は自然科学者だ」と考えているが、医者はごく基本的な事について科学的な説明が出来ない…。

「医者=科学者…西洋
学=科学」だと考えている事がそもそも間違いだと言われてます。

科学っていうものは「再現性があるものを科学という…」って昔、教わった事がありますが、そう考えると、鍼灸は抽象的
な医学だよなぁ~って思うんです。鍼灸に限らず療というモノは基本的に抽象的なものなんだという認識が今の世の中…欠如してるんでしょうねぇ~。子供の頃に入っていたボーイスカウトで「備えよ常に…」という標語を覚えさせられたのを思い出しますが、抽象的思考ってこの「備えよ常に…」が基本なんでしょうねぇ~。

療する事が医学ではなく「健康でいるために何をすべきか?…備えよ常に…」これがそもそもの学・療の基本的な考え方なんでしょうねぇ~。





・陰陽と自律神経

2018年1月5日

陰陽と自律神経
年明け早々、陰陽の話で恐縮ですが…先日、ある人と臓腑の陰陽について話をしていた時にフッと思ったんです。…今更な感じではあるかもしれないんですけどね……「陰陽って自律神経の働きに似てるよなぁ~」って思ったんですよ。

よく鍼灸学校の学生さんや、初学者や、頭の中が現代
学思考になってる人が「陰だの…陽だの…よくわからない!!」って言ってるのを聞くのですが、臓腑の陰陽に関しては「陰=副交感神経」「陽=交感神経」って考えれば取っつきやすいよなぁ~って思うんですよぉ~。まぁ~陰陽という概念の全てが自律神経だというのではなく、おおまかな認識としてね…。そんなふうに考えたら陰陽に対する取っかかりとしては分かりやすいと思うんです。

例えば漢方薬の薬効成分的には通常、その症状には使わないものであっても臓腑の陰陽を考慮して使えば
療効果が上がったり、鍼灸に於いても同様で「なんで鍼を刺すだけで効くんだ?」とか、「何でお灸するだけで効くんだ?」という問いに対しての答えとしても「鍼灸の外的刺激で陰陽のバランスを整える事で療効果を上げる。」…この考えって大切ですよねぇ~。

「鍼灸って、ただ鍼を刺したり、お灸をすえたりして筋肉を緩めているだけじゃないんだよ!」っていう考えが欠けていると「鍼灸=薄っぺらい感じ」って思われてもしょうが無いのかなぁ~って思うんですよね…。





・鍼灸とガット・ギター

2018年1月12日

鍼灸とガットギター昨年の年末辺りからホコリをかぶっていたガット・ギターを引っ張り出して弾いてるんですが、このナイロン弦のギターって…ホント!難しいんですゎ!エレキ・ギターならボリュームが付いてるし、アンプの操作で音の調整は可能です。

アコギもある程度の力の加減は必要ですが、ガット・ギターに比べると比較的に簡単に鳴ってくれる…。とわ言え…エレキ・ギターにはエレキ・ギターの難しさがあり、アコギにはアコギの難しさがあるんですが、このナイロン弦のギターは出せる音量は決まってますし…力任せに弾いたら音がビビるし、弾く力が弱ければ鳴ってくれない…。ホントにちょうど良い具合の力加減で弾いてギターの持つポテンシャルを引き出してやらないと鳴ってくれないんですよねぇ~。

もちろん僕が持ってるガット・ギターなんて15年前に8千円で買った安物なのでポテンシャルなどと、横文字を使うほどのギターではないんですが、簡単に鳴ってくれないギターをいかに鳴らすかって、とっても良い練習になるんですよねぇ~。弦を押さえている左手と、弦を鳴らす右手の力加減とバランスがピシャ~と合うとナイロン弦の独特な良い音がするんですよね。以前、Charさんが色々なギターを弾いている番組を見た事があるんですが、その番組に出ていたゲストの人が「しかし…どのギターを弾いてもCharさんの音がしますね…」ってコメントしていたけど、ギターの音色はギターの種類で変わるけど、ギタリストの特徴っていうのは右手と左手のバランスから生まれるものなのかもしれませんね。

ガット・ギターを弾くと「自分がいかに今まで力任せに弾いていたか…」を認識させてくれるので自分の弾き方の修正にはもってこいなんですよね。ガット・ギターを弾いた後に、エレキとかアコギを弾くとメッチャ弾きやすいですもん!そう言えば楽屋の鏡の前でナイロン弦のギターを弾いてるランディ・ローズの写真を高校生の頃に見た事がありますが、彼も自分でギターの弾き方を修正していたのかもしれません。

鍼灸もガット・ギターと同じ感じで、ただ弾くだけでは良い音を出してくれない…。鍼灸も、ただ鍼を刺す…、ただお灸をすえるだけじゃ患者さんの体は何も反応してくれない。ガット・ギターで言えば “鳴ってくれない” んですよね。鍼灸は、いかに患者さんの体の持つポテンシャルを引き出すかがキーポンイントとなる
療法です。だから、その都度、その都度、療法が変わる事もあれば、根気強く同じ療を繰り返す事で地固めしていく療を行う事もあります。なので直後効果が出る場合もあれば、効果が出るのを根気よく待たねばならない場合もあります。

ギターの歴史を遡ればリュートが原型と言われていて、1700年の頃に今のガット・ギターの形になったっと言われてます。まぁ~ギターの形になってからの原点がガット・ギターとするならば、鍼灸も薬を用いる以前に☆療として行われていた
療ではありますし、原点同士という括り…で共通点があると思うんです。(ちょっと力技過ぎるかな…?(笑))

鍼灸とガット・ギターって、双方…、弾けば音は出るし、刺せば治る症状もあるが、良い音を引きだそう…、
療効果を上げようとすると、“扱うにはある程度の技術が必要…!”という共通点があり、その技術は習ったから出来るようなものでも無く、自分自身で技術を磨き上げる。そういった所に似たような共通点があると思うんですよねぇ~。

(クラシックは早くから先生に付いて習った方が…。鍼灸も早く弟子入りして…習った方が技術の習得は早いと思うんだけど…って誰かが言いそうな気がするけど…、それも一理あると思うけど…僕の考え方はちょっと違うんだなぁ~。まぁ~その辺は、気が向いたら書くことにします。…(苦笑))





・なぜそのツボが効くのか??

