症状としては…
顔面神経によって支配されている顔面筋の運動麻痺です。
片方の頬がはれぼったい。
顔の痙攣する。
水を飲もうとすると口からこぼれる。
片方の瞼が閉じない。
笑うと口が反対につれる。
額にしわを寄せられない。
眼を閉じられない。
口角が垂れ下がる。
口を尖とがらせて口笛がふけなくなる。
口角からよだれが垂れる。
などの症状が起こります。また麻痺側の舌の前方3分の2の味覚障害。麻痺側の聴覚が過敏になって音が大きく聞こえるようになったりします。眼が閉じにくいため、眼を涙で潤うるおすことができず、夜間などに角膜が乾燥しやすくなります。
顔面神経麻痺を鍼灸師が分かりやすく解説します
※ 事故や手術の後遺症や脳の中枢障害による顔面麻痺は鍼灸の対応外です。
鍼灸院で対応出来る顔面神経麻痺は…
鍼灸院で対応出来る顔面神経麻痺は基本的にBell麻痺とラムゼイハント症候群と言われる顔面神経麻痺です。
どちらもウイルスが原因…
数十年前まではBell麻痺は寒冷刺激、疲労、あるいは顔面神経への血流の障害が原因で起こるとされていましたし、ラムゼイハント症候群はウイルスが原因とされていましたが、現在では、Bell麻痺・ラムゼイハント症候群どちらもウイルスが原因だと言われ、Bell麻痺は単純ヘルペスウイルスが原因で、ラムゼイハント症候群は水疱瘡のウイルスが原因だといわれています。
ですから基本的に、子供の頃に水疱瘡に罹患した人ならば、誰でも帯状泡疹や顔面麻痺を起こす可能性があるんですよね。
ラムゼイハント症候群と帯状泡疹に関して言えば…
ラムゼイハント症候群と帯状泡疹に関して言えば、水疱瘡が治っても水疱瘡のウイルスは完全に体の中から消滅するわけではなく、感覚に関係する神経節でウイルスは休眠状態で存在します。免疫機能が正常に働いている限りは、このウイルスは悪さを起こしません。ただ、免疫力が低下し始めると、胸椎などの神経節で悪さを起こす帯状泡疹を起こしたり、顔面神経で悪さを起こす顔面神経麻痺を起こしたりします。
時々、ウイルスが休眠状態から再活性化する事はあるのですが、その時は免疫の働きで通常は抑え込まれてしまって帯状疱疹や顔面神経麻痺は発病しません。
Bell麻痺とラムゼイハント症候群
Bell麻痺とラムゼイハント症候群ですが、これはウイルスが発見される前に付けられた病名で、Bell麻痺はイギリスのチャールズ・ベルさんが命名した病名。ラムゼイハント症候群はアメリカの、ジェームス・ラムゼイ・ハントさんが命名した病名なんですよね!
認識としてはBell麻痺は、比較的に治る確率が高く、ラムゼイハント症候群は障害が残りやすいという特徴があります。
注意点ですが、顔面神経麻痺が発症した場合、第一の選択として、鍼灸院に行くのではなく、まず病院で抗ウイルス薬を処方してもらって下さい。
初期段階では判断出来ない事が多い…
理由はBell麻痺のような単純ヘルペスウイルスが原因の顔面神経麻痺もあれば、水痘-帯状疱疹ウイルスが原因の帯状泡疹やラムゼイハント症候群もあるわけですが、顔面神経麻痺も麻痺の症状が先に出るものもあれば、痛みの症状が先に出るものもあり、ラムゼイハント症候群の中でも耳や口腔内に疱疹が出るものあれば、出ないものもあったりと、初期段階では判断出来ない事が多い症例もあるようです。
抗ウイルス薬は発症3日以内に投与…
抗ウイルス薬は発症3日以内に投与する事が重要とされてますし、ラムゼイハント症候群の場合は発症後10日以内の療治が予後を大きく左右するとされています。
実際、ウチの鍼灸院に来られた顔面神経麻痺の患者さんでも、3日以内に抗ウイルス薬を投与されていた患者さんと、10日以上経ってから抗ウイルス薬を投与された患者さんとでは予後に明らかな差がありました。
統計によると…
ベル麻痺の場合、自然治癒で良くなる確率は70%、ラムゼイハント症候群の場合は30%。 罹患初期から抗ウイルス薬の処方を受けていても治る確率は、ベル麻痺の場合90%、ラムゼイハント症候群の場合は60%という数値が出ています。
ですから、ベル麻痺の場合10%~30%。ラムゼイハント症候群の場合40%~70%の方に麻痺が残る可能性があるという事なんですね!
顔面神経の変性は発症後7~10日で終わるらしいので治るポイントは、その変性をいかに食い止めれるかなんですよね!
顔の痛みや麻痺の予兆を感じたら、まずは病院で抗ウイルス薬を処方してもらって下さい。
病院では、抗ウイルス薬でヘルペスウイルスを抑え、ステロイドの投与で神経浮腫や神経内圧の軽減により血流改善をはかって、ビタミンB12やビタミンEなどの薬で神経修復の促進を促します。
顔面神経麻痺(Bell麻痺)
顔面神経麻痺(Bell麻痺)は、早く治る方では3週間~3ケ月以内に完治すると言われています。割合的に80%くらいの方は完全に治るのですが、10~15%の方に後遺症として麻痺が残ると言われています。
完全な顔面神経麻痺が出た場合、3週間以内に少しでも改善のきざしが出ない時は、治りにくいとも言われます。この場合はBell麻痺ではなく別な病気が潜んでいる可能性を疑います。
ラムゼイハント症候群
ラムゼイハント症候群は麻痺が残る可能性が高いのがBell麻痺と大きく違う点です。ラムゼイハント症候群では病院において抗ウイルス薬を投与されても、違和感が残ったりする場合もあります。
もう一つ、付け加えると…
出来る事は早い内に全てやるべき!…という事です。
顔面神経麻痺の際、鍼灸施術をした方がいい理由
先ほど書いたように、抗ウイルス薬を投与しても、ベル麻痺の場合10%~30%。ラムゼイハント症候群の場合40%~70%の方に麻痺が残る可能性があるわけですから、病院の治療を行って、それでも治らないなら鍼灸を…と考えるのではなく、顔面神経の変性は発症後7~10日で終わるので、その変性を食い止める期間に、出来るだけの事をした方がいいと思うんですよね!
