鍼灸院に来られる患者さんが、鍼灸院で治療を受けようと決意するまでの行程として…
まず…患者さんが体の不調を感じて…
病院に行って、検査して…薬をもらって…
そこで治ったなら「あぁ~よかったね!…治ったね!」で一件落着。
また…
肩こりや腰痛など、筋肉痛に関しても、病院に行くか…、マッサージに行くか…、整骨院に何回か通う…
それで治ったなら「あぁ~よかったね!…治ったね!」で、またまた…コレにて一件落着。
…けど、治らなかった場合…。
NHKで時々、東洋医学とか鍼灸の特番をやってるし…。鍼とか灸が効くのかな?…でも…東洋医学って何か神秘的だし…、ツボを押してもらったり、刺激してもらうと治るかも知れない。…という淡い期待を持って鍼灸院に来られる。
もしくは、以前、病院に行っても、投薬とリハビリの繰り返しで、症状が改善しなかった経験があるとか…、処方された薬が体に合わず、色々な病院をジプシーの如く渡り歩き、途方に暮れた事がある経験をもつ人は、不信感とはいかないまでも、現代医学に疑念を抱いてたりするので、そんな人が東洋医学や鍼灸に救いを求めたりするんですよね…。
そんな感じで、順序的に…最後に鍼灸院に来られる人が多いですよぉ~…。
まぁ~…コレって…保険でも同じような感じなんです。
保険を使う場合も…、これは大人の事情なのか?…医学のヒエラルキーでトップにいる、お医者さんの権利を守るためか…?保険の管轄官庁が「鍼灸はエビデンスに欠けるから…」と、鍼灸治療を軽視しているからか?…肩コリのような不定愁訴を保険で治療できるようにしたら、ただでさえ逼迫している保険の財源が破綻してしまうからか?
結局…保健医療に関しての鍼灸治療は、色々と条件の壁が高く、一般の人は御存じないと思いますが、保険を使って治療する場合も、最後の選択肢の一つとして鍼灸院に来る。…とう流れになってるんですよね。
ここで、豆知識として…鍼灸院で保険を使う場合なんですが…
保険の基本的な考えとして、社会保険とか国民健康保険とか、いわゆる国民皆保険と言われている保険は、病院以外では使えないのが基本原則なんですよぉ~!
…簡単に説明すれば…、保険は基本的に医者が行う医療の為にあり、医者以外が保険を使う場合は『お医者さんによる適当な治療手段が無い場合に限る』という条件付きなんです。…これは、お医者さんが「もうウチの病院では出来る治療はないよ!…もしかしたら、鍼灸とかで治るかもしれないから、そっちに行ってみたら?」…ってな感じで、お医者さんに同意書を書いてもらわないと、鍼灸院や整骨院では保険が使えないんです。
…まぁ~…お医者さんと提携している鍼灸院や整骨院だと、簡単に同意書を書いてもらう事は可能なんでしょうけどね…(^^;)
平たく言うと…お医者さんが、サジを投げないと代替医療と呼ばれている、鍼灸院や整骨院で保険が使えない。…という事なんですね。
しかも…疾患名が限られていて…「①神経痛 ②リウマチ ③五十肩 ④頚腕症候群 ⑤腰痛 ⑥頸椎捻挫後遺症に限る」…となってます。
なので…これを厳密に守るとするならば、肩こりとか、頭痛とか、目の奥が痛い…とか、…最近、眠りが浅い…とか、背中が痛い…とか…疲れやすい…などなど…etc…。鍼灸院には色々な症状を訴えて来られる患者さんが多いんですけど、百歩譲って、お医者さんがサジを投げて同意書を書いてくれたとしても、これらの症状を保険適応には出来ないって事になりますよねぇ~。
でも…よく考えてみて下さい。
生死に関わる病気は別として…、通常の病気の症状で、お医者さんが「もうウチの病院では出来る治療はないよ!」ってサジを投げると思いますか?…普通に考えて、サジを投げるなんて、お医者さんのプライドが許さないんじゃないかな?