2018年1月27日

腰や背中に違和感を感じる患者さんを☆療する時に、”委中”というツボを探ると、8割方…凝りがある。まぁ~このツボだけを
療する訳ではないけど、局所の凝り+αとして、委中や風市などのツボを使うと療効果を得やすい事は日々の臨床をしていると経験則として感じるんですゎ! でもなぜ?腰や背中の痛みが膝裏のツボで治るのか??

教科書的には四総穴に「腰背は委中に求む」とあるし、「委中は足太陽経の経絡上のツボだから」…という答えで、鍼灸師は納得してると思うんですよ。

でもこれは「経絡は存在するものだ!」という考え有りきの話ですし、中国の古典で四総穴という分類があるんだよ!という言い伝えを鵜呑みにしていると言われてしまえば、そこから先には進めない感じを一般の人に持たれも仕方が無いように思えます。けれど、結果を出せば「鵜呑み…」であろうが「経絡の存在の有無…」に関係なく
療としては成り立つわけなんですよね!

僕もよく「鍼灸って効くの?なんで?そのツボが効くの?」って聞かれる事があり、その時は「鍼灸は経絡の疎通をはかる
療だから…」とか「例えて言えば通常はイイ具合に流れている川や幹線道路を例えにして、普段通りに流れてくれていれば問題無いけど、渋滞したり塞き止められたりしたら問題が発生するでしょ!?……経絡って言うのは、その川や道路みたいなモノで、その道路や川に起こった問題の原因を探って体の自己治癒力をサポートしつつ問題解決するのが鍼灸なんですよ!」って説明はするんですが、正直言って経絡って目に見えるものでは無いし、見たことある人っていないと思うんですよね。

経絡を科学的に解明すると意気込んだ人は、過去、何人もいるけど、多分、一筋縄ではいかないというか、ぶっちゃけ無駄な労力のような気がします。科学的に解明する労力を費やすのであれば、その労力は、過去の先人達が蓄積した思想や思考を利用して患者さんの痛みを取ることに費やすべきなんでしょう。

2000年前…3000年前の人の情報量と、現代人では情報量が違うのは明らかですが、”想像”って何もない時の方が豊かな想像力を育めると思うんですよね…。と言うことは情報量が多い分、現代の思考では2000年前…3000年前の人の想像力や産物や思考は理解出来ないのかもしれません。(白と黒の濃淡だけで表現する山水画に魅力を感じたり、音数が少ない楽曲の方が心に響く…っていうアレですよ!アレ!…シンプル・イズ・ベストってやつです。)

2000年前…3000年前に作られたであろう”経絡”という概念を理解しようとするならば、一度、全ての情報をシャットアウトする必要があるのかもしれませんが…、この情報社会や情報の海の中で生きてる僕らに、全ての情報をシャットアウトする事なんて出来るのかな????って考えると「無理だよな…」って誰でもが思うはずです。まぁ~…だから経絡を科学的に解明するなんて無理だという論調が成り立つんですが…。

とは言え、科学的には解明できなくても、この情報社会にドップリ浸ってる分、色々な情報をかき集めて様々な言い回しや、例え話で分かりやすく”経絡”を説明する事は出来ると思うんですよね。経絡って「科学的じゃないからダメ」とか「理解出来ないから信じない…」ではなくて、「世の中には自分が理解出来ないものもあるんだ!」…という事を念頭に置きながら、自分なりに経絡について理解を深めていったり、意見を交換しあったりすれば良いと思うんですよねぇ~。





・プラセボ効果と鍼灸

2018年1月31日

時々「鍼灸はプラセボ効果だから…」とか言う人がいたりします。また…現代
学関係の本を読んでると「鍼灸はプラシーボだからね…」と書かれてる文章を目にしたりもします。御存知のように “プラセボ(プラシーボ)” というのは偽薬を使い患者さんに信じ込ませて効果を出すという偽薬効果の事なんですが、なんとなく「プラセボ=偽物」という解釈をしている人が多いように思います。

でも僕は「プラセボ=偽物」って考え方は間違いだと思うんですよね!

まぁ~鍼灸がプラセボなのか?プラセボではないのか?…その辺は多分、誰にも証明出来ない事だとは思いますが、100歩譲って鍼灸がプラセボ効果を利用している
療法だとしてもプラセボで治るなら、それはそれでとてもイイ事だと思いませんか?

シンプルに物事を考えると、薬を体内に入れなくても治ると言うことは、肝臓に負担をかけなくても済むわけですし、手術せずに治るのであれば「プラセボ万歳!!」なはずなんですよねぇ~。

要は結果が伴うか…否か…。ポイントはプラセボであろうが…プラセボでなかろうが、
療効果が出ていれば全く問題は無いはずです。身体の事を第一に物事を考えるならば、薬…手術…という選択肢、以前に、まず食生活の改善と鍼で健康を維持する事が一番、理にかなった考え方だと思うんですよねぇ~。





・治るスピード

2018年2月10日

身体が
癒する過程は普遍的なものだと思うんですよね!患者さん自身の体力、癒力が高い場合は療に即効性を感じる事が出来るでしょうし、患者さんの身体が疲労困憊している場合は、治るんだけど即効性を感じるのは難しいので、ゆっくりしたスピードで治っていく。治る過程は同じなんだけど、人によって治るスピードが違うんですよね!

