なぜ?腰痛に脾経が効くの?

先日、知り合いの漢方医の先生から「なぜ?腰痛に脾経が効くの?」と質問されたんです。

その漢方の先生は、患者さんに皮内針をよく使うらしく「腰痛の患者さんに対して脾経のツボに皮内針をすると腰痛の治りがいいんだよね!…経絡っていったい何なのかね?なんで効くの?」…と仰る。

「経絡っていったい何なのかね?」

この質問をされて、相手が納得出来る答えを言える鍼灸師って何人いるのかな?

「経絡とは…」と教科書に書いてある事を、杓子定規的に答える事は、ある程度、東洋医学を学んでいたり、鍼灸の勉強をした人なら誰でも答えれるとは思いますが、質問した相手が「へぇ~!そうなんだぁ~!」というような感じで、相手を納得させる事は至難の業でしょうねぇ~。

思い起こせば、20数年前に鍼灸の学校で基礎的な事を習っていた時も「経絡って何?」と…、疑問は浮かぶんだけれども、何となく経絡という概念を鵜呑みにして、無理矢理、ツボの名前や、経絡の流注を覚えて、経絡やツボの概念を理解したと自分に思い込ませていたように思います。

20年間、鍼灸師という看板を背負って鍼灸を生業にしてきたうえで、改めて「経絡って何?」という素朴な問いに対して、どう答えるべきか…。

ちょっと考えて、導き出した答えは…

「よく分からない…」です。

「なんだよ!」…って思われるかも知れないけれども、これが正直な答えなんですよねぇ~。

え!?…「よく分からない…????…お前!よくそれで鍼灸師をやってられるな!!??お前がやってる鍼灸って、そんないい加減なものなのか?」…ですって?(^^;)

しょうがないな…

じゃぁ~…もうちょっと…詳しく…答えるとするならば「学術的に経絡について解明しようとするのは無理がある」…という事です。

ここから先は、僕の想像の域で、お話ししますが…

例えば、腰痛の人がいて、腰が痛い人の足や腰の、ある部分を誰かが押したら、なぜか腰の痛みが無くなった。…とします。…多分、これがツボという概念の始まりだと思うんですね!

足や腰の、この部分を押したら腰の痛みが取れたという経験則から出来上がったもので、理論や理屈…所謂、学術から始まったモノではないわけなんです。

それと鍼灸に関して言えば…、多分…人って最初から皮膚に鍼を刺すという行為はしないと思うんですよね…。最初は、撫でたり、摩ったり、圧迫したりすると思うんです。

その上で「なんだか、こんな症状の時に、ココを摩ったり、撫でたり、圧迫したりしたら症状が軽くなるぞ!」という経験則がデータとして蓄積し、言い伝えとして伝わり、時代という時間の流れの中でツボという概念が生まれ、星と星を線でつなぎ合わせ星座を作り出すように、ツボとツボをつなぎ合わせ、経絡というもを作り出したり、はたまた、神経の走行に沿って感じる感覚や経験則から経絡の流れという考えに結びつき、ツボの名前や位置を決めたり…

そんな…こんなで、経絡やツボの概念が構築されていったんだと思うんです。

鍼とかお灸は、摩ったり、撫でたり、圧迫したりする事で効果があるのであれば、身体に直接、鍼や灸でアプローチすれば、もっと効果は高まるのではないか?という感じで、鍼や灸をやり始めたんだと思うんですよねぇ~!

30数年前にアルプスの氷河で見つかった、アイスマンという5000年前のミイラに鍼や灸の治療跡が残っていたと言う話しもありますから、経絡やツボの話しを語り始めると5000年前に「こうだったんじゃないか?」という事を想像しながら説明しなければいけない訳です。

考えてもみてください…、5000年前以上の昔から積み重ねた経験則から出来上がった、経絡やツボの事を説明しろ!学術的に解明しろ!と言われても、答えられないと思うんです。

それって教会に行って「神様っているんですか?」って質問しているようなものですよね。…(^^;)

現代人は明快な答えを求めたがるものなので、すぐに「科学的ではないものはダメ!」とか「エビデンス(科学的根拠)は?」と、分かりやすい答えを求めたがりますが、世の中には、答えが出せないモノは数多ありますし、その最たるモノが宗教なんでしょうねぇ~。

キリスト教は約2000年前…。仏教は約2500年前…。山岳宗教や日本の神道も縄文時代や弥生時代から、綿々と受け継がれ、現在も信じられている神様や仏様という概念。かたや5000年以上前から体調不良の改善に使われていた経絡やツボという概念。時代という時の流れを辿ってきた道程は、どちらも同じような気がするんですよ!

経絡を学術的に説明すると言う事は、宗教の神様や仏様を科学するという事と同じだと思うんですよねぇ~。

…ね!学術的に経絡について解明しようとするのは、ちょっと無理があるでしょ!

東洋医学や経絡やツボに関して…5000年以上前から、…まぁ~実際、文献として残っている最古の本は2000年くらい前の『黄帝内経』だったり、宋の時代からでしたっけ?本の印刷技術が発達したのは?…宋の時代以降、頭の良い先人達が、経絡やツボに関して色々な考えを構築して書物として出版し、現代まで語り継がれ残っています。そんな…色々な先人達の考えを一言で「こうだよ!」と、まとめるのは無理があります。

だから「経絡って何?なんで効くの?」と解明に力を注ぐより、いかにそのシステムを運用するかに力を注ぐ方が良いと思うんですよねぇ~。

…ただね!学術的に説明するのは難しいけど、5000年以上かけて作り上げた経験則は、揺るぎないものなんですよねぇ~。

だから、経絡とかツボは効果があるし、鍼灸や按摩マッサージという医業は現代まで受け継がれてきているんだと思うんです。

ところで…なぜ腰痛に、なぜ脾経が効くのか?

僕が考えるに…これは脾経ではなく、足の陰経なんじゃないかな?って思うんです。鵞足や内転筋群に鍼をして、それらを緩める事で、股関節や腸骨のバランスを調える事が出来るから…という理由が頭に浮かびますが…、どんなもんでしょうねぇ~(^^;) ちょっと現代医学的な答えになっちゃいました。

流注で考えれば、腎経や肝経は内転筋の辺りを走行してますし、脾経は腸腰筋の辺りを走行してます。よく腰痛で奇穴の風市を使ったりしますが、多分、風市は大腿筋膜張筋へのアプローチで骨盤を安定させる為だと思うんですよねぇ~。…あっ、また現代医学的な答えになっちゃいました。(^^;)

まぁ~経絡の正経以外にも、陰蟜脈や陽蹻脈もありますし、奇穴もあります。腰痛も色々なタイプの腰痛がありますから、どんな腰痛なのか?どこが悪くて腰痛を起こしているのか?…色々な事を考慮して治療した方がいいと思うんですよねぇ~。

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