胸やけ

胃食道逆流症や逆流性食道炎など…

通常、胃の入り口の部分である噴門という場所は胃に物が入る時は開いて、入った後は胃液や胃の内容物が食道へ逆流しないように蓋？栓？をするようにギュッ！と閉じる役割をもっています。

それと横隔膜が胃を上から押さえつける事で、横になっても逆立ちしても胃の内容物は食道に逆流しないようになっています。

けれども、加齢とか暴飲暴食とか色々な要因により、胃の入り口である噴門部の働きが弱くなったり、横隔膜の押さえつける力が弱まったりする事で、胃の内容物が食道に逆流してしまうと食道が炎症を起こしたり、胸やけを起こしたりするんですね。

胃食道逆流症・胸やけ・逆流性食道炎の鍼灸

鍼灸で、この症状を治す場合は、まず膝から下の足陽明胃経・足少陽胆経のツボを使い胃酸のバランスを整えて、背中のツボ（背部輸穴）を使い横隔膜へアプローチする事で胃と横隔膜を通常の状態に戻るようにします。

以前、ブログで書いた症例…

胃癌で胃体部の切除手術を受けた後、胃の噴門部と幽門部を接合した手術後に胃の不調を訴える患者さんに対して、背中に反応があったツボに対してアプローチした際、翌日から食べ物を食べても胃の不具合を感じなくなったという例を思い浮かべると胃食道逆流症・胸やけ・逆流性食道炎に対しても足陽明胃経と足少陽胆経と背中のツボへのアプローチも試してみる価値はあると思います。

対処法として、胃酸を抑える薬を飲んで症状を緩和しながら日常を過ごすのも良いと思うんですが、鍼灸で身体全体のバランスを整えて、胃食道逆流症・胸やけ・逆流性食道炎の症状を治していくのも必要だと思います。

主訴：胃の具合が悪い
患者：６０代　男性

この患者さんは最初、腕が上がらない…。首が動かしづらいというような症状で来られました。数回の鍼灸施術で腕や首の運動痛もなくなり、２年くらい来られなかったんですが、ある時に電話がかかってきて「以前、肩首が痛い時に鍼灸をしてもらった○○ですが、半年前に大病しまして手術したんですが、胃の具合が悪いのでちょっと診てもらえませんか？」…との事。

詳しく話を聞くと胃癌を患い胃体部の切除をおこない、噴門部と幽門部を接合した手術をされたらしく手術は成功して、術後、食事をすると胃が痛くなる…。

御本人曰く「噴門部の部分と幽門部の連動動作が上手くいってない感じがするんですよねぇ～。」お医者さんに相談するも「慣れるしかないですね…胃薬を出しておきますので、一気に食事を摂るのではなく食べる量を少なくして時間を分けて食べて下さい」…との事。

「食事の量は減らしてるんだけれども、食べ物を食べると胃の辺りが重く感じて不快なんですよ…。」という症状でした。鍼灸施術では胃の不具合の時は、お腹のツボを使ったり、足にある足三里というツボを使ったり、背中の脾兪・胃兪というツボを使ったりするのですが、この患者さんの場合、背中を見せて頂いた時に膈兪～胃兪にかけて凄く張っていて、皮膚の色が黒ずんでいたんですよ。「これは皮膚刺絡だな…」と感じて刺絡をして一週間後に来院された時に症状を聞いたら「先週、刺絡した翌日から食べ物を食べても胃の重さや痛さを感じなくなったんですよねぇ～。病院のお医者さんにも、この事を伝えたら「へぇ～不思議ですね！」って言ってたよ。」

「凄く調子いいから、もう一度してくれんかいな？」とのことだったのでもう一度、背中のツボに対してアプローチしたのですが、まだ僕自身、この頃は刺絡をやり始めた頃で、ここまでの効果を期待してなかったですよね…。

鍼灸師の僕ががビックリするほど効果があった症例として頭の片隅に記憶されている一症例です。