鍼灸
受け馴れている患者さんは、身体の仕組みを理解されている方が多いので、即効性を求められる事は無いんですが、始めて鍼灸を受けられる方は、往々にして鍼灸に対して即効性を求められる事が多いんですよねぇ~。

僕らは
療をしながら患者さんの症状に合わせて、分かりやすいように例え話を織り込みながら身体が治っていく過程を説明したりするんですが、説明もクドすぎると、聞く側の患者さんとしては「何だか言いくるめられている気がする…」とか「騙されているかも…」なんて気持ちにもなるでしょう。

適切な言葉で身体の仕組みを説明しながら、
療効果を少しでも感じてもらうようにする。…これが一番ベストだとは思うんですが、どうしても初めて鍼灸を受けられる患者さんは「この痛みを早く取って欲しい!」「今、こんなに辛いんだ!何とかしてくれ!」という気持ちが強いので、即効性を求めてしまう。…そこで僕ら療者が「患者さんの気持ちに何とか答えてあげたい!」と焦って療効果を出そうとすると、必要以上の刺激を与えてしまったりして、所謂、ドーゼと呼ばれる、揉み返しのような状態になり、初めての患者さんはビックリして「もう2度と鍼灸なんて受けたくない!」ってなっちゃうんですよねぇ~。鍼灸師なら誰しも経験はあると思うけど、これって免許取り立ての鍼灸師がやらかしてしまいがちのミスではあるんですよ…。

僕が考えるに、どんなに焦っても…、
療者の腕がどんなに良くても…、身体が治っていく過程のスピードが早まるなんて無理だと思います。腕が良いという事は、患者さんの身体の状態を見極めて、最大限に患者さんの身体のポテンシャルを引き上げる事が出来る事を言うのであって、治るスピードを速める事では無いと思うんですよねぇ~。





・疑問は続くよどこまでも…広告の制限について

2018年2月20日

広告の制限法律って最初は「どういう経緯で作られたのか…?」という事は気にしないで、「あ~法律で決められている事だから守らなければいけないのね!」というような感覚で捉えてるモノのような気がします。でも、その規則が作られた社会状況と今の現状に違いが生じている事も時々あるわけで、そこは少しずつ変えてはいるらしんですけど、多分、この情報化社会の中、時代の流れに法律の修正が追いついていないのが現状なんじゃないんでしょうかねぇ~。

今疑問に思っているのは
療法の【広告の制限】というヤツです。

国家資格を必要とする
医療関係者は、この療法を守らなければいけないんですが、この”広告の制限”というのは、看板やその他の広告に限られた情報しか記載してはいけないというものなんですよね。なので療費とか「〇〇に効きます!」というような症状の記載はダメなんですよぉ~。

学生時代に関係法規の授業で習ってはいるはずなんですが、法第7条で「…次にあげる事項以外の事項について広告をしてはならない。…云々」という事以外、なぜ、どうしてこの法律(広告の制限)が作られたか?なんて教えてもらった記憶はありません。

ちょいと調べてみると、ど~も「患者さんを守る為に出来たもの…」というのがタテマエのようなんですね…。広告や看板に色々と間違った記載があると、こと
医療に関しては命に関わる事柄も含まれるので、間違った情報に患者さんが踊らされて被害を受けないようにという事らしいんですよ。…という事は療機関が悪い事…、間違った事を広告する恐れがある事を前提に作られた法律だという事のようです。

でもね…僕が鍼灸師ではなく、一般の患者さんとして、病気になった時に、この症状だと、どの
療機関を受診したらいいのか、どこの先生に診てもらったらいいのか?…を知りたい時、もしくは受診するには、お金がいくら必要なのかが知りたい時に、この療法による広告の制限は、患者さんの知る権利をも制限していると思うんですよね。

僕ら鍼灸師は国家資格が必要な仕事なので
医療法に縛られているんですが、国家資格を必要としないカイロプラクティックとか、整体とか、アロマとか、リンパドレナージュとかの場合は、堂々と料金表示とか「〇〇に効きます!」というような症状の記載ができるんですよねぇ~。
どう考えても矛盾してませんかねぇ~?

この広告の制限って、そろそろ見直すべきじゃないのかな??????





・花粉症

2018年2月27日

早いモノで、もう今日と明日で2月も終わりますね…。
僕は、さいわい…と言うか…今年は、まだ花粉症の症状は出てませんが、マスクや眼鏡で完璧なプロテクトをして来院される患者さんもいらっしゃいますから、花粉が飛びまくっているんでしょうねぇ~。

花粉症はアレルギー症状なので、体の中の免疫システムの不具合が原因とされています。東洋
学では、その症状だけに対処する方法を《標治法》。根本的な原因に対処する方法を《本治法》と呼んでますが、花粉症に関して言えば点鼻薬や鼻の粘膜に対しての療は標治法になるわけですよね!

で…根本的な原因を治す本治法はと言えば、今、よく世間で言われていますが、”腸”を整える事になると思われます。アレルギー疾患全般的に言える事かも知れませんが腸を調える方法としては…

・よく噛んで食べる
・発酵食品を食べる
・暴飲暴食は慎む

これに尽きるような気がするんですよねぇ~。なんか貝原益軒の『養生訓』にも食に関しては同じような事が書かれていたように記憶してますが、基本的に最近の食生活は、噛まなくても食べれるモノが多いし…、発酵食品より保存料が入ってる食品の方も多いし…、飽食の時代って言われてるしね…。

鍼灸で腸を調える場合は、お腹や腰や足のツボを使って胃腸を整える
療が出来るんですよね。花粉症に悩まれている方は2~3年計画で食生活を改善しながら鍼灸☆療で胃腸を整える事をオススメします。





・保険使えますか?