…百歩譲って…現代医学のお医者さんの技術では治せない症状だったとしても…、お医者さんはサジを投げる前に、この薬が効かないのなら、コレはどうだろう?…あの薬が効かないのらば、この薬はどうだろうか?…と大量の薬を処方するはずですよね…(^^;)…そうなると、薬によって体が複雑な状態になり得なくもない…。
患者さん自身も、強い薬は、よく効くモノではあるけれども、体に与えるダメージも大きいという事を理解しておかないと、投与された薬で、体のバランスが崩れるって事も往々にしてあるんですよね!分かりやすい例としては抗癌剤などがそうですよねぇ!…副作用として、元々、体力がある人なら多少のダメージはあっても回復しますが、体力がない人に抗癌剤を使用すると一気に老け込みますよね…。
まぁ~…東洋医学や鍼灸に理解がある、お医者さんならばプライドなど関係なく、同意書は書いてもらえるとは思いますけど…。
この保険の運用順を考えてみても、鍼灸は一番最後になる…。いわゆる駆け込み寺になるような流れで、一番最後に鍼灸院を訪れるようになるわけです。
大まかに分類すると、東洋医学と現代医学は考え方が違うと思っていいと思います。同じ医学ですから考え方が似通ってる部分もありますが、ここでは敢えて、違いを強調したいと思います。
現代医学は患者さんの要望に応えて、即効性を第一義としています。現代人は「早い社会復帰を!」「完璧に治して欲しい!」「すぐに治して欲しい!」「元どおりに戻して欲しい!」…と思っているので、そのニーズに応えようと、新薬の開発や…、手術や技術の向上…、治療に必要な機械や道具などを開発して、最新技術で対応します。
東洋医学は、本来、人間の体が持っている自己治癒力を高めたり、免疫力や自律神経のバランスを取る事で病気と対峙します。(…歴史的にみれば西洋医学もヒポクラテスの時代から、つい最近まで…、今から100年くらい前までは、自己治癒力を高めたり、免疫力や自律神経のバランスを取る事で病気と対峙していました。)
…わざと、違いを強調して説明してますが、現代医学と東洋医学には、こういう違いがあると思うんですよねぇ~。
もう少し突っ込んで言えば…
現代人は、自分の生活パターンを変えずに、病気を治そうとするので、現代医学は、その患者さん達の要望というか、不安に答えるべく、限界ギリギリを攻めるような感じで、病気と対峙して治療を行うんです。なので…限界ギリギリを攻める時、強い薬を使った場合、副作用も起きやすくなります。
現代医学が病気を、どう捉えるかというと…、勧善懲悪というか、悪いモノをやっつけるイメージで病気と対峙してると思うんですよね。なんとなく…ハリウッド映画的な、悪役がいてヒーローが悪役を倒す。「悪者は悪者なんだから、やっつけないとダメでしょ!」…っていう感じで病気を治そうとします。
東洋医学は…身体が、ちゃんと機能していれば病気にもならないし、病気になったとしても、本来持ち合わせている身体の回復力で病気は治せる…。という感じで病気と対峙して治療を行うんです。
東洋医学が病気を、どう捉えるかというと…、病気を日本で言う『怨霊神』のような感じで捉えているようにも思えるんです…。怨霊神って災いをもたらすモノなんだけれども、神として祀る事で災いを収めようとする。…コレが怨霊神ですよね!太宰府の菅原さんもそうだし、崇徳天皇とか、平将門もそうですよね!…興味が無ければ、あまり気が付かない事ですが、『怨霊神』って言葉としては「おどろおどろしい」けど、意外と僕らの身近で信仰の対象になってたりするものなんですよね…。
東洋医学には「病気は気づき…」という考えがあり、病気は嫌なモノではあるんだけども「あなた…そんなに乱れた生活していると、もっと酷い病気になるし症状が悪化しますよ!」…と病気が体に教えてくれるものでもある…。そんな感じで病気を捉えているんですよね。
なので…「病気を一気に叩く!」…ではなく、体の回復力を使って、荒ぶる病気の怒りを収め、病気に対して、ゆっくりと退いて頂く。
…こんな感じが東洋医学の病気の捉え方だと思うんです。
…少し、話しが脱線しちゃいましたが…(^^;)
現代医学の技術って、この百年で凄く進歩してると思うんですよ。だから…正直言って…現代医学って、医療の最後の砦だと思うんですよね!
…最後の砦では、あるのだけれども、医療に関わらず、健康で生きていられるのなら、関わらない方が良い代物でもあります。
東洋医学って基本的に、体をいかに健康的に維持出来るようにするか。人間というか…動物が持っている自己回復力という能力を、いかに維持させるか。…という事をサポートするのに長けている医学なので、順番的には、まずは、鍼灸も含め東洋医学で生活改善をして、患者さん自身が病気にならないような体作りを心がける。
どの病気でも最初は軽い状態なはずなんですよね!
軽い状態だったら体の自己回復力や東洋医学や鍼灸のサポートで病気も治るはずなんですよ!…でも、それを放っておくから症状が重くなり重篤な症状や病気になるわけです。…で…、どうしようもなくなった場合、最後の砦として、現代医学の恩恵にあずかる…。
この流れが、自然な流れだと思うんですけど…
…でも、現代人は「早く治したい…」「無駄は省きたい…」「自分で自分の健康管理なんて面倒くさい…」「なんだったら…自分の健康はAIに管理してもらおうかな…」なんて人もいるかも知れない。…(^^;)
僕が思うに…、たぶん…忙しい現代人の考え方に、東洋医学や鍼灸の考え方はマッチしてないかもしれないけれど、初めてウチの鍼灸院に来られる患者さん達に「この症状や病気に対して、今までどんな治療を受けて来られましたか?」と話しを聞いたりするんですけど…
話しを聞いてると…、病院で処方された薬に頼る前に、患者さん自身が生活改善していたら、こうはなってないだろうなぁ~…って思う事が多いんです。
なんとなくですが、今の医療の流れというか…、現代医学と東洋医学の活用法の順番が間違ってるなぁ~って思ったりするんですよねぇ~。
…追伸
言うまでも無いとは思いますが…、緊急性が高い病気や症状の場合は、この現代医学と東洋医学の活用法の順序は当てはまりませんからね!勿論…緊急性が高い場合は現代医学…一択です…(^^;)