先日、相撲の九州場所、初日を観に行ったんです。
九州場所前にウチの治療院に、身体のメンテナンスに来てくれている、竜電さんは、初日は惜しくも、佐田の海さんに負けてしまいましたが、解説者の方が言われている、竜電さんの型…。下から当たって回しを取るという型は崩れてなかったので「よし!勝てる!」と思ったんですけどね…。佐田の海さんが、上手く左右に動いて寄り切られてしまいましたね…。
観ていて「負けちゃったかぁ~」とも思ったんですが、しっかり、竜電さんの型が取れてるって事は、調子が良いって事だと思うので、勝負は時の運って事で、この負けを次に活かして欲しいと思っていたら、翌日の取り組みは勝ちましたね♪…(^o^) 良かった!良かった!
※3日目の vs千代翔馬との取り組みは、治療中だったのでリアルタイムで観れませんでしたが、負けちゃいましたね…。でも、立ち会いは悪くなかったと思います。
先日、場所前に来られた時に、治療中の会話の中で「TVで相撲を観てると、竜電さんの型って、下から突き上げて相手の回しを取るって解説者が言ってましたが、対戦相手は全員、その事を知ってる訳ですよね!…、そうなると対戦相手は、どのような対策をとってくるんですか?」って尋ねてみたんです。
すると…「相手は、下からぶつかって来る事を知ってるから、捕まらないように、左右どちらかに変化するんだけれども、その動きについていけなければ、自分が前に転けちゃう事になるんです…」って言われてたんですよね!
「なるほどなぁ~…サッカーのPK合戦のゴールキーパーと同じで、蹴る相手が、どちらに蹴ってくるか迷う感じに似てますね!?」って僕が言ったら、「そうそう!」って言われてました。
サッカーのPKで言えば、蹴る側がゴールを決める確率は80%以上で、キーパーがボールを止める確率は…確か20%に満たなかったと思います。…いわゆるキーパーが断然不利なわけですよね!
PKの場合は、ボールの大きさと、ゴールの広さの関係から、守る範囲が広すぎるので、キーパーが断然不利になるわけですが…
それでも、PKに強いキーパーって、相手が蹴るギリギリまで相手を観察して、蹴る瞬間、軸足をどちらに向けるか?身体のどこに力が入っているか?身体の向きは?…などを見極めたうえで、推測してボールを止めるらしいんですよね!
竜電さんも、僕の「サッカーのPKみたいですね!」という言葉に「そうそう」と言われて、それ以上の事は言われませんでしたが、サッカーのPKに強いキーパー同様、取り組む前に、当然、相手の立ち位置や身体の向きなどを観察していると思うんです。
相撲の幕内力士って、トップアスリート同士の、ぶつかり合いなので、相手は、右から攻めようか…左から攻めようか…、はたまた変化しようか…、など、取り組み前に、そんな情報は表情や仕草にも出さず、心を読まれないようにしている事でしょう。
そうなると、大事なのは、自分の技の型を崩さず、相手を自分の得意領域に、どうやって引きずり込むか…。いわゆる「分かっているんだけど、何故か…そっちに行ってしまう…」的な、蟻地獄のような空間を生み出せれば、自分の型が活きてくるわけですよねぇ~。
自分の型を崩してでも、勝ちを取ろうとすると、その時は奇をてらって勝てたとしても、自分の型が崩れてしまうと、なかなか元に戻せず、次から何をしたら良いのか迷ってしまって、負のループに陥ってしまうような気がするんです。
これって、全ての事に当てはまる事だと思うんですよねぇ~。
鍼灸治療も同じだと思います。
鍼灸の場合は「型」というより、「考え方」ですね!
鍼灸にも色々な流派があるように、それぞれ流派の考案者が、病気をどう捉えて、どう治すかを、色々な考え方で思考し、年月をかけて、幾人もの人が練り上げてきたものが流派であって、その流派の考え方を学び、咀嚼して、各個人、個人が…、自分なりの考え方を作り上げる。これが現代の鍼灸の『型』だと思います。…何も教わった事を、後生大事に守り抜く…という事では無いと思うんですよねぇ~。
鍼灸治療で痛みを取ったりする事は出来ますが、痛みを取るだけが治療じゃないですもんねぇ~。患者さんが、また同じような痛みに悩ませられないように、患者さん自身に、自分の身体の状態を理解してもらい、食生活の改善や、生活改善してもらったりする事で病気は治るわけですから、そこまで含めてが治療だと思うんですよねぇ~。
ここで大事なのが、自分の治療の型なんですが、…普通に考えると、型を沢山持っていた方が良い!…って思うんですけど、型って、そう簡単に習得できるものではないんですよねぇ~。
コレは良いなぁ~と思っても、だいたい…技術や思考の構築って習得できるまでには時間がかかります。習得するには…早くて4~5年、一般的には10年は時間を要すると思うんですよね。習得できなければ、また新たに別なモノを見つけなければいけない…。
この…、思考や技術って、教わっただけでは、まだ付け焼き刃なんですよねぇ~!…学校や勉強会で教わった事は、それを再現できたとしても、所謂、モノマネの領域で、『自分の型』と呼べる代物ではない。「付け焼き刃は剥げやすい。」…って、昔の人はよく言ったものだと思います。
教わった技術や思考を自分の中に落とし込んで、その上で、試行錯誤しながら、鍼の使い方や、お灸のタイミング…、患者さんへの声かけのタイミングなどなど…、色んなパターンや、タイミングを会得して、初めて、人様に提供出来る『自分の型』が出来上がるわけなんですよねぇ~。
「鍼や灸は怖いけど、あそこの鍼灸院だったら、行っていいかな…」って、患者さんに思ってもらえるようになった時、認められた…というか、…初めて治療者として『自分の型』が出来上がっているって事になるのかも知れませんね。