2018年3月3日

保健使えますか
初めて受診される方が電話で予約を入れられる時、8~9割の方が「保険使えますか?」って質問されるので、鍼灸の保険については説明し馴れてはいるんですが、先日、常連の患者さんとの療中の会話で…、患者さんが…「そう言えば…、鍼灸で保険を使うのって色々と面倒くさいのに、整骨院は簡単に使えるよね!なんで???」という疑問を投げかけられたので、それについて、お答えしようと、患者さんに色々と説明しようとするんだけれど、なかなか上手く伝える事ができなかったんですよねぇ~。

昭和初期に鍼灸の団体と、按摩マッサージ師の団体と、柔道整復師の団体が、異業種にも関わらず珍しく団結して合同で保険が使えるように国と交渉していたらしんだけれど、柔道整復師の団体が抜け駆けするような形で政治力を使って保険を使えるように働きかけて、鍼灸と按摩マッサージ師の団体は出遅れた形になったおかげで、現状の保険請求の形になった…らしい。とか…etc、裏話的な話は本で読んだり、色々な人から聞いた事はあるんだけれども、そんな話を患者さんにしても、患者さんも何かピンとこないでしょうしね…。

その辺、もっと分かりやすく患者さんに説明出来るようにしとかないとな…と思い、「厚生労働省 なぜ 柔道整復師 保険」というキーワードで検索してみると【柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて |厚生労働省】 というページが一番最初の出てきて、結構、分かりやすく説明されてました。

【厚生労働省】
《柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて》
↑↑↑↑↑ クリックすると厚生労働省のページが見れます


このHPを読んでみると、整骨院では骨折、脱臼、打撲、捻挫の施術の場合に保険が使える。…とのこと。で…骨折及び脱臼については、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意が必要らしんですね。

そんでもって注目すべき一文が「柔道整復師の治療を受けられる方」の【
療をうけるときの注意】という項目の1行目に書いてありました。「単なる肩こり、筋肉疲労などに対する施術は保険の対象になりません。このような症状で施術を受けた場合は、全額自己負担になります。」との事らしい。…という事は肩コリや、背中が痛い…、首が痛い…、腰が痛い…、という筋肉疲労の症状は基本的に整骨院では保険は使えないと言うことなんですね!

厚生労働省のホームページに、ここまで堂々と明確に「肩コリや筋肉痛は保険対象外です」って書かれてる事に、ちょっとビックリしました。昔は暗黙的了解な…、知る人ぞ知る…的な感じだったんだけどね。鍼灸の保険説明と注意事項は、たった3~4行なのに、柔道整復師は、事細かに説明してあるなぁ~~~~。色々と保険請求で問題があるんだろうなぁ~。

多分、患者さんが「整骨院は簡単に使えるよね!なんで???」という疑問に対しての答えは、2行目に書かれている「償還払い」と「受領委任」の事でしょうねぇ~。この部分が政治力を使って抜け駆けで得た特権みたいなモノなんでしょう。

鍼灸でも保険を使う時の対象症状が(神経痛、リウマチ、五十肩、頸腕症候群、腰痛症、頚椎捻挫後遺症)決められてるしね!…整骨院(柔道整復師)も対象症状が(骨折、脱臼、打撲、捻挫)と決められていて当然と言えば当然でしょう。

僕ら業界人は知ってたけど、一般の人は、肩コリや筋肉痛では整骨院で保険が使えないって事を知らない人、多いんだろうなぁ~。





・鍼灸とclassic

2018年3月8日

鍼灸とクラシック音楽って色々とジャンルはありますが、クラシックはその曲が作られた当時の音源なんて残ってるはずもないので、残ってる楽譜をもとに 「いかに当時の音を再現出来るか…」 を第一義としている音楽だと思うんですよね。これってどことなく鍼灸というか、東洋
学全般も似たようなところがあると思うんです。東洋学って古典と呼ばれている漢字だらけの本を読んで当時の治療を再現しようとする姿勢というか、原点回帰のベクトルが強い学問だと思うんですよねぇ~。

「新しい技術…」「新薬…」「
学は何でも最先端の方が…」という考え方も一理あるとは思うんですが、物事は全てバランスをとる事が一番のポイントだと思うんです。なので現代学の最先端の方へ向かうベクトルと、東洋学の原点回帰へ向かうベクトルが共存してこその『学』だと思うんですよねぇ~。

難病といわれている病などに対して最先端の技術や新薬で病を克服しようという姿勢は間違いではないし、これからも研究を進めていくべきだと思うんですが、病のおおもとである日常の疲れや、ストレスによる体調不良に対して、新薬や最先端の技術って必要なんでしょうかね?

遺伝などが原因で起こる先天性の病は別として、後天性の病気は全てと言っていいほど、日常の疲れやストレスによる体調不良や生活習慣が原因だと思うんですよねぇ~。ストレスや日常の疲れは、なにも今に始まった事じゃないはずですし、2000年前…3000年前の人もストレスは感じてたでしょうし疲れる事もあったはずなんですよねぇ~。今みたいに薬や
療もさほど進歩していなかったなか、病を克服してきた先人達の知恵を拝借して現代に活かそうというのが、今の東洋学の姿勢だと思うんです。

西洋
学が日本に入ってきた頃(明治~昭和初期)は、全てが新しい技術で、効果も目を見張るモノがあり「西洋学…万歳!」な感じだったけど、妄信するように突っ走ったおかげで多剤併用の害とか予防接種とかね…矛盾点も多く指摘されるようになり、東洋学という原点回帰の考え方が見直され始めたのも頷けますなぁ~。

今回は鍼灸とクラシック音楽って、なんか似てるなぁ~って思って書き始めましたが、このブログを書きながら、…いつか「Rockと鍼灸」ってタイトルでブログを書いてみようかなと思ったんですよねぇ~(苦笑)。僕の中での鍼灸というか東洋
医学界のRockな人の位置ずけに吉益東洞っていう人がいるんですが………反骨な感じでロックなんですよねぇ~。また気が向いたら書きますゎ…。





・Rockと鍼灸

2018年3月17日

ロックと鍼灸あくまで…撲、個人の考えなので異論反論はございましょうが…

「Rockって人から教わるモノじゃない」って言うのが僕の持論です。
教わると言っても、ここで言う”教わる”とは、手取り足取り…学校の授業のように教わるモノではないという事です。

もちろん、レコードを聴いたり…(今はCDか…あっ!もうストリーミングの時代か…面倒くせぇ~…(苦笑))ライブに行ったり、音楽好きのBarのマスターと音楽談議して「Rockとは!」…ってな感じで、色々な刺激を受けて諸先輩方、先人の残した音源から色々と教わるというのはありですが、Rockの場合(JazzでもPopsでも同じですが…)諸先輩方から受けた刺激、先人の残した音源から教わったものを、自分なりに解釈して、新たな道を切り開かないといけないという使命を持っているのが《Rock》だと思うんですよね。