最初の方にも書きましたが、免疫力が低下する事で休眠していたウイルスが悪さを引き起こすわけです。
首や肩がガッチガチ…
顔面神経麻痺の方って必ずといっていいほど、首や肩がガッチガチに凝ってます。首と肩のコリってストレスフルな生活の象徴のようなものなので、顔面神経麻痺の患者さんに鍼灸をする時、首と肩のコリを取る事が重要なポイントなんです!
患者さんの中には「私は首のコリもありませんし、肩の凝りもありません!」と仰る方がいらっしゃいますが、僕の経験上、九割九分、患者さん自身がコリの自覚を持ってらっしゃらない事が多いです。例えコリが無くても、患者さん本人が気が付かない反応が体に表れているはずです。
体に異常がない限り、顔面神経や三叉神経の異常は現れません。
体のコリを鍼灸で取って血流を良くする事で体に本来備わっている免疫力が正常に機能するようにするのが最善の方法だと思います。
※過去のブログで鍼灸施術・病気の事について書いたものです。
顔面神経麻痺(ベル麻痺・ハント症候群)を患っている方へ…
2018年10月13日鍼灸師として、病んでいる身体をもとに戻そうとする時に、まず何を考えるか?…というと、「なぜその症状が出ているのか?」という事を推理していきます。患者さんとしては今が辛いわけなので「この症状さえ取ってくれたら…」的な思考になるのも分からないではないんですが、必ず原因はあるので、その原因を改善しないと、また同じ症状…もしくは、その原因が引き起こす別な症状が現れるものなんですよねぇ~。
例えば、外傷や手術の後遺症ではない、ベル麻痺やハント症候群での顔面神経麻痺の方は、往々にして、この症状の患者さんはストレスフルな生活をしている方が多いので、患者さん自身に「自分はストレスフルな生活をしていたんだ…」と自覚してもらい、生活改善を促します。(…でも、経験上、このタイプの患者さんは「これくらい自分にとってはたいした事は無い…」と自分に厳しく、回遊魚のように泳いでいないと死んじゃうような感じで長年、生活されているので、「生活改善」なんて、なかなか素直に聞き入れてもらえないんですけどね…。)
個々の症状を別物として病気を捉える鍼灸師の場合、顔面神経麻痺の患者さんの場合、顔に鍼を刺すだけのような感じの施術になるんでしょうが、現在ではベル麻痺もハント症候群も身体に潜伏しているウイルスが原因で起こると考えられています。誰の身体にも潜伏しているウイルスが悪さを引き起こす原因として考えられるのは、やはりストレスフルな生活による免疫力の低下でしょう。
顔面神経麻痺の方って必ずといっていいほど、首や肩がガッチガチに凝ってます。首と肩のコリってストレスフルな生活の象徴のようなものなので、顔面神経麻痺の患者さんに鍼灸をする時、首と肩のコリを取るって重要なポイントなんですよね!
なので、顔面神経麻痺の場合は、まず病院で抗ウイルス薬を処方してもらい、同時に鍼灸院で身体のストレス反応である肩と首のコリをほぐす事に専念されるのがベストだと思うんです!
ベル麻痺の場合、自然治癒は70%、ハント症候群の場合は30%。 初期から抗ウイルス薬の処方を受けていても治る確率は、ベル麻痺の場合90%、ハント症候群の場合は60%という統計的な数値が出ています。なのでベル麻痺の場合10%~30%。ハント症候群の場合40%~70%の方に麻痺が残る可能性があるという事なんですね! 顔面神経の変性は発症後7~10日で終わるらしいので治るポイントは、その変性をいかに食い止めれるかなので、早期に抗ウイルス薬の効果を期待するのがお医者さん達の基本的な考えのようです。
でも、抗ウイルス薬の効果なく、麻痺が残ってしまった方への対応としては、外科的手術という方法もあるようですが、リスクも伴いますし、そこまでする必要はない麻痺の場合、身体の自己治癒力に期待するほか無いと思うんです。自己治癒力を高める方法としての選択肢の一つとして鍼灸療法は適してると思います。
鍼灸は、いかに患者さんの体の持つポテンシャルを引き出すかがキーポンイントとなる療法です。まずは患者さん自身が諦めずに自分の身体の治癒力を信じて、身体が治癒する方向に向かうように生活改善し、自己治癒の妨げになっているストレスを取り除く方法として鍼灸療法を取り入れてみてはいかがでしょうか?
外部関連リンクサイト
※ 顔面神経麻痺に関しての外部のホームページのリンクを集めました。
《はりきゅうふくた リンクサイト》
※ 鍼灸や健康に関して、はりきゅうふくたのホームページのリンクを集めました。
・鍼灸に対する疑問にお答えします
《鍼灸師が分かりやすく解説します》
色々な症状を分かりやすく説明してます。以下のリンクをクリックしてみて下さい
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院長
福田 徹 1965年生まれ
2003年 国家資格 鍼師灸師免許取得