「できる」と「できない」の間の人 ~脳は時をさかのぼる~…読んで。

ちょっと前に、樋口さんの『誤作動する脳』を読んだんです。

『誤作動する脳』は、レビー小体型認知症に関しての本で、初めてレビー小体に関して詳しく知る事ができた本でした。

この本は医者や学者の研究書やハンドブック的な本ではなく、著者自身の体験談でもあるので、認知症と対峙するリアルで不安な気持ちが綴られていて、読んでいて、正直…ちょっと重い内容も多かったかな…。

だから、この新刊『「できる」と「できない」の間の人』もポチ買いしたけど…、『誤作動する脳』を読んだ後、新刊『「できる」と「できない」の間の人』を読むまで…少し躊躇してたというか…ちょっと頭の整理がつくまで時間がかかりました…。

『誤作動する脳』を読み終え、1ヶ月過ぎた頃…、そろそろ読んでみようかな…と、先日、ページをめくって読み始めると、(はじめに)で「前作『誤作動する脳』とは文体を変え、コロナ禍で、こんな不安な時期だからこそ、リラックスして笑って読めて、ちょっと元気が出るエッセイにしよう…云々」と書いてあったんです。

なるほど…、じゃぁ~…少し気軽に読める感じなのかな?…って読んでみると、前作の『誤作動する脳』を読み終わった時より、レビー小体型の認知症への理解度が深まったような気がするんですよねぇ~。

ホントに認知症に関して…知らない事だらけだったなぁ~…

レビー小体型の認知症について…知らなかった事は…

レビー小体型の認知症の主症状は記憶障害ではないそうなんんです。本にも書いてありましたけど…

認知症はみんな一緒と思われてるけど、抱える問題は病気によってかなり違っていて、レビー小体型認知症は全身病なので身体的な問題が起こりやすいそうなんですよ…。

気になった言葉を抜粋してみると…

・自律神経が障害されるので、立ちくらみや失神、体温調節の困難、頭痛、不眠などの多種多様な体調不良が起こりやすく、自律神経失調症のような症状が出やすい。

・8割近い人にパーキンソン症状(パーキンソン病とよく似た運動障害)が現れて、歩き方が不安定になったり転倒したりする。

・8割近い人に、レム睡眠行動障害(レム睡眠行動異常症)が起こり、寝ていて夢の通りに大声で話したり、叫んだり、激しく動いてケガをする場合がある。

・薬が効き過ぎる体質になるので、薬が効き過ぎたりと、薬の悩みも深刻で、薬で一度、バランスが崩れると簡単には解決しない。

・高齢者を解剖すると3人に1人の脳から、レービー小体が見つかる。

・90歳以上の女性の認知症有病率は71.8%で、レビー小体型認知症の中でも種類があり、アルツハイマー型認知症を併発している場合は通常、高齢者に多く、そうではなく、レビー小体型認知症の純粋型は若年発症に多い。

・アルツハイマー型やレビー小体型の認知症が急激に進行する事は通常なくて、もしあれば、薬の影響や体調、環境の影響などによって、一時的に意識レベルが低下してしまう時に急激な進行がある場合がある。

…などなど、色々な事が書いてあり、読み終わった後、ページが付箋だらけになっちゃいました。まだまだ、目からウロコな事が色々と書いてあったんですよねぇ~

本の終わりの辺りに書いてあったんですが…

結局のところ、どの人が認知症で、どの人は認知症でない…と区別する明確な定義も尺度も、この世には存在していないそうなんです。

昔は「痴呆」とか「ボケた」という言葉で表現され、なんとなく「しょうがないよ!あのお爺さん…(お婆さん)歳だもの…」…と、人は歳を取れば物忘れしたり、妙な事を言ったりものだと、おおらかに捉えていた節が見受けられますが、今は認知症という病気として捉えるので「病気は薬で治すモノ!」と、何とか薬で治そうとする。

幻覚幻聴で、本人には見れているモノを「ない!」と言われたら、本人は不安になるし、恐怖を感じるし…、しかも不安の末に声を荒げれば、興奮だの、暴言だのという症状名を瞬時に貼り付けられ、おとなしくさせるという名目で抗精神病薬を処方されれば、あっという間に表情を失い、話せなくなったり、歩けなくなったり、身体が硬直し、ものを飲み込む事も出来なくなる。…レビー小体型の認知症は薬に過敏な体質になる人が多く、過半数の人は抗精神病薬で深刻な副作用が出るそうなんですよ!

なるほどなぁ~…

・「病院に行けば認知症かどうかわかる」「認知症の事は医者が何でも知っている」「病気なら薬で何とかしてもらえる」は幻想であり、過剰な期待だ!…その認識のズレが医療者も患者も家族も不幸にしていると思わずにいられない…。

…って書いてありました。

あと…

ほとんど知られていないそうなんですが、認知症といっても、その原因となる病気は60種類以上あり、一番、患者数が多い病気がアルツハイマー認知症で、次に多いのがレビー小体型認知症。それぞれの患者の脳に溜まる不要なタンパク質は分かっているのだけれども、病気の原因と考えられている、その余計なタンパク質が、なぜ、その人の脳に溜まるのかは、研究者や医師にも説明できないのが現状だそうなんです。

最後に著者の樋口さんから…「最後にもう一つ、あなたにお願いがある」って書いてあって…

『どうか積極的に見つけて欲しい。老いていく事の豊かさ、不思議さ、衰えていく事のおもしろさ、認知症のある人の世界の美しさ、自由さ、新しい価値観を。そしてそれを伝えて欲しい』

…と綴ってありました。

歳を取ると、出来る事が限定されてくるという事を、いつの間にか僕らは忘れてしまっていて「いつまでも元気で若くあり続けよう!」…と、インチキ政治家の選挙演説のような売り文句に踊らされて、『アンチエイジング=善』『老化…歳を取る事=悪』と思い込んではいないだろうか?…って思っちゃいますね。

あと…色々と紹介したい言葉が、この本には書いてあったんですけど…

・頑張る事の素晴らしさだけを、私達は小さい頃から、いつも教えられてきた。でもそれと同じくらい負ける事、諦める事、逃げる事も大切だと教えられ、練習出来たら良かったと思う。

…って書いてあったんですよねぇ~。

それと…

年齢を重ねるたび、毎回、その年齢の初心者である…という話しからの…

・死ぬまで初心者なんだから、あれも、これも、うまくいかないのは、当たり前だなと思う。周りを見渡すと、自分だけが上手くいっていないように見えるけど、きっとそれこそは妄想…。

レビー小体型認知症の事も多く書かれてましたが、人生訓とも捉えれる事も多く書かれていた本でした。

このブログを読まれて、この本が気になった方がいらっしゃれば、是非『「できる」と「できない」の間の人 ~脳は時をさかのぼる~』…読まれてみて下さい。

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