以前、ブログにも書きましたがクラシックの場合は「いかに当時の音を再現出来るか…」 を第一義としている音楽だと思うんですよね。なので、子供の頃から手取り足取り教わり、師匠に師事し…という方向性が強くなる。

ロックの場合は人間が成長過程で感じた事柄…。感受性…、怒り、喜び、悲しみを表現する音楽だと思うので、手取り足取り、学校の授業のように教わるモノではないと思うんです。

「でも…譜面を読んだり書いたり…ある程度、基礎的な事は教わった方がいいんじゃない?」って声がどこからか聞こえてきそうですが、譜面を読みたくなったら、譜面を読む事を勉強すればいいだろうし、音楽理論を知りたくなったら理論を勉強すればいいと思うんです。でも一番、ロックに必要なのは何かというと、《独自性の追求心》なんじゃないでしょうか?ベーシックな部分を教われば、あとは自分で作り上げていくものだと思うんです。

鍼灸も古典と呼ばれている漢字だらけの本を読んで当時の
療を再現しようとする姿勢というか、原点回帰のベクトルが強い学問だと思うんですが、原点回帰のベクトルがクラシック音楽だと考えると、ロックミュージックは全ての音楽を聴き、それを自分の中に取り込んで、別な形として表現するという感じで、原点回帰とは真逆のベクトルだと思うんですよね…。

鍼灸業界を見渡すと、いつまでも教えを請う事を良しとしたり、教えから逸脱する事を嫌うクラシック音楽的な鍼灸師もいれば、僕みたいに、基礎を教わった時点で、色々と気になる
療法の勉強会に行き、それを体験した上で自分なりの療法を作り出そうとするロック的な鍼灸師もいたりするんですが、原点回帰に偏りすぎる弊害もあれば、独自性に偏りすぎる弊害もあると思うんです。それぞれ長所短所はあると思うんですよね!…要は自分の中で〇〇%がロック的で、〇〇%がクラシック的なのかという、バランスが重要だと思うんです。

一番つまらない…というか、まずい考え方は、「このジャンル以外は音楽じゃないよ!」とか「この方法以外は
療じゃない!」っていうような了見が狭い見方で物事を見てしまう事かな…。





・気を病むと書いて『病気』かぁ~…

2018年4月6日

先日、読みなおした本に…

「病気とは気を病むと書く。自分が病だと自覚して、そこに執着して、始終心をそこに集中していることは、確かに損になると思う。…~…心と体との間には、何か関連があるかという問題。」

と書いてあった。

確かに…。
そうだよなぁ~。
気を病むと書いて病気かぁ~。

以前、癖という字はヤマイダレが使われている事から、関連付けて、食事だったり姿勢だったりを「癖」という言葉でまとめると、病は癖から始まるってブログに書いた事があるんですが、「気を病む…」という、その人の性格というファクターも病の原因の一つですよねぇ~。

ダチョウは脳が小さいため、群れで争ったりしていても、時間が経つと「何故争っていたのか?」という物忘れ状態に陥り、争わなくなるという話を聞いたことがあるんですが、そのことを踏まえると気を病むのは人間の脳が発達しすぎた為に抱え込んだ宿命みたいなモノなのかもしれませんなぁ~。

気にしすぎは病の元…。という言葉を聞いた時に、クレイジーキャッツで植木等さんが歌ってた「そのうちなんとかな~るだ~ろ~う~♪」という歌詞が頭の中をループし始めました。





“気”は自分で作るもの…

2018年4月12日

気は自分で作る赤い闘魂タオル?マフラー?を首にかけ「元気ですかぁ~!元気があればなんでも出来る!」…って、アントニオ猪木がTVの中で言ってたよなぁ~。

チョット前に「気を病むと書いて “病気” と読む…」って話をブログに書きましたが、先日、ラジオを聞いていたら「元気とか勇気とか覇気とか…全て”気”が関係しているでしょ!?……”気”っていうモノは自分で作り出すものなんですよ!」っていう話を聞いて、今更ながら…「なるほどなぁ~」…と頷いてしまいました。

なんか”気”とか、目に見えないものに対しては賛否両論あり、唯物論的なモノの見方をする人は訝しがったりするんですが、「”気”っていうモノは自分で作り出すものなんです…」という言葉を聞くと、気を消耗させるも…増やすも…鍛えるも自分次第で如何様にも出来るもののように思えるんです。結局のところ何でもそうですが「気が付くか…気が付かないか…」だと思うんですよね。

” 気” は自分で作り出す…。

ならば、どう作ればいいのか?

…って考えると、思いつくのはマインドの転換。…思考を変える。…という事が、”気” を作り出す事なんじゃないかなって思うんです。な~んも…滝に打たれたり、厳しい修行をしたり…、値段の高い数珠を買わなくてもね…(苦笑)”気” は作り出せると思うんです。ただ大勢、人がいる中で、滝に打たれたり、厳しい修行をしないとマインドの転換が出来ない人もいらっしゃる…っていう事だと思うんですよ。

姿勢を直すというのも”気”を養う事の一環でしょうし、体にいい食事を摂るのも”気”を作る事につながると思います。…よく寝る事もそうですよねぇ~。そう考えると、鍼灸で日々の疲れを取り、東洋
学的な思考で生活する事は、自分で気を作る事に一番適していると思うんですよねぇ。





・ツボに対して神秘性を求めない方がいいと思うんです。

2018年5月11日

経絡秘孔「あたたたたーーーっ!!経絡秘孔の一つを突いた!お前はすでに死んでいる…。」

漫画 『北斗の拳』 で 「経絡秘孔」 という言葉がよく使われていましたが、この漫画の影響なのか?はたまた…必殺仕掛人で藤枝梅安が裏の仕事で鍼を使っていたからか? ツボ…経穴に対して過剰な神秘性を求める…、もしくは神秘性を謳う文言を見たり聞いたりする事があるんですが、僕自身の考えとしてはツボに対して、あまり過剰な神秘性を求めない方がいいと思うんですよねぇ~。

