『私の脳で起こったこと「レビー小体型認知症」の記録』を読んでみた。

樋口直美さんの本で、最初に読んだのは『誤作動する脳』で…、その後に読んだのは『「できる」と「できない」の間の人』でしたね…。

…で、ちょうど『「できる」と「できない」の間の人』を読み終えた時に、この『私の脳で起こったこと「レビー小体型認知症」の記録』が文庫化された事を知り、先日、この本を読み終えたんです。

以前、ブログに『誤作動する脳』『「できる」と「できない」の間の人』の感想を書いて、はりきゅうふくたのHPの『最近読んだ本』に記載してますが、数年前に義父がレビー小体型の認知症と診断を受けた事が、樋口さんの本を読むキッカケなんです。それと昔からの友人が、最近、若年性の認知症らしい…という診断を受けたので「レビー小体」「認知症」「脳萎縮」という言葉をとても身近に感じていた事もあり、レビー小体型認知症の当事者が出筆されている本って、とても貴重な体験談ではあるし、鍼灸で、この症状が治る・治らない…という話しではなく、この症状の当事者が、どういう気持で、どんな状態なのかという事を、少しでも理解出来れば…と思い、読み始めたのが『誤作動する脳』という本なんです。

…で、その後、武田砂鉄さんのラジオを聴いていて、番組の『金曜開店 砂鉄堂書店』と言うコーナーで『「できる」と「できない」の間の人』が紹介されていて…「あっ!樋口直美さんの新刊が出るんだ!…買って読~も~お!」…と思い、本を購入し、読み終わったあと、感想をブログに書き、SNSにリンクを貼ってたら、樋口さん御本人から「丁寧なご紹介、ありがとうございます!」…と、ポストを頂き、『私の脳で起こったこと「レビー小体型認知症」の記録』が文庫化された事を教えて頂いたので、今回、この本を読んだんですよぉ~。

樋口さんの本を読んだのは、この本で3冊目なんですが、読んでいて、気がづく事が多くありました。

書かれていた中で、「将来、どうなるか分からないのは健康な人も同じだ…」って書いてある事に,「確かになぁ~」…って思いましたね…。あらゆる病気は…、誰がなっても不思議ではないって事を、誰もが健康体の時は、あまり意識してないんですよねぇ~。

あと、目からウロコだったのが「心配や過度の気遣いは不要です。「元気?」「大丈夫?」ではなく、「どうしてる?」と、たまに連絡してもらえたらうれしいです。…「どうしてる?」と訊いてもらえたら、何と答えるか悩むことなく、自然に本当のことが話せます。」…っていうような事が書かれていて、これは病気になった当事者でしか分からない事だなと思いましたね!

…後日、数年前に大病した友人に、この事を話したら、「確かに!「元気?」とか「大丈夫?」って言われると、気を使われてる感が前面に出すぎて、訊かれて話す方も気を使ってしまうもんね!「どうしてる?」って訊かれると、普段の会話みたいな感じで話せるから「どうしてる?」の方が良いと思うよ!」って言ってました。

あと…、これは、以前、読んだ,樋口さんの本にも書いてあったと思うんですけど、認知症は医学的な病名ではなくて、認知機能の低下によって、日常生活や社会生活に支障をきたす状態を示す言葉なんだけど、現在では認知症を引き起こす様々な病名の総称として、十把一絡げで「認知症」という言葉が使われている為、本来なら認知症を起こす病気は何十種類もあり、多くのパターンがあって、記憶障害がないパターンの病気もあれば、そうではないパターンがある事を、一般の人は認識していない為、認知症というカテゴリーで一括りにしてしまいがちになり、多くの矛盾や誤解や偏見を生んでいる。…というような事が書かれていました。

認知症だけに限らず、色々な病気に於いて、病気を一括りで語ってはダメだ!…という事ですよね。…肝に銘じておかなければいけない事だな…と思った次第です。

あぁ~それと、コレも、以前、読んだ,樋口さんの本にも書かれていたと思うんですが、幻視・幻聴は本人には本当に見えてるし、聞こえているという事を,僕らは理解しておかないと、「本当に見えてるモノが見えるからビックリして反応しているし、言葉が聞こえるからビックリしているのに、認知症だから無い物をあると言って狂人扱いされる」…というような事が書かれていました。…確かになぁ~。この状況の当事者になったら、本当に孤独になるよなぁ~…。

あと…この本に書かれていた事で、樋口さん御自身が、ツボの本を読まれて、ツボ刺激をされてみたり、お灸を試されてみたり、漢方医に漢方薬を処方してもらって、それが効いたり…体調とともに効かなくなっていたり…、という事が書かれていたんですが、鍼灸師の僕が、このくだりを読んで「あぁ~なるほどな!」…と思ったんです。

これはどういう事かというと…

やはり…治療というものは、その時のバランスを整える事なんだな!って事を再認識したんです。

体調というものは、その都度、変化するものなんですよね!でも健康体であれば、体調の許容範囲の幅が、ある程度あり、その許容範囲から、はみ出ない限りは体調のバランスを整える必要はない。…いわゆる「治療を受ける必要はない」って事なんです。

病気になると、その許容範囲が、著しく狭くなるので、許容範囲からはみ出す事が多くなる。…だから、その都度、バランスを整えるための治療が必要なんだけれども、体調って、その都度、変化するものなので、数日前は効いても、今の状態は、以前効いていた薬が効かない…。もしくは以前、使ってたツボの刺激が効かない…。というのは当たり前の事なんでしょうね。

なので、その都度、変化している体調に合わせて、バランスを整えていく事が、本来、治療のあるべき姿だと思うんです。

『治療⇒治す⇒元に戻す』…という感覚で病気と対峙していると、どこかで必ず「今の技術では治る病気もあれば、治せない病気もある」という非情な現実を直視しなければいけない時もあると思うんです…。でも、いつ、いかなる時も希望は持っていたい。…そのために『治療⇒身体のバランスを整え、今、出来る限りの良い状態を保つ』…これって、とても重要な事だと思うんですよねぇ~。

現代医学の良いところは、日進月歩で進化し続けているって事だと思うんです。今,治せない病気でも、いつか治せる時が来るかも知れない。そのためには、今、その都度、変化している体調に合わせて、バランスを整えていく事って重要だと思うんですよね!

この本にも書かれていたんですけど、樋口さんの症状が悪くなり、今までの薬が効かなくなった時に、漢方医が「また…一からだな!」と、脈を取り、問診し直して処方した漢方薬は、その時に効いて楽になったと書かれていたように記憶してます。

この漢方医のお医者さんも、体調のバランスを整える事に、重きを置いていらっしゃったんでしょうねぇ。

僕は鍼灸師ですが、認知症やレビー小体…その他、色々な病気、全てが鍼灸で「治る」…とは思っていません。やはり…治る病気もあれば、治せない病気があるのは事実です。でも、どんな病気であれ、その都度、その人の身体のバランスを整えて、出来るだけ良い状態を維持する、お手伝いは出来ると思っています。

あとは、患者さんが、どのような状態なのかを、体験談や、こういう本を読む事で、少しでも理解出来たら…とも思います。

万能ではないんですけどね…、少しでも力になれれば…。とも思っています。

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