ツボに対して神秘性が全く無いというわけではないんですよ。「なんで、そのツボで、これが治るの?」っていうような神秘的な性質のツボ(配穴)も、あるにはあるんです。神秘的と感じるツボ(配穴)の選択は、経絡の関係だったりとか、子午流注だったりとか、表裏だったり陰陽だったり、…〇〇の奥義…とかね(…奥義って名前が付くと、北斗の拳っぽくなっちゃいますね…(笑))。色々と独特な理論や理屈でツボ(配穴)が選ばれてるわけですが、なかなか神秘性を感じれるようなツボ(配穴)を上手に使える人って、そんなに多くないと思います。

基本的にツボの名前というものは場所を説明するためのワードだと思うんです。行き先の説明で「2つめの信号を右に曲がって3つめの電信柱の左側にあるタバコ屋さんの細い路地を右に入って…」というような長ったらしい説明をしなくていいように「足三里の辺り…」ってな感じで、知ってる人は知っている的な…鍼灸師
の共通言語のようなものだと思うんです。

学生時代、ツボの名前を覚える時に「外果の上7寸…」など…、ツボの位置を示す文言を覚えさせられましたが、7寸といっても子供もいれば大人もいる…男女差・体格差があるので数字も正確なモノでは無いわけなんです。教科書には、その数字の曖昧さをカバーするために骨度法だったり、患者さんの指のサイズで長さを特定する同身寸っていう方法を覚えたりするんですが、ココから何センチ何ミリの位置にツボがあるというような正確な位置を示すものではないわけですよね!

ツボの位置は、人が歳を取って老いたり、体が弱ったりした時に、共通して現れる反応点をツボと呼んでると思うので、まずは穴性とかツボの名前を覚える前に、人が老いた場合や体が弱った場合に、どこにどういう反応が現れやすいものなのか?という事を勉強した上で、その反応が現れやすい場所には、どの経絡のどのツボが多く混在しているか?…という事を学んだ方が臨床に使える知識として役立つと思うんですよねぇ~。

下手にツボの性質…穴性とかを最初に覚えちゃうと、魔法使いにでもなった気分になっちゃって、ツボの神秘性ばかり求めるようになっちゃうんじゃないかな?





・分肉

2018年5月12日

九鍼実技解説めっちゃマニアックなブログになってしまいましたが…お許しを…(苦笑)

最近、
療していて「おや?」というか…「この方法って効きがいいかも…」と思う事があるんです。

キーワードは…『分肉』

同じような症状の患者さんが続いたのがキッカケなんですが、その症状に対して筋肉と筋肉の間を狙って刺鍼する事が多く、あとで患者さんに効果を聞いたら、今までより
療効果がイイ感じなんですよねぇ~。

筋肉と筋肉の間…、ん?…これって「分肉」?…なんとなく、この「分肉」というワードが頭に浮かんで…「そう言えば4~5年前くらいに東京での九鍼の勉強会に行ってた時に、石原先生が分肉の話をされてたなぁ~」と、本棚から『九鍼実技解説』を引っ張り出して、もう一度、読みなおしてみると圓鍼のページに「霊枢 官鍼第七 病在分肉間、取以圓鍼于病所」と書いてありました。僕の場合は圓鍼じゃなくて毫鍼で横刺してるんだけど、これもまた応用編としてありなんでしょうねぇ~。

本によると分肉にも2通りの解釈があり「筋肉と筋肉の間」という意味と「皮膚からの深度空間」という意味があるらしいんですが、今の僕の使い方としては「筋肉と筋肉の間」という解釈なんだけど、皮内針を使う時や横刺で刺鍼する場合は「皮膚からの深度空間」としての分肉なわけで、両方の解釈を
療に活かしてるって事ですよね!

また一つ
療の幅が広がった感じです。





・A+B=鍼灸効果

2018年7月6日

先日、ある患者さんから「鍼灸って何で効くんですか?」と
療中に問われ…
「さて…なんて答えようか…」と鍼を手に取りながら思いつくままを患者さんに「あ~だ!こ~だ!」とお伝えしたんですが、分かりやすい結論としての答えは『結果ありきの鍼灸』とでも言いますか『効く』という事に関しては紛れもない事実なんだけども、『何故そうなるのか?』という事に関しては、いく通りもの考えが存在するものなんだという事なんでしょうねぇ~。

まぁ~例えて言うなら、日本の小学校の算数のテストで「7+3=?」という感じで、数式があって答えを導き出すという問題が出ますが、海外では「A+B=10」というような感じで、AとBに数字を入れなさい…というような問題がでると聞きます。鍼灸が何故効くのかを考える場合、後者の思考が必要になるんだと思うんですよねぇ~。

「A+B=鍼灸効果」鍼灸が何故効くのか?という答えを求めるには、AとBには色々なものが当てはまるんですよぉ~。現代
学的に鍼灸を考える人だとゲートコントロールだったり、アデノシンA1受容体だったり、筋膜リリースだったりするでしょうし、古典的に鍼灸を考える人だと、経絡の疎通だったり、特効穴の効果だったり、陰陽的な考えだったり、五行の理論に当てはめたりね…。色々とAとBにあてはめれるんですよねぇ~。

何に於いても長所と短所があるように、パーフェクトという事はこの世に存在はしないので、全ての病気に鍼灸が効くとは言えませんが、鍼灸
の効果がある事は確かなんですよねぇ~。効かないような療法なら2000年?の歴史の中で、とっくに淘汰されてると思います。

う~ん…まだ雨、降りそうですね…、被害が出なきゃいいんだけど…。





・ギターと鍼

2018年7月10日

ギターと鍼灸僕はギターを弾くので、例えとしてギターを引き合いに出しますが、鍼の技術って楽器と通じるモノがあると思うんです。

ギターってアコースティック・ギターもあればエレキ・ギターもありますし、アコースティック・ギターも分類すればフォーク・ギターもあればナイロン弦のガット・ギターもあり、エレキに関してもストラトやテレキャスターやレスポール…、セミアコやフルアコなどなど、その個体ならではの音色があり、当然ですが、その楽器の値段と音の良さは比例するんですよねぇ~。

値が張る高級なギターだと普通にジャァ~ンと鳴らすだけなら、誰が弾いても良い音がしますが、いざ、カッティングとかストロークとか短音でソロを弾くと、下手な人と上手い人の差がハッキリ現れます。勿論、上手い人と下手な人の差って値段が高級ギターじゃなくても、安いギターでも確実に出るんですよ!

『弘法筆を選ばず』ってヤツです。

細かい事を言うとギターは左手で弦を押さえ、右手で弦を弾きます。左指で押さえてる弦を、どのタイミングで移動させるか…。右手の指で弦を弾くときに、どれくらいの力加減で弦を弾くか…。このバランスで、その人なりの個性ある音色を出していきます。

これって鍼の鍼の操作に似てるんですよねぇ~。

左手の押手で鍼を刺している皮膚や筋肉の状態を探り、筋肉の緩みや張りを察知する。右手の刺し手は左手の情報を考慮いて、適度な刺激を鍼を通して患者さんに送り続ける。…これって、ギターで良い音を奏でようとする行為に似てますし、この技術が個性だと思うので、習ったから出来るというモノでは無いと思うんです。

僕が弾いても、それなりの音しかしないのに、ギターが上手な人が「…どれ!ギターを貸してみな!」って僕のギターを手にして弾いた時、全く僕が弾いてる時とは違う良い音がしたっていう経験があるんですよね!

確かに一流のモノを手にする事で、練習を小まめにして腕を磨くという側面はありますが、一流のモノを手にする以前の心得として、鍛錬して磨いておかなければいけない部分ってあると思うんですよねぇ~。

を施す上での術者の右手と左手の感覚…。これって重要だよなぁ~って思います。術者の手の感覚って師弟関係で似たようなモノはあるかも知れないけど、一つとして同じモノはないと思うんですよね。

唯一無二…これでいいんじゃないかな…。

マネしたければ、ある程度の所までマネして、そこから先は自分で作り上げていけばいいと思うんです。因みに…電気針
の場合、左手(押手)の感覚を無視した刺激量になるので、使う時に要注意なんですよねぇ~。





毎回、治療後に想うこと…

2018年7月27日

来院された患者さんが、来られた時は辛い顔をされていても、帰る時は痛みも取れて笑顔で帰っていかれたりする時は、
療する側としても幸せを感じれるんですが、病気の度合いが進んでいたり、痛みの状態が酷い患者さんは1回の治療で100%の痛みが0%になって帰られるということは稀なので、患者さんが顔をしかめながら帰られる時などは、鍼灸師として心苦しい瞬間であったりします。

でも、100%の痛みを0%に出来なくても、50%くらいに出来るように…、もしくは車のギアーチェンジの如く、治るスピードが日を追うごとに加速するように、鍼とお灸で体にアプローチしているので、もうしばらく☆療に専念してもらえる事を願いつつ、患者さんを見送るんですが、患者さんが帰られた後、最善は尽くしてはいるものの「もっと何か出来ることはなかったか?… もっと違うアプローチの方法はなかったか?…」などと
療内容を振り返ったりする事もよくある事なんですね!

顔をしかめながら帰られた患者さんが2回目の
療に来られた時、「以前よりは楽になった…」というような話をされたりなんかすると、心の中でガッツポーズをしていたりするんですよねぇ~。でも2回目の来院がない場合は…正直…ヘコみます。まぁ~これが現実というか…これが臨床なんだと思いつつ、毎回、頭を使って療をしてます。





・その週の疲れは、その週のうちに…

2018年7月28日

昨夜、歩いていて空を見上げたら立派な、まん丸のお月様が見えたので、満月かな?って思っていたんですが、今朝、暦を見ると、今日が満月みたいですね!それと暦には「旧6/16」と書いてありました。旧暦で言うとまだ6月中旬なのねぇ~。そう考えると6月なのに、この暑さはなんなんでしょうねぇ~。(汗)

昨日、来られた患者さんのお一人で、3年前から
療させて頂いてる方がいらっしゃるんですが、最初の頃は細い鍼か鍉鍼じゃないと、療後にダルくなって辛いような状態だったのが、近頃では刺絡した後でも、吸角の痕も残らないくらいの体調の良さで、療に来られる時の表情や姿勢も随分、シャキ!としてらっしゃいます。

昨日も、この患者さんに刺絡
をしている時に患者さんから「最初に、この刺絡を受けた時にスッキリした感覚があったんだけど、療後はダルくて、起き上がるのが辛いな~って感じだったんですよね!…でも最近は、刺絡の後、あまりスッキリした感覚はない分、療後の怠さは全く無く、なんか体調は良い感じなんです。」…との事。

週に1回のペースで
療に来られているんですが、体調の基礎的な部分はパワーが上がっているというか、随分、いい状態に戻って来ている典型的な例だと思います。でも基礎的な部分のパワーは上がっていても、やはり加齢に関する体力低下は無視できませんし、日常生活を送っていると疲れる事はあれば、無理する事もあるので、「その日の疲れは、その日のうちに…」じゃないけど、その週の疲れは、その週のうちに復活させてあげると、随分、体調も変わってくるはずなんですよねぇ~。

鍼灸
を受けられる方の半分以上は、即効性を求められる方が多いような気がするんですが、3年くらいのスパンで鍼灸を生活の一部に組み込まれると、体調って変わってきますよ!



・各論的思考と概論的思考
2018年8月18日

唐突ですが…、
療関係者じゃなくとも一般的に知られている超有名な漢方薬と言えば… そう!『葛根湯』
「風邪をひいたら葛根湯…」的な感じで馴染み深い漢方薬ですよね!

各論的思考と概論的思考落語でも『葛根湯医者』というのがあり、どんな症状の患者さんにも葛根湯を出して「これでも飲んどけ!」と患者さんに葛根湯を処方し、サゲでは患者さんの付き添いで来ている人に「なに!付き添い!そりゃぁ~御苦労なこった!退屈だろう!葛根湯でも飲みな!」(笑)…という感じで終わる噺で、所謂、藪医者を揶揄する感じの落語なんですが、裏を返せば葛根湯という漢方薬は、体調不良の初期症状に効く、とてもポピュラーな薬だという事で、やり玉に挙げられている漢方薬とも言えるんですよね。

漢方葛根湯は発汗を促して熱を下げる薬なんですが、基本的に桂枝湯に麻黄と葛根を加えたものが葛根湯なんです。

桂枝湯は(桂皮・大棗・生姜・芍薬・甘草)の五つの生薬で構成されてます。

桂皮(シナモンですね!…これは停滞しているものを動かす作用があります。)
大棗(ナツメです。これは体を温めて興奮した腸を抑制して腹痛を緩和したりします。)
生姜(ショウガですね!…新陳代謝を高める効果があります。)
芍薬(筋肉の痙攣を緩和する作用がある。)
甘草(緊張を緩和する作用があります。)


話は少しズレますが…芍薬と甘草の2つだけで構成されている『芍薬甘草湯』という、筋肉の痙攣などに即効性がある漢方薬があります。…これは漢方薬を使う、お医者さんや薬剤師さんからよく聞く話ですが、漢方薬の構成されている生薬が少なければ少ないほど薬効の効果もダイレクトに効くという話があります。この芍薬甘草湯は「構成生薬が少なければ少ないほど…」の最たる漢方薬ですね!

漢方たぶん、僕の想像ですが鍼灸師で少数のツボで
療する事を良しとしている人達は、この「構成生薬が少なければ少ない方が効く」という考え方を参考にしているような気がします。薬効がダイレクトに効くのは喜ばしい事ですが、病気というものは色々な原因が複合して起こるものです。一つの症状に効果的でも第二・第三の症状が隠れているものなので、多くの漢方薬は複数の生薬で出来ている事を考えると、少数穴に拘る必要はないと思うんですよね!

…話を葛根湯に戻します。

葛根湯は桂枝湯に(桂皮・大棗・生姜・芍薬・甘草)に葛根と麻黄が加わります。

葛根(いわゆる…葛湯のクズです。体の内部を温める効果があります。)
麻黄(エフェドリンという成分が入っていて、血管拡張の効果があり、鎮咳効果や体を温める作用で抗ウイルス効果を発揮しますが、交感神経が亢進する作用もあるので、寝る前に飲むと眠れなくなったり、スポーツ選手などはドーピング検査で引っかかったりするんです。

長々と漢方薬の話を書きましたが、薬の場合は、この成分はコレに効いて、この成分はこういう効果がある…と説明出来るので、薬の説明を聞けば「そうなんだぁ~」と納得して薬を飲む事ができますが…

鍼灸鍼灸の場合はどうでしょう…?

ツボの効果や穴性というものが本に書かれていたりしますが、このツボの効果や穴性は、薬の薬効を参考に作られているという説もあります。

鍼灸
を受けられた事がある患者さん自身は、結果として鍼灸の効果を実感されているんだけども、ツボの効果を生薬のようにハッキリさせる事で学術的にワンランクアップさせよう…とか、まだ鍼灸☆療を受けた事がない人達に「鍼灸は安全なものですよ!」という事を伝える意図の上で、出来上がってるのが穴性というものだと思うんですよね。

僕が考えるに…

鍼灸
は80~90%くらいを、体の自己癒能力に託した療法だと思うんです。言い換えれば患者さんの自己癒力をいかに上げるかがポイントとなる療法です。なので、鍼灸師は患者さんへ生活改善だったり、食生活の改善など、細かい事まで指導したりします。

鍼灸鍼灸師の考えの根本は概論というか、物事の概要を把握して体の凝りを取り、血行を良くして自己治癒力を高めようとします。現代
学的な考え方は、どちらかというと細かい部分を明確に数値化できたり、画像として確認出来る術を持っているので概論というより、各論的な考え方が先行するんだと思うんですよね!

なので鍼灸師の僕らが、お医者さんとコミュニケーションを図ろうとする時、漢方や鍼灸など東洋
学に理解がない、お医者さんとは、なかなか話が合わないというか…相手にされないというのが現実なんですよね。

住み分けと言えば…住み分けなんですが…

昨今の鍼灸業界を見ていると、鍼灸を各論的に考えていこうと、穴性とか…科学的にとか…エビデンスとか…現代
学の流れにすり寄る傾向が強いように感じるんですよ…。僕は全体像を把握して、体の自己治癒力を高める事が鍼灸の真髄だと思うんですけどね…。各論は現代学にお任せして、鍼灸は概論的な思考で療するという住み分けでいいんじゃないかな?



《鍼灸師が分かりやすく解説します》
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院長

福田 徹  1965年生まれ 
2003年 国家資格 鍼師灸師免許取得


         福岡市 早良区 鍼灸院

多くの方が鍼灸の施術を望まれる場合、肩が痛い…背中が痛い…腰が…首が…という症状を訴えて来院されます。

鍼灸では手・足・背中・お腹・頭など、身体のあらゆるツボを使って症状を改善していきます。

初めて鍼灸療法を受けられる方は「肩が痛いのに何で足に鍼をしているんだろう?」と不思議に思われるかもしれません。

これは、肩こりや腰痛に効くツボ(特効穴)が、足や手にある場合もありますが、伝統的な鍼灸療法の場合「なぜ肩や腰が痛くなったのか?」「なぜ頭や首が痛くなったのか?」という
根本的な原因を探り、その原因を改善する為に、体全体のツボを使って施術してきます。

2003年から2012年まで福岡市中央区白金で営業しておりましたが2012年3月から早良区野芥に移転し現在に至ります。


初めて来院される方へ

はりきゅうふくた では、予約優先で施術しておりますので、来院される前には必ず電話で予約を入れてください。

施術中の場合、電話を取りづらい事がありますので
6~7回コールしてみて下さい。

☎ 092-407-7746
福岡市早良区野芥6丁目1-4


営業時間
午前の部 8:30~13:00
午後の部 15:00~19:00
(休診:日曜日・月曜日・祝日)

福岡市 早良区 鍼灸院
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